第18話 北海道上陸作戦
第18話 北海道上陸作戦
海北島でのオーマバス海軍・レムリア連邦海軍輸送艦・大陸諸国連合艦隊の壊滅の知らせは北海道侵略艦隊に届いた。
北海道侵略連合艦隊旗艦 超弩級戦艦「デロニア」
艦橋の司令室内
「なんてことだ・・・本当に海北島に向かった艦隊は壊滅したのか!?」
この艦隊の最高司令官ノムファ・ゲール海軍主席指揮官は通信の内容に驚愕しながら部下に聞いた。
「は、はい。ファット海軍大将殿の艦隊への通信に反応が無く、またそれ以前から日本の光る矢によって攻撃を受けていると。また同艦隊の唯一の生き残りであるオーマバス海軍の潜水艦からも証言を得ています。」
「光る矢だと!?先ほど突如飛んできたあの光る矢か!?」
日本の戦闘機が放った対艦ミサイルの内12発がこの艦隊に当たったのだ。その結果弩級戦艦4隻に2発ずつ受けて轟沈。さらに空母にも2隻に2発ずつ受けてそれに乗っていた複葉機75機の全てを失っていた。
ちなみに海北島に向かった艦隊の潜水艦3隻は、最初の光る矢が味方の軍艦を攻撃した時驚いて潜水しており、撃沈を免れていた。
その後その潜水艦はしばらくその場に留まっていたが、魔信で艦隊の壊滅を聞いて、慌てて最初に撤退していた2隻の戦艦の元まで戻り、戦艦に搭載されている無線機でレムリア連邦海軍に伝えたのだった。
「バカな!?・・・はっ!ファット殿は!?ファット殿はどうなさったのだ!?生きておられるのか!?」
ノムファ主席指揮官からの圧に部下は怯えながら答えた。
「ファット海軍大将殿の戦艦も沈んだようですので恐らく・・・戦死されたかと思われます。」
自身の大切な戦友が戦死したかもしれない報せにノムファは驚愕と耐え難い怒りを感じた。
「・・・ぉ、おのれぇ!!!奴らは!私の大切な友を無残にも敗北者として冒涜し!!あまつさえ!!殺したというのか!!!?」
艦橋内では最高指揮官の怒りに部下達は恐れを感じていた。だがそれと同時に味方を無残に殺した日本に怒りを覚えた者もいた。
「はぁー!はぁー!・・・前進だ。後方にいる友軍にも全速力で向かわせろ。こうなったら一団で北海道に向かう。輸送艦隊と大陸諸国連合艦隊には敵艦隊は無視して上陸だけを考えさせろ。何としてでも北海道に上陸し友の無念を晴らす。」
「は、はっ!」
最高指揮官からの命令に部下は敬礼して全艦に命令を出した。
北海道侵略連合艦隊は全速力で南下した。海北島を回り込むようにして進軍する。
レムリア連邦海軍
超弩級戦艦 1隻
巡洋艦 2隻
駆逐艦 3隻
潜水艦 4隻
輸送艦 44隻
オーマバス海軍
輸送艦 30隻
大陸諸国連合艦隊
戦列艦 524隻
さらにその後方150キロメートル
レムリア連邦海軍
空母 3隻 複葉機 112機
駆逐艦 5隻
輸送艦 120隻
オーマバス海軍
弩級戦艦 4隻
大陸諸国連合艦隊
戦列艦 80隻
竜母 28隻 飛竜 168体
海北島の艦隊とは比べ物にならない程の大艦隊である。
それに対して日本の戦力は
海上自衛隊
ミサイル艇 2隻
巡視船 9隻
その後方北海道の東にいる海上自衛隊
第4護衛隊群
ヘリ空母 1隻 雷鳥型 9機
大型イージス護衛艦 1隻
イージス護衛艦 4隻
ミサイル巡洋艦 2隻
ミサイル艇 2隻
通常動力型潜水艦 2隻
沿海域戦闘艦 3隻
の計15隻からなる艦隊だ。
更に海北島の迎撃から直ぐに準備を整えた航空自衛隊も向かっている。
北海道近海上空 航空自衛隊
第2航空団
戦闘機 15機 対空ミサイル4発 計60発
対艦ミサイル2発 計30発
更に本土から、万が一北海道に上陸を受けた時にそなえて特殊急襲制圧部隊を乗せた「隼」2機が。
既に北海道の推定敵上陸地点には陸上自衛隊第5師団1万2000人が待機していた。
ちなみに海北島に向かっていた「隼」に乗っていた陸上自衛隊員達は、そのまま海北島に降りて念のため待機していた。
