#26 鬼娘対狐娘
「恐れずに出てきなさい、直ぐに肉片にしてあげるから」
そう言ってゆっくりと並んで歩いてくるまだ能力が未知数な赤鬼と青年に対処する為に望達は話し合う。
「どうしましょうクネクネさん? 彼等の相手をしますか?」
「イヤ、相手はとんでもない力を持ち、この地の支配者である鬼だ。まーず、奴等の隙を見て灯台の扉を潜って退避しよう。扉さえ潜って仕舞えば、海と灯台の空間の繋がりを断って相手の追跡を阻止する事が出来るからねぇ」
「解りました、では僕達が足止めをしますのでその準備をお願いします! のぞみ行くよ?」
「え?……あの……良いのですか?」
そう言って無謀にも赤鬼に挑もうとしている、見た目は幼い兄弟に見える二人に慌てて真理恵は後ろから停めには入る。
「ちょ!! ちょっと待ってよ二人とも?! 鬼が恐ろしいから退避しようって話を聴いていたでしょ?! 歯向かってはいけない相手なのよ?!」
その恐れおののく真理恵の説得を聴いていた赤鬼達もくくくと含み笑いをしてから、その説得に加わる。
「ああ、その小娘の言う通りだ! 我々鬼は貴様ら貧弱な力しか持たない人間と違い、莫大な妖力と力を持っている!! 悪いことは言わないわ、今すぐにその魂を私に捧げなさい! そうすればこの子達の様に可愛がってあげるわ!!!」
そう言って鋭く伸びた爪を海岸に向け、望達がその先に視線を向けると。そこには灯台付近の海から現れた大量の醜く痩せ細った餓鬼達が灯台の白い壁を這い上がり。
灯台を多い尽くす蟻の様に布陣していたために真理恵達は愕然とさせられる。
「そんな……あんな数の邪魔に入られたら、私達が中に入る前に触られて人形にされてしまう……」
「ポウゥ……抜け目はナイと言う事だねぇ」
逃げ場も封じられた事もそうだが、灯台を多い尽くすだけの鬼達を従えている事にも驚異を感じた真理恵とクネクネは新たな抜け道を探そうとしていた所で、望達にも指示を伝えようと前を見たときに望達が赤鬼に一歩ずつ踏み出して行く姿を見せられ唖然とさせられる。
「ちょ、だから駄目だって二人とも?!」
「真理恵さん!! こうなったらそこでふんぞり返っている赤鬼さん達を倒して仕舞いましょう!! カビと同じで根本を断たないと悪いものは増え続けますからね!!!」
「……力強き鬼をカビと同意義にするとは、どういう用件かしら小人さん?」
「おうおう!! 温厚な詩織姉の言葉を聴いて、調子にノッテナメた態度をとってくれるじゃねーか坊主?」
先程から鬼を侮る挑発的な言葉を聴かされていた赤鬼達は眉をひくつかせ、望達の選択を見守ろうとしていた意識から、自分に向かってきゃんきゃんと吠える子犬を黙らせようと言う意識に切り替わり。二人は一歩一歩ゆっくりと望達に歩み寄る。
「乗ってきたね……。のぞみ、変化の葉っぱはまだ残っているかな? 出来れば二枚程欲しいんだ」
その言葉を聴いて、明らかに怒っている鬼を見て涙目になっていたのぞみは両手を胸に当てていて、震えた声で慌てて返事を返す。
「はわわわ……!! はいなのです! 後四枚程残ってはいますけど……足りるのです?」
「うん、上出来だ! それを使用して僕が囮になるから、のぞみは赤鬼を確実に仕留められると感じた時に攻撃して欲しいんだ。それで鬼を倒せるんだから、簡単な話でしょ?」
「お父さん……」
そう言ってこの危機的な状況でもお茶目にウインクして見せた望に、のぞみは心臓に毛が生えているんじゃ無いかと考えさせられるその堂々とした態度に魅了されて落ち着きを取り戻し。逆にその姿を見せられた赤鬼達はより一層苛立ちを募らせる。
