表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/35

11話 前哨基地

「ああ、地上に家を建てたのは本当だ。掘っ立て小屋だけど」


 俺は正直に白状した。隠そうとしたところで現物が地上にある訳だし、それを見られたら嘘をついたところで一発でばれるしな。


「ふむ。アルベルト、どう思う?」


「傭兵は高度なパーソナルトルーパー操縦技術と、特殊な道具運搬能力を所有しております。先ほど、地上に緑に覆われていない建造物があるとの連絡を受けたので、恐らく真実かと」


「なるほど。……いや、失礼。傭兵殿。君らの言葉を鵜呑みに出来ない事情というものがあってな」


「その辺の話、もうちょっと聞きたいわ」


「実はな、前例がないのだ。傭兵は地上の驚異を排除こそすれど、そこに定住を試みるものなど誰1人としていなかった。疑いの目を向けた理由はそこにある。一方で我々にしたらその事実は僥倖である。……君らに頼みたいことがある。これは国としての事業である」


 国を挙げての事業とは一体何なんだろうか?


「内容次第だけど、受けても構わないぞ」


「その言葉を待っていた。我々はデクストや武装盗賊団に対抗すべく、企業に補助金を出して日々地上の驚異を排除してもらっている。何故そのようなことをするかと問われれば、答えは一つ。再び地上に人類の楽園を作るためだ」


 つまり地上に住みたいって訳だ。


「分かった。具体的に俺らは何をすればいいんだ?」


「ここからは私、アルベルトが説明します。あなた方には地上に前哨基地を作る手伝いをして頂きたい。しかし失礼な話になりますが、急な話で臨時予算を計上する時間もなく、報酬を払うことは出来ません。もしそれでも構わないというならば……」


「少なからずデクストと戦闘は起こるだろうし、そのドロップ品を売ってお金にするから報酬はなくていいぞ。ホリーもそれでいいよな?」


「もちろんよ」


「……っ! ありがとうございます。前哨基地が完成した暁には報酬の代わりといってはなんですが、有事の際は我々ベラル国大統領府の名前を出していただいて構わないように手配しておきます」


「ええ……」


 紋所を掲げるようなものじゃん。もし俺らが悪用したらどうするんだよそれ。


「とりあえず依頼は受けるんで。これから俺らはどうすればいいっすか?」


「第3区画の工業区に向かってください。端末を出していただけますか? ……はい、マップ上に目的地が表示されるようにしておきました。そこで設営に必要な物資を受け取り、作業員の案内に従って地上へ出てください。彼らが目的地まで先導してくれます」


「了解。それじゃそろそろ退室してもいい?」


「ええ、それは勿論。我々としても一刻も早く地上に前哨基地を作っていただきたいですから」


 本音を言うとめっちゃ居心地が悪いんでさっさと帰りたいだけだったりする。すまんな、アルベルト長官さん。

 ホリーはというと涼しい顔をしている。場慣れしているな、こやつめ。

 俺らはトリスタンらに礼をしてから貴賓室を出るのだった。


『ユニークミッション、【前哨基地を設営せよ】を受託しました』


 途中でログインしてきたミリアと合流し事情を説明する。すると彼女は無償で手伝ってくれると言ってくれた。先日俺の機体が大破したことも関係しているのかもしれないけど、口には出さないでおいた。だってそれ以上気に病まれると困るし。

 そして向かうは第3区画の工業区。そこでは重機の駆動音や金属を叩きつける音、溶接する音などでとても騒がしかった。


「するってっとあんたらが噂の傭兵さん方かい。ようきたなあ!」


「あざっす!」


 作業員のおっさんに背中をバンバン叩かれながら、俺らは倉庫内に案内される。

 そこには水や薬剤の入ったドラム缶やセメント、砂、砂利の入った袋。鉄筋やらタレットやら様々な資材が置かれていた。それらを俺は全部インベントリに収納する。

 プレイヤーである傭兵がインベントリという機能を持っていることはNPCにとって常識らしく、そのすっからかんになった倉庫を見ても誰も驚かなかった。

 そして俺らは作業員らと共に、格納庫へ向かう。



 * * *



『……ん? なんだあれ』


「どうした?」


 仲間の傭兵がデクストから目を逸らし、横を見ていた。あいつの代わりに俺は犬型デクストに弾丸を1発お見舞いし、退治する。

 レーダーに赤いアイコンがないことを確認しながら、相棒が見ている視線の先を見る。


「……なんじゃありゃあ!?」


『俺も目を疑ったぞ。なんせ地下世界のNPCが外に出ているんだ。こんな事例、今まであったっけ?』


「いや、ないな。NPCだけじゃなくてプレイヤーもいるな。パーソナルトルーパーが3体か。PTトレーナー改修機にドランガ、ダリルL……Eランクばっかじゃねえかよ。初心者の集まりか」