そして「雷鳥」も対艦ミサイルを装備して待ち構えていた。
第4護衛大群 大型イージス護衛艦 旗艦「むつ」
同旗艦 CIC
「・・・何とか敵の本隊に、ミサイルの射程距離内にまで近づけたな。」
「むつ」の艦長である齋藤武司がそう呟く。
「ええ。海北島ではギリギリの所でしたが・・・にしても凄い数ですね。」
部下は画面に映る敵艦隊の反応を見て呟く。
「ああ。いくら我々の方が技術は上だとしてもこの数はな。」
「すすめ型の連中はよくやりましたよ。あの数を前に果敢に戦い、民間人に死者を出さずに勝利したのですから。・・・そういえば西平島の残党はどうなったのですか?」
部下からの質問に齋藤は少し考えてから発言した。
「・・・どうやら攻撃した艦隊が全滅したと知った外交大使ら残党は、現在エルミハナ大陸側にそって移動しているらしい。」
「そいつらには何もしないんですか?上の連中は」
「まぁ気持ちは解るが、外交大使を乗せた船に危害を加えたら、後が不味いからな。外務省の方からも何もしないように言われたらしい。」
そう話している内に、画面の敵艦隊は2つに別れ始めた。1つは北海道にもう1つは北海道を西周りで第4護衛隊群側に向かっていた。
「ん?こちらに向かっている?我々の場所が判るのか?・・・いや、海北島を避けて移動しているのか。よし、こちらに向かっている艦隊に対艦ミサイルを発射しろ。北海道に向かっている連中は雷鳥やすずめ達に任せよう。」
「了解」
その数分後第4護衛隊群は第1波として対艦ミサイル8発を、自分たちに向かっている艦隊に発射した。
北海道より北側60キロメートル先。
レムリア連邦海軍の5隻と大陸諸国連合艦隊210隻の大艦隊は、北海道を西周りで進軍し知床半島に向かっていた。
「本当にこの方角に知床半島というのはあるんだな?」
ノムファからの質問に部下が答える。
「はい。日本から帰還したスパイから得た情報ですので問題はないかと。」
ちなみに何故オーマバス神聖教皇国・レムリア連邦らが日本と国交を結んでいないのに北海道の地理を把握しているのかというと、数ヶ月前に西平島に居たスパイの1人が本屋で観光本を入手しており、それを元に今回の作戦が立案されていたのだった。
「なら良いのだが。我々はその知床半島に上陸して援軍が来るまで耐えればいいわけだ。」
「その通りです。」
彼等がなぜ知床半島に向かうのかと言うと、知床半島は緑が深く少し手を加えればそれだけで自然の要塞になる。そこで暫くの間耐えて後方にいる輸送艦隊らと合流し数の力で占領する構えだった。
(だが・・・第1陣の輸送艦隊の護衛を駆逐艦と潜水艦だけにしたのは少し早計だったか。向こうの抵抗は激しいものだろうな。)
道北地方に向かわせた輸送艦隊は囮で知床半島に向かうこの艦隊が本命だった。
勿論向こうの上陸も成功するだろうが被害は相当な物だろう。彼は上陸部隊達に心の中で謝罪する。
唯一の救いは最初に上陸するのがオーマバスの亜種族らだということだろう。奴等の中には5メートルの体格を誇る巨人兵達もおり、知能は低いが肉壁としては非常に優秀だ。
さらに大陸諸国連合軍らも最初に上陸するため自国の兵士達はまだ運が良いだろう。
そう考えていると前方で進んでいた大陸諸国連合艦隊が何やら騒がしい。
「ん?何だ?こっちは向こうの速度に合わせているのに・・・もう少し静かに出来んのか。・・・いやまて、まさか奴等の光る矢が見えたのか?」
そう考えたノムファは急いで部下達に対空戦闘の用意をさせた。
するとその直後に魔信から報せが来た。内容は光る矢が高速で飛んでいると。
「やはりか!!各個に撃てぇ!!」
超弩級戦艦と巡洋艦2隻そして駆逐艦3隻の艦隊が対空攻撃をするが、音速の壁を越えた目標に当てられる筈がない。
ミサイルはレムリア連邦海軍の全ての艦に当たった。
ドガアァァァァァァァン!!!