「ちっ、言わせておけば都合の良い事ばかり喋る口ね! あなたのその傲慢さが今から貴方を殺そうとしているのが解らないのかしら?」
「その言葉、僕もそのまま返しますよ赤鬼さん。ただの自惚れだけで勝った気でいる貴方なんかに、僕は決して屈しません!」
その言葉が戦闘の火種となり、遂に二人の間で戦いのゴングがならされた。
「抜かしたわね! 地獄よりも残酷な仕打ちで貴方を迎えてあげるわ!!」
「それは楽しみですね! 変化!!」
正に赤鬼の様に顔を真っ赤にさせた赤鬼は、両手を真っ赤にさせ尚且つ鍛え上げた男の筋肉の様に太くさせ、爪も尖った箸のように伸ばした物を武器にして突撃を掛けてきたが。
その様子を冷静に見ながら望は変化の葉っぱを用いて、身体に黒く光る戦国武将の様な日本甲冑を身に纏い。
その堂々としたたくましい後ろ姿に安心感を得たのぞみも、メイド服から着なれた紅白の巫女服に変化させ。続いて4本の白い尻尾と頭に耳を産み出し、全身には淡く燃える狐火を宿す。
その妖力は赤鬼すら凌駕する程の密度の濃い妖力を宿している物であったのだが、本人が思っていた以上に怒りに呑まれていた赤鬼は目の前に映る、甲冑を身につけ、もう一枚の葉っぱを変化させて作製した刀を抜き放ってどや顔を浮かべている望から目を離せないでいたいた。
「よし! それじゃあ相手をしてやりますか!!!」
そう言って自らも走ってくる赤鬼に立ち向かっていく事により、望は囮となる事を選んで正面から赤鬼に突っ込んでいく。
その余りにも軽率な行動を赤鬼は鼻で笑い、鬼化させた太く鋭い爪を持った腕を望に対して勢い良く上から振るう。
「くたばりなさい!!!」
「うわあぁぁぁぁ?!!」
その攻撃を横に飛び退く事で間一髪回避した望の目に次に入って来た光景は、その爪によりシャベルカーに掘られたように目の前で二メートル程えぐれた地面であり。
思わず情けなく、大きな悲鳴が漏れる。 その無様で情けない姿を見た赤鬼は機嫌を良くし、ひたすらに望を煽りながら追い掛け始める。
「あははは!!! ほらほらどうしたのかしら? あんなにも格好をつけていた割りには不様な姿を晒している様だけど、恥ずかしく無いのかしらねぇ?!」
「ひゃぁぁぁ?!! たっ、助けてぇー!!」
最早鎧も脱ぎ捨ててじたばたと逃げ惑う姿からは先程まで自信に満ち溢れていた望の面影は一切無くなっており、待機を命じられていたのぞみは慌てて望の援護に入るために尻尾の先端に狐火を充填し、攻撃準備を整える。
「お父さん!! 今お助けするのです!!!」
その言葉通り、赤鬼目掛けて狐火を発射しようとした所で。のぞみは鋭い視線で望が逃げ惑いながらも赤鬼に顔が見えない所で自分にアイコンタクトを取ってきている事に気づかされる。
その目は情けない悲鳴をあげているにも関わらず、自信に満ちた力強いものであり。望は口の動きだけで指示を伝える。
(大丈夫……もう少し待っていてね……。あれだけの危機的状況で、お父さんは鬼さんを手玉に取っていると言うのですか?)
その思わぬメッセージにのぞみは驚き、視野を広げて全体を見てみるとやはり赤鬼が逃げ惑いながら、悲鳴をあげる望を追い掛ける光景が続いていた。
「ほらほら!! 情けないとは思わないのかしらねぇ!!!」
「うひゃあぁぁぁ勘弁してくださいー!!!」
ただ、冷静になったのぞみはある事に気づかされる。
(赤鬼さんの攻撃が次第に大振りになっていて、その攻撃をギリギリでお父さんが避ける度に赤鬼さんを満足させる為に悲鳴をあげ続けているんだ!!)
