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19話 キャラバン護衛

 帰宅してテレビをつけた。

 バラエティー番組がやっているらしく、スピーカーから笑い声が聞こえてくる。

 料理をし、食事を摂っている間に番組はコマーシャルへと入ったらしい。


 そして俺はむせた。


 だってCMにホリーのそっくりさんが出てたんだよ。びっくりするからやめてくれって思う。

 この柊結花という女優はたまにこうやってテレビのモニター越しに顔を出す。

 ホリーはなんで彼女の顔を再現してアバターを作ったんだろう、と疑問に思うことが多々ある。ファンなのかな?


 食器を洗い終えた後、テレビを消してVR機器をセットした。そしてベッドに横たわる。

 意識が深い海に落ちたかと思えば、目の前には鮮明な白の世界が広がっている。

 そして俺はBtHOのアイコンをタップして、ゲーム内に入った。


 噴水の前でフレンド一覧を確認すると、ホリーとミリア、ゲラルドはログイン済みだった。

 彼らは格納庫にいるらしい。なので俺はファストトラベルしてそこへと向かう。するとその格納庫入り口にはげっそりとした表情を浮かべるミリアとゲラルドがいた。

 なおホリーは涼しい顔をしている。


「よっ。2人してやつれた顔をしているけどなんかあったのか?」


「聞いてくださいよ、ユウさん……。さっき私たち、大統領府ってところに行きまして……」


「ああ――。そりゃ疲れる」


 インベントリから清涼飲料水を取り出し、ミリア達に渡してやった。

 彼女たちはパックに入ったそれをストロー越しに飲み込み、一息つく。


「で、なんで大統領府なんかに?」


「さっき使者の人が私の元に来てね、大統領府まで来て欲しいとお願いされたのよ。丁度タイミングよくミリアとゲラルドもログインしたものだから、一緒に行ったの」


 犠牲者を増やすんじゃないよ。あの空気は一般人にはきついんだって、マジで。


「ふーん」


「それで、またユニークミッションが発生しちゃって。ユウ、どうする?」


「とりあえずそのユニークミッションについて教えてくれ」


 ホリーは説明してくれた。

 どうやらベラル国の地上開発省長官――アルベルトはサリンダー国に向けてキャラバンを組むことを決定したらしい。


 正直俺らプレイヤーに魔晶石を預けて運ばせればいいのでは? と思ったが、どうやらホリーも同じことを思ったらしくてアルベルトに質問したらしい。

 しかし傭兵の物資運搬能力だけでは難しいのだとか。つまりインベントリの容量越えだな。

 話しながら格納庫の奥へ行くと、大量のトラックや戦車、装甲車が慌ただしく行き交い、昇降機に乗って地上へ上がっていった。


「NPCを見捨てるってのも嫌だし、行くかぁ」


「そうしようぜ」


「ええ」


「そうですね」


 俺らは各々の機体に乗り、昇降機に乗り込む。

 その昇降機は地上へ向かいだした。


『ユニークミッション、【キャラバンを護衛せよ】を受託しました』


 そして地上に出たところで、通信が入る。


(くだん)の傭兵たちか。すまないがサリンダー国まで護衛を頼む』


「そのために来たんだ。任せておけ」


 戦車が先導し、続いて装甲車、さらにその後ろからトラックらが南西へと向かう。

 途中で襲ってくるデクストらに対し、装甲車のキューポラに立つ隊員が重機関銃を放つが、口径が小さいのかデクストが怯む様子はなかった。

 戦車の援護とともに、俺らパーソナルトルーパーがそのデクストらを処理する。どうやら戦車の大砲ならダメージを与えられるらしい。

 かといって戦車の大砲頼りのみでは戦力的に厳しいだろう。


 そして俺らはA10地点を超え、砂漠地帯が見えてきた。

 砂漠の砂でタイヤがスタックしたトラックを俺はマニュピレーターで持ち上げ、下ろす。

 その間にホリー達が鳥や鹿、狐型のデクストを倒してくれた。


 その後は何事もなくEVACポイントに辿り着くが、ここで問題が発生した。

 EVACポイントの昇降機のサイズが小さいのだ。よって相当の回数乗り降りしないと全ての車両は地下都市バランガードへ入れないだろう。


 隊員らは先にトラックを地下都市に下ろすことに決めたらしい。魔晶石の確保を第一目標としているのだろうか。恐らくそうに違いない。

 そして昇降機が数回下がっていき、装甲車が昇降機に乗り出したところで問題が発生した。

 近くのデクスト・ネストが活性化したらしい。

 不幸なことにレーダー上で確認したデクスト・ネストは砂丘の裏側にあり、射線が通らなかった。


「ユウ! ネストを潰しにいけねえのか!?」


 デクストらに応戦しながらゲラルドが尋ねてくる。

 しかし状況的にその手を取るのは悪手だ


「NPCの護衛が先だ。ネスト潰しは彼らが全員地下都市に行ってからにする」


「って言ってもですよ? タレットありでギリギリの処理速度ですよ、これ……」


 俺らは迫りくるデクストらを処理しながら、装甲車や戦車が回収されていくのを待った。

 しかし戦車が地下都市へ降りだしたところで、手数が足りなくなりデクスト処理に手間取るようになってきた。


 その最後の戦車が昇降機に乗り、それが稼働したところで俺は皆に声をかける。


「皆、飛ぶぞ! 護衛対象は去った! 鳥型さえどうにかすればなんとかなる!」


「わかったわ!」


 そうして俺らはフットペダルを踏み込み、飛行してネストを目指す。

 途中鳥型デクストの襲来もあったが、それらに弾丸をお見舞いしてやる。

 俺らが鳥型デクストを処理している間に、ゲラルドがネストをマルチロックしてミサイルを発射した。彼のお陰でネストはすべて破壊できたようだ。

 その後、制空権を確保した俺らは眼下にひしめくデクストらに視線感知ロックで照準を合わせるのだった。



 * * *



 EVACポイント経由で地下都市バランガードの格納庫に入ると、先ほどの隊員たちが俺らを出迎えてくれた。無事生存できたことを彼らは喜んでいるようだった。

 当面の魔晶石はこれで確保できたらしい。あとは早く機体OSのアップデートが他の傭兵らも可能になるといいのだが。

 そんなことを考えながら俺らは隊員らと話をするのだった。

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