この威力に巡洋艦と駆逐艦は呆気なく沈んだ。
「く、やはり防げなかったか!!」
だがノムファの乗る超弩級戦艦は3発が当たったが沈まなかった。確かにかなり損傷を受けたがどれも喫水線より上の位置だったため航海に支障は無かった。
「うーむ!作戦変更だ!今すぐに大陸諸国連合艦隊に上陸をさせろ!」
ノムファはこのままでは耐えられないと考えて前方にいる大陸諸国連合艦隊に今すぐに上陸をさせるよう命令した。
その命令を受け取った連合艦隊は進路を曲げて北海道への上陸を開始した。
「指揮官!我々はどうしますか!?」
部下からの質問にノムファは答える。
「ふむ・・・我々の仕事は終わった。この艦は放棄し我々も上陸する。」
「な!?」
ノムファの決断に部下達は混乱する。まさか自分達に陸軍の仕事をさせようとしているのだから。
「し、指揮官!正気ですか!?我々に陸軍のように銃を持って戦えと!?」
「そうだ。お前達も見ただろう?奴等のあの光る矢の威力を。あの威力では次は耐えられないだろう。ならばここでの無駄死にはご免だ。上陸し敵の虚をつく。幸いこの艦には小銃等の武器庫がある。戦えるだろう?」
ノムファの言うとおりレムリア連邦海軍は万が一に備えて他国よりも多くの小銃の武器庫があり陸軍の真似をすることが出来た。陸軍国家特有の特徴であろう。
「し、しかし・・・いえ確かにそうですな。このままでは敵の思うつぼです。・・・解りました。直ぐ様上陸用意をします!」
部下からの返事にノムファは満足げに頷いた。
その数十分後超弩級戦艦「デロニア」の乗組員1400名が北海道に上陸を開始した。
更に大陸諸国連合軍の4万2000人の合計4万3400人の兵士が上陸した。
その頃の第4護衛大群の旗艦「むつ」のCIC内では混乱していた。
敵の前方の艦隊が北海道へ急に方向を変え止まったことから、上陸したと判ったからだ。
「糞っ!奴等め!船を捨てて上陸をしやがった!」
「艦長!どうしますか!?このままでは!」
「わかってる!・・・とりあえずあそこには念のため陸上自衛隊の第7旅団2000名がいるが、果たして数万規模の敵相手にどこまで戦えるか。だが偵察衛星からの情報じゃ戦艦も残っているんだろ?まさか戦艦を乗り捨てるとはな。」
「はい。敵は思いきったことを考えましたね。」
「あぁ・・・糞。あの進路なら知床半島か根室半島辺りを狙っていると思ったのに。」
彼の判断は正しかったが敵が簡単に船を捨てることを考慮すれば結果は少し違ったのかもしれない。
彼は後方の敵の増援艦隊の対処に集中することにした。
その頃のオーマバス・レムリア大陸諸国連合艦隊の増援艦隊
レムリア連邦海軍 空母「ヒャンスレア」艦長室
「・・・ふむ、ではノムファ殿は貴重な戦艦を放棄して上陸したのか?」
「は!そのため我らはこのまま主席指揮官殿の上陸場所に向かって欲しいとのことです!」
「解った。ご苦労、戻ってよし」
「は!失礼します!」
伝令が退出する。
「ふー。まったく戦艦を放棄するなど・・・まぁ良い敵の撹乱には成功するだろう。」
増援艦隊の司令官はこのまま前進しノムファ達と合流するために向かっていた。
だがその前には海上自衛隊の第4護衛隊群が待ち構えていた。
艦長の齋藤は汚名返上のために闘志を燃やしていた
「艦長。まもなく敵艦隊がこちらのミサイル射程距離に入ります。」
「そうか。では射程距離に入ったら攻撃を開始しろ。」
「了解。攻撃用意!」
その数分後に射程距離に入った敵艦隊に向けてミサイルが放たれた。
更に北海道近海上空で飛行していた第2航空団の戦闘機F-32Aの15機が対空ミサイルを増援艦隊の上空を飛んでいた飛行機と飛竜に向けて発射した。
オーマバス・レムリア大陸諸国連合艦隊の増援艦隊
レムリア連邦海軍の空母「ヒャンスレア」の上空にはこの艦隊の護衛のためにレムリア連邦の複葉機が飛んでいた。
レムリア連邦 複葉機「ベルム」
全長 8.62メートル
全幅 11.52メートル
最大速度 365キロメートル
航続距離 716キロメートル
実用上限高度 6248メートル
武装
前方固定7.7ミリ機関銃
後部席7.7ミリ旋回機銃
レムリア連邦が誇る最新鋭戦闘機である。
現在レムリア連邦空軍はこれを採用して敵対する大陸諸国を圧倒していた。
そのため今回の艦隊の船員達は士気が高かった。
「う~む!やはりいつ見ても頼もしいな!」
この空母の司令官は飛行している「ベルム」を見てそう発言した。
(ノムファらの艦隊を攻撃した連中は恐らくこちらに来るだろう。その時にはあの「ベルム」らが返り討ちにしてくれよう!)