そののぞみの分析の通り、最初は小振りで正確性と目に見えない程の速度があった赤鬼の攻撃は、まるでヒーローショーの様に大振りで、動きが丸見えの物となっていて。遂に望が狙っていた瞬間が訪れる。
「さあ、もういい加減貴方も疲れたでしょ? 止めを指してあげるわ!」
「嫌だ! 死にたくない!!!」
「ふふっ、これで御仕舞いよ!」
そう言って、尻餅をついて必死に後ずさる望に赤鬼のボルテージが一番高まった所で、空から振り落とすかの様に構えられた赤鬼の腕は、明らかに必要以上に大振りとなっており。
赤鬼はそれすら気がつけ無いほどに大振りの攻撃を繰り出そうとするのだが、
「まっ、待ってくれ詩織姉!!! そいつの様子がおかしい!!!」
「え? はっ、そう言う事かーー」
その様子を外から見ていて土壇場で異変に気づいた青年に注意を受けるのだが。
「……もう遅い!」
颯太に止められ、注意がそれてしまっていた赤鬼のおでこから生えている角目掛けて、防具を捨てて身軽になっていた望は刀を抜き。魔力を帯びた刀で2本の鬼の角を素早い斬撃で切り捨てようとするのであるが。
「ヴゥゥゥゥ!!!」
「なっ?! 刃を口で咥えて受け止めるだなんて?!」
顔を真っ赤にさせ、目を金色に輝かせるその顔は正しく鬼の形相であり、先程までは何とか役を演じる事に徹底していた望であったが。
猛獣以上の相手を本当に怒らせてしまった事を炎の様に全身を打つ程の赤鬼からの殺気を浴び、思わず刀を握っていた指から力を抜いてしまう。
「ウガァァァァ!!!」
「かはっ?!」
その大きな隙を赤鬼が逃す筈も無く、彼女は望の頭に岩の様に固い額と鬼の角を叩きつけて来たために、角はおでこを軽く切る程度の何とかスレスレで回避出来た望であったが、頭突きを浴びてしまい。刀と共に後方へと吹き飛ばされてしまう。
「もう許さないから!!!」
後方へと吹き飛ばされる光景が望にはスローモーションに見えており。猛烈な怒りを抱いた赤鬼が足を踏み込み、たった1歩で望が落ちるであろう落下点に今にも飛び掛かろうとしている様子が目に写る。
(ぐぅ、頭が揺らされてぼーっとしている……。奴は、確実に殺しに掛かって来る筈だ。不味すぎる……)
望が死を覚悟していたその瞬間、スローモーションの中にいるにも関わらず。体感で160キロを越えるスピードで、吹き飛ばされている望の体の隙間を縫うようにしてソフトボール程の光輝く赤色の16球程の火球が次々と跳躍体勢に入っていた赤鬼を襲い。動きを封殺する。
(この火は……のぞみなのか?)
