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バトルステーツ・オンライン〜若き番のゲーマー、世界へ羽ばたく〜  作者: 騎士誠一郎
義人と美浦のドキドキ職場体験!〜Featuringミッドナイトトレイン・ジャック〜
35/37

EP35 悪魔の媚薬とテコンドー

美浦はかつて人気子役として名を馳せていたが、ある悲劇により、教育虐待の被害者に!?

それでも、義人が自分を救ってくれたおかげで明るく振る舞っていた。

その一方で、コンカフェ狩りが始まろうとしていて!?

ホテルのエントランスに、体格の良い男が待ち構えていた。


「滝坂くん、だったね」


 落ち着いた声──

四国州知事補佐、梅田吉蔵。


「あなた……知事補佐の!」


「ええ。ここでは立ち話も忍びない。さあ、どうぞ」


 梅田は、滝坂をホテル最上階のレストランへ案内した。

黄金のシャンデリアが放つ光は、傷ついた若者には眩しすぎた。


「好きなものを頼みたまえ。宿泊費も含めて心配は無用だ」


「あ、ありがとうございます……」


 滝坂は震える指でビールを注文した。


 

「お母様は、高校の教諭でしたね?」


 梅田はワインを軽く傾けながら切り込む。


「はい。母は“エリートになれば幸せになれる”と……信じていました。でも、自由化で全部狂ったんです!」


「義務教育の撤廃……。政府は“個性”ばかりを持て囃し、あなたのような“本物”を見捨てている」


 梅田の言葉は、まるで心の隙間に吸い込まれる毒。


「救済策もあるが、届かぬ者の方が多い……あなたは、その犠牲者というわけだ」


「そうです。個性の時代なんて……終わらせないと」


 滝坂の瞳に、復讐の炎が宿った。


「母の保釈金もいる。どんな闇仕事でもやります……俺の人生、これで終わらせられない!」


「なるほど」


 梅田は、ゆっくりと微笑んだ。


「では──保釈金は私の知り合いの弁護士が送金します。お母様の安全は約束しましょう」


「……本当ですか?」


「ええ。明日の朝、詳細を詰めましょう。今夜は──めぐみくんと休みなさい」


 背筋が凍るほど滑らかな声。

滝坂はその優しさの裏の“牙”に気づかない。



---


「滝坂様、こちらです」


 めぐみが部屋まで案内すると、静かに扉を閉めた。


「で……やるべきことは?」


「簡単です。私の言うことに従うだけ──」


 めぐみは、ゆっくりと口を開く。

喉奥まで覗けるほど大きく。

ジルコニアが光る白い歯列が妖しく輝いた。


 

次の瞬間──

甘い香りと熱い呼気が、滝坂の体を支配する。


「な、なんだ……これ……っ!」


「女性の間で流行っている“飲む男性媚薬フレグランス”。あなたの嗅覚だけを刺激し、理性を焼き切る」


 国際条約で禁止された危険薬物。

めぐみは、微笑みながらその“毒”を滝坂に吸わせ続ける。


「これであなたは、先生の駒。快楽を得たければ──従いなさい」


「は、はい……!」


 滝坂の瞼が落ち、深い眠りに沈んだ。


「先生、洗脳は完了しました」


「ご苦労。では……お母様の“処理”も、予定通りに」


 梅田は、冷えた声で呟いた。


 今夜、ひとりの少年の運命が闇に飲まれた。



---


同じ時間。

義人と美浦はホテルのジムで汗を流していた。


「はっ!」


 美浦の回し蹴りがミットに炸裂する。


「いいフォームだ、美浦! 安定してきた!」


「11月のアジアカップまでに完璧に仕上げるんだから!」


 世界的に注目されるテコンドー大会。

美浦は団体部門で“稲毛アウルズ”の代表を務める。


「でも……後ろ回し蹴りが全然ダメなのよ!」


「それなら、新技を教える。BSOのガンカタ動作とテコンドーを合わせるんだ」


「そんな無茶な……!」


「美浦ならできる」


 義人の言葉に、美浦の目が輝く。


「なら、明日ログインして練習ね!」


「夜も遅いし、今日は休もう」


 二人は部屋に戻ると、同じベッドに倒れ込んだ。


「ねえ、よしくん。私の胸……気持ちいい?」


「な、なんでそんなこと……!」


「ふふ。抱き枕にしないと眠れないの」


 美浦は、義人の腕にしがみつき胸を押しつける。

ドクン、と義人の心臓が跳ねた。


「……甘えさせて、ね?」


「わかったよ」


 義人は美浦を優しく抱きしめ、眠りへ落ちる。


 

だが──

明日、ふたりが向かう“プレオープンイベント”で

彼らの平穏は粉砕される。


 

滝坂が闇に堕ちた夜。

悪意は、もう動き始めていた。


次回、プレオープンイベント開始!

激アツなバトルとキュートなお給仕に酔いしれてください!

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