あの「ベルム」以外にも、大陸諸国連合艦隊の竜母からも飛竜が飛行しており生半可な戦力では簡単に返り討ちに出来る。そう思わせるほど彼等は頼もしく見えた。
だが現実はそう甘くない。圧倒的な技術を持つ日本にはそんなものは通用しない。
「ん?」
最初に異変に気付いたのは上空で飛行していた「ベルム」のパイロットだった。
パイロットの声に後部座席の仲間が反応する。
「どうした?」
「いや、何か向こうから光ってるものが来てるんだ。」
彼は事前に日本の光る矢について説明を受けていたが、殆ど真面目に聞いておらずそのため危険の察知が遅れた。
「え?はやs」
彼がその次の言葉をいうことは無かった。何故なら予想以上の速さのミサイルに反応しきれず、機体ごと爆発したのだから。
「な、何だ!?何が爆発した!?」
空母に乗っていた司令官は突然の爆発音に驚いた。
その直後彼の乗っている空母とそれ以外の艦隊の対空兵器が火を吹いた。
狙いは上空を飛んでいるミサイルだった。
だが当たらずに、ミサイルは飛んでいた「ベルム」と飛竜を全て撃破した。
「な、ベルムが!!そんなバカな!?こんな無茶苦茶な事かあってたまるか!!」
だが彼等にはそれ以上の悲報が待っていた。艦隊の前方から、また大量のミサイルが飛んできたからだ。
狙いは海上の艦隊に向けて。
オーマバスの弩級戦艦、レムリア連邦の空母、駆逐艦らが必死に迎撃するが、その努力も空しくそれぞれの艦にそして後方の輸送艦隊にも攻撃を受けた。
ドガアァァァァァァァン!!!
ドガアァァァァァァァン!!!
「糞っ!また輸送艦が沈められた!!」「早く装填しろぉ!!」「駄目だ、あれは間に合わない!」
そしてとうとう司令官の乗っている空母「ヒャンスレア」にも対艦ミサイルが突っ込んできた。
「あ、あぁそんなこんな辺境で死ぬなんt」
その直後、甲板にいた司令官の目の前でミサイルは爆発。格納庫にあった航空機の燃料に引火して「ヒャンスレア」は沈没した。
最終的に生き残ったのは
レムリア連邦海軍
輸送艦 89隻
大陸諸国連合艦隊
戦列艦 25隻
生き残った艦隊は、守ってくれる戦闘艦が頼りない戦列艦だけになったため、それぞれの本国に逃げ帰った。
そして時は少し戻り北海道の道北の近海
現在この近海には多数の艦艇があった。
レムリア連邦海軍
駆逐艦 1隻
潜水艦 4隻
輸送艦 44隻
オーマバス海軍
輸送艦 30隻
大陸諸国連合艦隊
戦列艦 314隻
この艦隊は現在北海道に上陸しようとしていた。
陸軍の内訳は
レムリア連邦陸軍
歩兵 3万2800人
戦車 21両
オーマバス陸軍
ゴブリン兵 6000体
オーガ兵 117体
巨人兵 85体
歩兵 9000人
魔動ゴーレム 18体
大陸諸国連合陸軍
歩兵 6万2800人
11万を超えるこの上陸部隊を迎え撃つのは陸上自衛隊第5師団が待ち構えていた。
陸上自衛隊側の内訳
普通科 1万2000人
装輪装甲車 19両
装甲戦闘車 15両
10式戦車 30両
99式155ミリ自走砲 6両
野戦砲 12門
航空自衛隊
戦闘機
F-32A 15機
戦闘ヘリ
雷鳥 8機
そしてギリギリで到着した
特殊急襲制圧部隊 180名
数だけ考えれば自衛隊側が圧倒的不利だが、技術面では自衛隊が圧倒しているため勝敗はまだわからない。
「敵はもうすぐ上陸してくるな。」
第5師団 師団長の深山裕実が呟く。
「はい。ですが航空機と「雷鳥」らが敵艦隊の輸送艦・駆逐艦らを減らします。」
「・・・そういえば知床付近に上陸した奴等はどうなってるんだ?」