 すると開けた平地で彼らの車両と重機、パーソナルトルーパーは停止した。そしてPTトレーナー改修機が少し離れたところに行ったかと思うと、大量の資材をインベントリから取り出し地面に並べていった。


『鉄筋? 建設でもするのか?』


「でもそんなミッション、一度も目にしたことがないぞ。あれか? 企業の友好度がーってやつ」


『それかもしれないな。どっかの企業の友好度を上げて非公開ミッションを受けたんだろう』


 とある作業員は資材を混ぜて生コンを作成していた。 他の作業員は手際よく作業し、まず高台とタレットを設置していた。他の作業員が設置した型枠に生コンを流し込む。するとそれは現実世界のそれとは比べ物にならないくらいの早さで固まっていった。

 3機のパーソナルトルーパーは作業員を守るようにして辺りを警戒しており、その作業員らも傭兵のことを完全に信頼しているかのように素早く行動する。


 気が付くと様々な建造物と迫撃砲、タレット、テント、倉庫、防壁などなど。色々な物でその広場は埋め尽くされた。

 しばらくしてから装甲車が何台もその拠点に集まってきた。一部の人員は対物ライフルやロケットランチャーを携えてゲート入口で待機している。


『えらいこっちゃ……』


 相棒が嘆くのも当然のことだった。前例のない光景に、俺らはただそれを見守ることしかできなかった。



 * * *



【BtHO】Beyond the Horizon Online part519


514 : 名無しの傭兵

PKされた

修理費で破産寸前

おかねかえして(T_T)


515 : 名無しの傭兵

割とよくある

サルベージできるだけまだマシ

普通全損でロストする


519 : 名無しの傭兵

PvPやりたきゃアリーナに行けばいいのにな


524 : 名無しの傭兵

システムがPKを推奨してるから仕方ないっちゃ仕方ない

企業間紛争が起こるとミッションで出てくるし


528 : 名無しの傭兵

ワイBクラス重量級PKerが見るだけで逃げていく


531 : 名無しの傭兵

そりゃ返り討ちに会いたくないからな


535 : 名無しの傭兵

アリーナって実際のところどうなの?


541 : 名無しの傭兵

>>535

面白いよ

レートとランクが存在して同レベルの技量の対戦者が来るようになってるから

たまにランク認定戦で無双してるやつもいるけど

アリーナは1:1のシングルと1チーム5人まで参加できるスクワッドがある


545 : 名無しの傭兵

もうちょい詳しく


559 : 名無しの傭兵

レートは上手さを数値化したものな

ただマスクデータでプレイヤーたちは確認できないようになってる

そのレートが一定値に達するとランクが上がる

ランクは下から順にアイアン、ブロンズ、シルバー、ゴールド、ダイア、マスター、ミシックがある

ゴールド帯はCランク機体が多いけど、これはシングルの場合の話でスクワッドは割とカオス


572 : 名無しの傭兵

情報サンクス


611 : 名無しの傭兵

A5付近になんか建物があるんだが

NPCもいる


617 : 名無しの傭兵

武装盗賊団の拠点ってオチじゃないだろうな?


618 : 名無しの傭兵

いや、友好的なNPCだった

しかも弾薬分けてくれた、有料だったけど

何度も地上に出てるがこんな事初めてだったから驚いてる

ってか昨日までA5地点にあんな拠点はなかった


621 : 名無しの傭兵

運営がお試しでステルス実装したんじゃね?

ほら、大規模アプデの準備してるって噂あるじゃん

新しい国家が実装されるとか


628 : 名無しの傭兵

そんな理由で小さな拠点なんか実装するか?


631 : 名無しの傭兵

あの拠点、多分隠しミッションで作ったものだぞ

フライトユニット付けたPTトレーナー改修機らが建設を手伝っているのを見た


633 : 名無しの傭兵

PTトレーナー改修機にフライトユニットwww

空でも飛ぶんか?


639 : 名無しの傭兵

そいつあれだろ

結構前のスレでちょっと話題になったやつ

同一人物ならマジで飛ぶぞ


645 : 名無しの傭兵

そいつの頭のネジどっかいったんじゃねえの?

それはともかくあとでA5に行ってみるわ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