表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/37

EP4 義人と美浦のアフタースクール

話題の近未来VR小説『バトルステーツ・オンライン』、第3話が公開! 今回はベータテストの戦場で隠密行動が炸裂。スナイプや爆弾で敵を翻弄するプレイヤーが活躍する中、アイテムボックスでのトラップに驚愕! 一方で、高速戦闘を繰り広げるプレイヤーは敵と激突、パリィが決まる爽快感がたまらない。しかし、突然のノイズとクラッキングで緊急ログアウトに。現実では、評議連合がVR廃止を掲げて演説を開始。不穏な動きが加速し、仮想と現実の対立がヒートアップ!

翌日、


「あーあ、次のベータテストは来週か……」

 

「しょうが無いよ。まさかのクラッキングだったからね」

 

 義人と美浦は、ふくろうスクール・自由学習フロアで授業を受けていた。

 

 ふくろうスクールのコンセプトは、性別や年齢、障害の有無を問わず誰もが主役をモットーとした自由学習。

 

 

 義人たちは、プロゲーマーを養成する「デジタルスポーツ学科」に通う。

 

 今日もVRゴーグルでゲームトレーニングをする小学生から、スティックデバイスで汗を流す社会人までいる。


「では、本日はここまで。アフタースクールは計画的に」

 

 授業が終わり、美浦と義人はふくろうスクールから下校した。

 

「ねぇ、帰りにオーズモールによってかない? <ミラクルビーツ・ラブ&ブレイク>の最新作が導入されたんだって!」

 

 美穂が言うミラクルビーツ・ラブ&ブレイクは、今若者たちから絶大な指示を受けているダンスアクションアーケードゲーム。

 

「父さんがギガンテス・エンタープライズにMAVシステムを供与したから、もう完成していたってことか」

 

 Matching Assembly Visualization、MAVシステムは、南天堂が開発したチームマッチングシステム。

 

 年齢性別、人種などを問わずマッチングしたMAVチームを登録することで、あらゆるゲームでのランキングが反映されるシステムとなっている。

 

 夫婦や同性カップル、更にはVRキャラクター同士のMAVも存在している。

 

 義人と美穂は既にMAVとして登録を済ませ、千葉のチャリティーイベントでデジタルスポーツ普及のお手伝いをしていた。

 

「BSOのベータテストの次回開始までまだ日もあるから、気晴らしにやってみよう!」

 

「そうだな。アマチュアMAVの華麗なダンスを見せてやろう!」

 

 帰りのバスに乗り込み、オーズモール停留所で下車する。

 

 モール内は買い物客でごった返すが、ゲームコーナーは、それと一線を画す熱気に包まれている。


「それじゃぁ」

 

「やりますか!」

 

 記録用ICカードを筐体に挿入してコインを投入する。

 

 そして、円筒型ARディスプレイボックスの中に入る。

 

「美浦、準備はいいか?」

 

「こっちもOK!」

 

 二人はまず練習モードで汗を流すことにした。

 

 選んだ曲は、Vチューバー「小湊はるか」の「ホップ・ステップ・Jumping」

 

 シリーズ入門として、幅広いプレイヤーに支持されている名曲。

 

 両者の演目(ダンス)が始まった。

 

 義人は華麗なスピンを決めると、美浦はタップステップでそれをアシストする。

 

 観客(ギャラリー)は大きな歓声を上げる。

 

 二人の華麗なブレイキンは人々を魅了する。

 

 そんな中、

 

『対戦チームから、申し込みが来ています』

 

 筐体アナウンスが二人に対戦希望者を知らせる。

 

「相手は、横浜デュオッツか!」

 

 対戦相手の「横浜デュオッツ」は、アマチュアダンス大会で全国2位の実力者。

 

 そんな彼らがラブ&ブレイクに殴り込みをかけたのはごく最近らしい。

 

 ちなみに夫婦で、二人の子供を持っている。

 

「私達の華麗なダンスを」

 

「見せてやるぜ!」

 

 夫はブレイキンダンサーの「ジョージ」、妻は可憐な女優の「こはる」を選択した。

 

「よし、曲はあれにするか!」

 

 選んだ曲は、プロへの登竜門としても名高い男性ボーカロイド「神船まこと」の「大馬鹿一代・ワイルドビーツ!」。

 

 スローテンポの演歌調から激しいアップテンポに加速する高難度曲。

 

『横浜デュオッツVS稲毛アウルズの対戦が成立しました』

 

 両者は揃った。

 

演目開始(レッツ・ダンス)!』

 

 華麗なるダンスバトルが始まった。

 

 先行は横浜デュオッツ。

 

 夫が華麗なヘッドスピンを決める。

 

 床の可変圧センサーがそれを感知してポイントを加える。

 

 続いて稲毛アウルズのターン。

 

 義人はシャッフルから美浦のエアチェアを決めて観客たちを魅了する。

 

 両者一歩も譲らない。

 

 華麗なるダンスで観客たちを魅了していく。

 

 バトルは終わり、結局は両者引き分けに終わった。

 

「楽しかったなぁ」

 

「これ、体幹トレーニングも兼ねてるから、いい運動になるね」

 

 義人と美浦はバスに乗って帰宅の途に着いた。

 

「ただいま」

 

「義人、おかえり。 お父さんが見せたいものがあるって」

 

 道子が幸太郎からなにかがあると義人に伝えた。

 

「なんだろう?」

 

 義人は興味津々になった。

 

 幸太郎がリビングに出てきた。


 その手には、青いホロカードが2枚握られている。

 

 東京グローバルボーイミーツガールズコンペティション、通称TGBMGC。

 

 ティーンの世界的祭典として毎年日本で開催される若者文化の一大イベント。

 

「美浦ちゃんも参加してほしいんだ」

 

「ということは?」

 

 義人は大体の目星はついていた。

 

南天堂(うち)と穂波インタラクティブが共同開発した最新格闘ゲーム<鉄血対戦・ナックルバースト>のプレミアムエキシビションに出てほしいんだ。もちろん、報酬も用意しておくよ」

 

 これは意外な橋だった。

 

 国際的なティーンの祭典で行われるエキシビジョンマッチに美浦といっしょに参戦できる。

 

 これはまたとないチャンス。


「だが、今年のTGBMGCは何か嫌な予感がする。それでも行くか?」

 

「何を今更だよ! 父さん、この話乗るよ!」

 

「そういうと思ったよ!」

 

 幸太郎から告げられた大舞台の話。

 

 今年のTGBMGCは、大きな波乱を含んでいるということを義人たちは、まだ知る由もなかった。


 世界規模の大きな混乱のほんの小さな始まりに過ぎないことを……。

大規模なイベントへのお誘いに、義人が出した答えとは!?

次回、未だにクラッキングの爪痕が残るBSOである人物と課外レッスン!?

見逃すな!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
拝見させていただきました。 思った以上に熱量の凄まじい作品で驚きましたよ。 オンラインゲームでワチャワチャやるだけの作品なのかと思っていたら、現実での国民共産党というゲームに恨みでもあんのかっていうヤ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