「あそこには第7旅団2000名が迎撃をします。彼等に任せるしかありません。」
「果たして無事に帰って来てくれるか。」
「もはや祈るしか出来ないです。それに今は目の前の敵に集中してください。」
「あぁそうだな。今回はあの有名な特殊急襲制圧部隊も参戦してくれるらしいな?彼等の戦いを見れるのは楽しみだな。」
「確かにそうですが、向こうには巨人も確認したそうです。幸い銃らしきものは持っておらず盾か棍棒を持っているらしいです。」
「ふぅ、奴等も流石に化物に銃を造る技術も度胸も無かったか・・・」
そう話している内に戦闘機と雷鳥らが駆逐艦全てと輸送艦の複数を撃沈した報せが届く。
そしてそれと同時に敵の上陸部隊が動き出したという報せも届く。
「よし!攻撃を開始しろ。敵が上陸する前に1人でも多く減らすんだ。」
その命令はすぐに全体に伝えられ、戦車・自走砲・野戦砲・雷鳥らの対地ミサイルで一斉攻撃を開始した。
ドドドドドドオォォォォン!!
ババババババアァァァァン!!
ズズズズドオォォォォォン!!
戦闘が始まる前に掘っておいた塹壕で自衛隊のあらゆる砲弾が最前線の大陸諸国連合軍に向けられた。
「ひぃ!!」「ぼさっとすんなぁ!!新兵!」「そうだ!走れ!走れ!死ぬぞぉ!」
「う、うおぉぉぉぉぉ!!」「殺してやるぅ!!」
更に後方からオーマバス陸軍のゴブリン兵・オーガ兵・巨人兵らが雄叫びを上げて突撃をする。
アオォォォォォォォン!!!
グアァァァァァァァァン!!
ギャギャギャギャギャギャ!!
亜種族兵士達は恐れをしらずに突撃をする。
すると
「撃てえぇぇぇぇぇぇ!!!」
特殊急襲制圧部隊の持つミニガン・重機関銃そして4連発のロケット砲を次々と撃つ。
バババババババババババババアァン!!!
ドドドドドドドドドドドオォン!!!
とにかく自衛隊側は撃ちまくった、何せ向こうはこちらの10倍の戦力だ。手加減をすればこちらがあの数に呑み込まれる。
火薬と硝煙そして血の臭いが戦場に漂い、上陸側は辺り1面に撒き散らかった内臓やぐちゃぐちゃの手足や死体だらけでそれらを巨人や兵士達が構わずに突撃する様子はまるで地獄だった。
特殊急襲制圧部隊の放つ対物ライフルが巨人兵の頭部を撃ち抜き、溢れるゴブリン兵をミニガンで肉片に変え、屈強なオーガ兵を重機関銃で腹を撃ち抜き臓器を撒き散らかす。
更に大陸諸国連合軍は陸上自衛隊の一斉掃射により次々と倒れる。
魔術師らが魔法を放とうとするが距離が届かず、次の魔法を放とうとするが雷鳥の放った対地ミサイルにより絶命する。
既に巨人兵とオーガ兵らは全滅しておりゴブリン兵らも壊滅していた。
「いける!このまま守り切れる!!」
自衛隊達の中にそんな事を考える隊員も現れるが敵の主力は彼等ではない。
そして遂に敵の主力であるオーマバス・レムリアの列強国軍が突撃する。
レムリア連邦は40ミリ砲を搭載した戦車がそしてオーマバス陸軍は4メートルの魔動ゴーレムが前に出る。
更にその後方には合計4万人の兵士達が一気に上陸する。
「ゆけえぇぇぇ!!」「異教徒どもを皆殺しにするのだあぁぁぁぁ!!」
「「「「「うぉぉぉぉぉ!!!」」」」」
数万もの大軍が雄叫びを上げて突撃を開始した。
「いいか!?1人でも多く殺すんだ!!手加減したら俺達が殺られる!」
そして自衛隊側もいよいよ本気を出す。
普通科の一斉射撃
装甲車の12.7ミリ重機関銃、40ミリ機関砲や戦車の120ミリ砲、自走砲の155ミリ砲弾や雷鳥の30ミリ機関砲らが一斉に火を吹いた。
ドドドドドドドン!!!