無茶をする自分を助けてくれた心から信頼出来る相方を見るために、スローモーションの中ではあるが望は少しづつ視線をあちこちに向けている中で、空中に吹き飛ばされて不規則に舞っている刀が目に入り。
その刀の柄の部分を器用に空中で掴み取り、今なお生み出され射出され続けている高速の狐火と共に赤鬼へと挑み掛かっていく姿を確認できた所で、緊張の糸が少しだけ緩んだのか。時間が正常に動き始めた。
「ぐうぅ、いってぇ!!」
吹き飛ばされた時の姿勢が悪かった事と、勢いを殺しきれ無かった事もあり。望は壮大にアスファルトが敷かれた道路の上を転がり。街路樹にぶつかる事で、何とか停止する。
幸いと言えるかは解らないが、体を構成している物が肉体では無くて妖気の塊の様な状態な為に頑丈ではあるのだが、痛いものは痛い。
「いててて、のぞみは!!」
気を取り直し、赤鬼がいる方へと望が視線を戻したそこは正に灼熱地獄と化していた。
「颯汰、駄目よ!!! 貴方が焼け消えてしまう!!!」
「ぐうぁぁぁ!!! 熱い、焼けちまうぅぅぅ!!!」
目を殺してみてみると、どうにも大量の狐火を受けていた赤鬼の身代わりとなるべく、赤鬼の前で青年が大の字になって、身体を溶かしながらも庇っている様であり。
赤鬼に止めを刺そうとしていたのぞみも、後数メートルと言う所で思わず狐火の射出を止めて立ち止まってオロオロしてしまっている様だ。
(正義のヒーローがやっているのなら拍手喝采だけど、殺人犯でありカツアゲをしていた男だから、何とも言えないな……)
そう言いつつも、その姿に見いってしまうのが人間のさがなのか。望はクラクラする頭で無理矢理に立ち上がり、のぞみの元へと歩み寄る。
「はわわ……どうしたら良いのです? どうしたら?」
「のぞみ」
「はうっ!? あ、お父さん!! 怪我は大丈夫でしたか?! おでこから血が出ているじゃ無いですか!! 直ぐに治療しますね!!」
「ありがとう……のぞみ。のぞみが助けに来てくれたお陰で赤鬼に襲われずに助かったよ……。本当にありがとう」
そう言って、一生懸命おでこや怪我をしている箇所に手術に使われるロボットアームの様に、狐の尻尾の先端に妖力を集中させて患部に当てていく事で怪我を癒すのぞみに感謝を伝えつつ。
望はゆっくりと消えていく狐火の中で抱き合っている赤鬼と青年の小さな動きをも見逃さない様にと監視を続けるが、どうにも動きが無い。
「……どうしたんだろう。妖力切れかな?」
何の動きもないまま20秒程が過ぎた所で、抱き合っていた二人は氷山が溶け落ちる様に地面へと倒れた。
治療を終えた二人はお互いに警戒しつつもガッチリと抱き合っている二人の側に近づき、その姿を確認して驚かされる。
「これは……」
「……素敵なのです」
思わず溜め息のような声を二人があげてしまったその理由は、元々は人間であったであろう赤鬼を狐火から庇い致命傷を負っていたのであろう青年のおでこに赤鬼の角が一本移植されており。
二度目の死を経験する筈であった青年は確かに呼吸をしており、鬼の力を継いだからか肌も色を取り戻していた。
「……どうしたものかな」
命をやりたい放題に奪っている者達には情を移すべきではないとこの世界に来てからは考えていた望であったが、抱き合う彼女達が過酷な状況を乗り越え解り会えた狸族の要達と被って見えてしまい。
人の命を奪う者には心を鬼にすると言うその思いが早くも折れそうになり、複雑な表情を浮かべている望の右腕にのぞみがゆっくりと包み込むようにしがみついてきた。
「のぞみ?」
「私には答えが見つからないのですが、自分が正しいと思うことよりも。先ずは自分がして欲しいと思う事を行ってみるのはどうでしょうか?」
「……そうだね。急いで答えを見つける事に必死になるよりは良いかも知れないね。ありがとう、のぞみ」
一緒に悩んでくれていた娘の様なのぞみの事がいとおしくなった望は、優しく頭を撫でながらお礼を伝え。のぞみもホッとした様に表情を緩ませて撫でられるがままにされる。
「ふにゃ……お父さんの手、太陽見たいに暖かくて気持ち良いのです……」