ドガガガガガガガガガガ!!!
ドボォン!!ドボォン!!ドボォン!!!
だが連合軍も負けていない。数少ない戦車を前に出して砲撃を開始した。命中は少ないがそれでも自衛隊側に被害を出していた。
「撃てぇ!!」
ドボォン!!
「ぐわぁああ!!」「山下が撃たれた!誰か手当てしてくれぇ!!」「糞っ!後退させろ!」
自衛隊に確実に被害を出したことに連合軍は喜ぶ。
「や、やったぞ!!異教徒共に鉄槌を下したぞぉ!!」「このまま皆殺しにするんだぁ!」
だがその戦車も日本の10式戦車、特殊急襲制圧部隊の対物ライフルが黙らせる。
「撃て」
ドオォォォン!!
「そ、そんな何で連中はあんなにあっさり当てるんだよぉ!!」
レムリア連邦の戦車は殆どが破壊された。生き残ったのはたったの2両でそれも殆ど壊れており、壁にしかならないだろう。
「恐れるなぁ!!こっちにはまだいるぞ!!」
そう言いオーマバス軍が魔動ゴーレムを前に出す。ゴーレムは歩兵達の壁となり前進する。
だがそのゴーレム達もすぐに次々と破壊され遂には全滅した。
だがその成果はあった。自衛隊との距離まで1キロを切ったのだから。
「師団長、もう限界です。後退して次の段階にうつりましょう。」
「うむ、そうだな。全隊員に後退をさせろ!特殊急襲制圧部隊を殿にだ!」
「了解」
この命令は全隊員にすぐに伝わった。
「後退だってよ!急げ急げ!!」「あぁ、こんなところさっさとおさらばだ!!」
自衛隊が撤退するのを見た連合軍は歓声を上げた。
「や、やったぞ!!奴等逃げていきやがる!!」「俺達の勝ちなんだ!!俺達はやったぞ!!」
「この勢いで奴等を追撃して殺せぇ!!!」
「「「「「おぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」」
だがそれを防ぐために180名もの特殊急襲制圧部隊を殿にしたのだ。
彼等は火炎放射機やミニガンで辺り1面を地獄に変える。
ボワアァァァァァァァァ!!!
ダダダダダダダダダダ!!!
「ぎゃあぁぁぁぁ!!!」「糞っ!あの黒い化物は何なんだよ!?」「知るか!さっさと撃てぇ!!」
だが小銃しか持っていない歩兵など何ら怖くない。
すると兵士の1人が手榴弾を投げた。
「これでも喰らえ!」
その手榴弾は見事黒い化物の足元に転がり爆発。黒い化物は吹き飛び横に倒れた。
「やったぞ!!黒い化物を倒したぞぉ!!」
だがその倒れた黒い化物は生きており、そのままの姿勢で投げた兵士の両足を重機関銃で撃ち抜きその後に頭を撃ち砕いた。
「ひ、ひいいぃ!!何であれで生きてるんだ!?」
その黒い化物は歩けないのか、別の黒い化物に引っ張られて後退した。
その後、後退が完了し、特殊急襲制圧部隊も後退した。
連合軍はそのまま自衛隊のいた塹壕にまで進みそこで進軍は止まった。
「・・・ここまでの損害を出すとは!楽観視してないつもりだったが、これは余りにもっ!」
この上陸軍の指揮官レムリア連邦陸軍のジョネット中将は予想を上回る損害に戦慄した。
連合軍残存兵力
レムリア連邦
歩兵 2万4928人
オーマバス神聖教皇国
ゴブリン兵 456体
歩兵 2041人
大陸諸国連合陸軍
歩兵 1952人
特に大陸諸国連合陸軍の損害が酷い前線で録な装備
も無く、遠距離から一方的に敵の砲弾の餌食になったのだから。しかも酷いのは怯えて後ろに下がった兵士をレムリア連邦軍が後ろから射殺したことだろう。その死者もかなり多い筈だ。少なくとも万は超える筈だ。
「閣下・・・いかがなさいますか?この状況ではこれ以上の進軍は士気の崩壊が不安です。」
「うむ。私もそう思う。ここで拠点を築き防衛に徹しよう。」
「は!援軍が来るまで持てばよろしいのですから問題無いでしょう。」
「あぁ、そうだな・・・」
ジョネットは知っていた。後続の援軍艦隊は光る矢の攻撃を受けて撤退したことを。上陸する前に無線で聞いた。
だが彼は部下達に教えなかった。士気の崩壊を恐れて。
援軍など来ない。
そう聞いた兵士達はあの攻撃を思い出して戦意を喪失するのは目に見えている。だがこのままでは駄目なのは彼も解っている。
(どうすれば良いのだ・・・敵に降伏すればどんな未来が待っているか。せいぜい拷問されて殺されるのだろうな。)
彼等は降伏してきた兵士達には常にそうやってきたために、自分達もそうなると思っていた。
その頃の自衛隊は夜襲の準備をしていた。
「師団長、特殊急襲制圧部隊は準備を終えたようです。砲撃も何時でも撃てます。」
「そうか。よし!では作戦開始!日本の地を勝手に踏んだ代償を払ってやれ!」
「は!」
99式155ミリ自走砲が一気に火を吹いた。
その後に179名の特殊急襲制圧部隊が動いた。
さらに上空には片翼に30発ずつの対地ミサイルを搭載した雷鳥が攻撃する。
ドオォォォン!!ドオォォォン!!
「ひ、ひゃあぁぁぁぁ!!敵襲だ!!」「また、あの悪夢が・・・嫌だあぁぁ!!」
連合軍特に大陸諸国連合軍は酷い状況だった。自分達を容赦なく肉片に変えた攻撃を思い出し、ただ逃げ惑うだけだった。
「糞っ!夜襲か!?急いで迎撃だ!」
「はっ!」
ジョネットも砲撃音を聞き急いで迎撃命令を出した。
すると遠方から光る矢が飛んでくるのを見た。
「な!?」(あれはあの光る矢か!?)
数百ものミサイルは部下達にまんべんなく降り注ぎ肉片へと変えた。
「ひいいぃ!!やめてくれぇ!!」「誰か!助けてくれぇ!!」「あ、足がぁ!痛いよぉ!痛いぃ!」
さらにまたあの黒い化物達が徒党を組んでやってきた。それを見た兵士達はまた奴等による虐殺が起こることを悟った。
「あ・・・ま、また始まるんだ。」「も、もう止めてくれよ」「あぁ!!もう嫌だ!!」
彼等の願いも空しく黒い化物は仕事に取りかかった。
ミニガンが重機関銃が火炎放射機が容赦なく連合軍に向けて放たれる。
「うわあぁぁぁぁ!!!」「熱い!熱い!熱い!」
「誰か!助けてくれぇ!!」
それを見ていたジョネットはもはや戦意を失い降伏をすることを決めた。
「こ、降伏だぁ!!早く白旗をあげろ!!こんなのもうたくさんだ!!」
「は、はい!!」
その後降伏命令を受けた兵士達は急いで武器を落とし手を上げた。
それを確認した特殊急襲制圧部隊は指揮官であるジョネットに兵士達を1ヶ所に集めさせその後自衛隊達が来て、ジョネットら捕虜を移送した。
だが捕虜として生き残れたのはたったの2万人ほどでその多くが負傷をしていた。
上陸時にいた11万もの兵士は殆ど戦死しており、悲惨なものだった。
だが自衛隊側もこの防衛戦で陸上自衛隊員85名が戦死しており、特殊急襲制圧部隊も1人が負傷した。
そして敵はまだ全員倒していない。知床半島付近にいるノムファ率いる4万3400人の大軍が未だに陸上自衛隊の第7旅団2000名と戦っていた。
いかがでしたか?
いやぁ長かった!!
早く北海道から出ていって欲しいですね!
さてもう平日になったんで次回は遅くなるかもしれません。
次回はノムファ率いる軍隊と第7旅団の戦いを投稿したいです。
早々に戦艦を乗り捨て上陸した彼等は一体どうなるのか!?
お楽しみに!!