「あはは、お父さんか。やれやれ、結婚する前からこれだけ大きな隠し子が居ました何て空さんの両親に伝えたらどんな面白い顔をしてくれるだろうね?」
「はにゃ?! それは、その!!」
「あははは!!! 冗談だよ冗談!! のぞみは僕に取っても、空さんに取っても大切な家族だからさ。不甲斐ないお父さんで申し訳無いけど、これからもよろしくね?」
「おっ……お父さん……。うううっ……」
「よしよし……泣き虫だって良いんだよ。沢山辛い思いをさせてごめんね……」
男性の人格である望と心が分裂してからずっと自分自身の存在価値に苦しんでいたのぞみは、望の胸の中に身体を預けながら涙し。
自分が必要とされているのか解らないと言う彼女の苦しみを、ずっと少女の姿でいた間味わっていた望は、のぞみを優しく抱き寄せ。
彼女が落ち着くまで赤ちゃんをあやすように、背中をゆっくりしたテンポで優しく叩きながら穏やかな時間を本の少しではあったが過ごす事が出来。
お互いにぎこちない距離感を探りあっていたかなり特殊な二人の親子は和解する。
そして赤鬼達が行動不能になっている事を改めて確認した後、望達がふと海岸に目を向けて見ると、大変な事になっていた。
「HAHAHAHAHAHA!!!」
「ウワー!! コンドハ、コッチニクルゾー!!!」
「ニゲルン……ギィヤァァァ!!!」
海岸ではクネクネさんがドラム缶の如く身体を横にして転がり回る事により、海岸にいた餓鬼達を吹き飛ばしていたり。
木の上に逃げていた餓鬼を真理恵が砂浜に拳を叩き込んで地震を起こし、地面に落ちた餓鬼達をクネクネさんが纏めて弾いていくと言うシュールな光景が繰り広げられていた。
「あんだけヤバイ空気を出しておいて、好き勝手鬼と戦えているって凄まじいな真理恵さん達……」
「なのです……」
そんな真理恵さん達が大乱闘している所を望達が暫く眺めていると、暴れ終わった二人が歩いて来た。
「ふー! 良い運動になったよ!!!」
「やーれやれ。身体の中に大量の砂が入って大変な事になってはいるけどもぉ。まあ、皆が無事で良かったよ。うん? もしかして望くん達、鬼を倒したのかい?!」
身体をマラカスの様に砂でシャカシャカ音を鳴らしながら、クネクネは赤鬼が倒れている事に気づいて物凄く驚かされる。
「いえ、どうにも彼女には人形になった人間の恋人がいた見たいでーー」
その望から語られた珍しい話に真理恵は目を輝かせ、クネクネは身体を捻りながら考える。
「へー!! 何だか恋愛マンガ見たいですね!!!」
「残酷な鬼が家畜同然の人間に恋をするなんて事があるとは思えないが……。うーん、でも確かに角を移植しているねぇ……。不思議な話だ」
一通りの情報交換を終えた皆は、これからの事について話し合おうとするのであるが。やはり話の中心は鬼達の事であった。
「彼等はどうします? 体内にある妖力を計っては見ましたが、並み以下の力しか残っていないみたいなんですよ」
「いやいや、落ち着きたまえ望くん。ついつい情が移ってしまうのは人間の良い所だが、彼等は野生の熊よりも凶悪な鬼何だよ? ここはひとまず、鬼達にも場所が割れているみたいだから、灯台のワープゲートの設定を書き変えないと……」
望達が話をしているそんな時だった、突然公園に設置されている噴水の様な大きさの円が鏡の様に望達がいる後方に現れたのは。
「ああ……不味い!! 皆速く隠れるんだ!!! 鬼達が集団で攻めてくるぞ!!」
その絶叫がクネクネから伝え終える頃には、6m近い身長の黄色い鬼の足が出てこようとしている所であり。
それを見た望とのぞみは衝動的に倒れたままの赤鬼と青年を抱えて、近くの様々な店が入っている8階建てのビルの中へと逃げ込む事に成功し。
その数秒もしないうちに先程までいた場所から、周囲を声だけで震わせる程の大きな野太い男達の声が聞こえて来た。
「人間に鬼の力を与えた裏切り者は何処にイルゥ!!!!」
「ゆるざん!! ゆるざんゾォォォ!!!!」
「ウオォォォォォ!!!!」
それは先程まで戦っていた赤鬼を探す鬼達であり、狂暴な彼等が出現した事により望達は退路を塞がれてしまうのであった。
最後まで読んでくださり本当にありがとうございました!




