EP29 なにわ人情ふくろう時雨 第2楽章
転売ヤーの方位で一時はピンチな稲毛アウルズだったが、警察のお陰でなんとかピンチを免れた。
そして迎えたバトルトーナメント決勝戦!
キタのおかんとの熱いバトルが始まる!
「さぁあッ!! 決勝戦、いよいよスタート!!」
ジョージとレイナの声が重なり、会場のボルテージは最高潮。
観客の歓声が火花のように四方に散り、アリーナは一気に戦場へと変貌した。
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開幕、激走!
「たまも! 援護したるでッ!」
きりかが《300サイクロン》を駆使して高速展開、
突撃するたまもに合わせてレーザーの弾幕を張る。
「フォーミン! 相手の“なにわコンビ”はデータが少ない!
距離を取りながら削るぞ!」
「任せてください!」
ヨシトは《百雷》、フォーミンはバトルライフル《ロウリュウ》を構え、
中距離からの牽制射撃で応戦。
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繰り広げられる東西タッグのコンビネーション!
「きりか!」
「わかっとる!!」
息の合った連携でキタのおかんチームがアウルズを翻弄。
たまもがロングブレード《かしがら》を構え、一直線にヨシトへ襲いかかる。
「ここで押し切るで!!」
「させるかッ!」
ヨシトは右に《ウィンドブレード改》、左に《蒼雷》。
二刀を逆手に構えると、観客席が一瞬どよめく。
「ま、まさか固有スキル……
二刀流発動!?」
BSOには実戦経験で獲得する“固有スキル”がある。
ヨシトは偶然《蒼雷》を左手に握ったことで条件を満たし、
二刀流を会得していた。
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以外にも忍者 vs 二刀流の激闘が始まる
「そこはスキル――血霞の術!!」
たまもが口から紅い煙幕を吐き、視界を奪う。
忍者職特有の隠密スキル。ヨシトは一瞬、完全に見失う。
「落ち着け……こういう時こそ相手のペースだ」
ヨシトは目を閉じ、五感を研ぎ澄ませた。
風の流れ。足音。呼吸。
――“見える”。
「そこだッ!」
百雷が後ろへ放たれる。
「ひゃわっ!? なんで分かったん!?」
「心眼だよ。VRは――心で“見る”んだ」
毎朝続けてきた心眼トレーニングが、ここで覚醒する。
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そして、スキルの激突!
「うちも負けへん! ランウェイで輝くために――行くでッ!」
たまもは《かしがら》で斬りかかる。
ヨシトは二刀で受け流しながら反撃の構え。
「フルクロス・パリングカウンター!!」
進化した二刀パリィが炸裂し、蒼雷がたまもをかすめる。
「決まった!」
「なら、うちも秘密兵器や!」
たまもは武器を双剣《紅颯》へ持ち替えた。
紅いプラズマが刀身を包む。
「それ……二刀一対のプラズマナイフ!?」
「課金ちゃう! 賞金貯めて買ったんや!」
努力で手に入れた武器――その事実にヨシトの目が輝く。
「スキル――神威一閃!!」
雷光のような突撃。
ヨシトは紙一重で回避。
「なら次やッ! 雷刃!!」
紅い斬撃波が飛ぶ。
「遠距離まであるのか!」
ヨシトはパリィで弾く――だが、その一瞬。
(しまった、距離が……!?)
「もらったでッ!!」
「甘い!」
ヨシトの回し蹴りがたまもの脇腹に入り、距離を取り返す。
「リアルなら暴行罪やで!?」
「そいつはどうも!」
二人は笑い合う。
敵同士なのに、最高のバトルを楽しむ笑顔だった。
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「なら、こっちから行くぞ!」
「かかってきぃ!」
「スキル――ディヴァインスレイブ!!」
二刀の連撃。
たまもは華麗に受け流し、
「お返しやッ!」と腹パンで反撃。
「……おあいこやな!」
「だな!」
観客席から絶叫のような歓声。
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一方、もうひと組の戦場では…、
「やっぱウィンスタの映えって重要よね~!」
「せやけど派手すぎたら食う気せぇへんで!」
ガールズトークしながら戦うきりかとフォーミン。
フォーミンはSMG《ラビット20》に切り替え、
きりかはレーザーハルバード《ルシファー》で接近。
「そういえば大久保に新しい韓国料理あるの知ってます?」
「おぉ! 来月大阪にも来るって言うてた店やないか!」
「セリカ・レティエルも絶賛したプデチゲラーメンですよ?」
「ハリウッド日系女優が!? 食うしかないやろ!!」
戦闘中とは思えないテンション。
「大久保の韓流グルメ……いいなぁ……」
AIであるレイナは羨ましげに呟いた。
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実況席も最高潮に達した!
「残り3分!! 一瞬たりとも目が離せません!!」
「両者一歩も譲らん……ここからが勝負どころですね!」
ジョージとレイナが熱量全開で叫ぶ。
アリーナは揺れ、
光のエフェクトが乱舞し、
観客の興奮が天井を突き抜ける。
――BSO決勝戦。
クライマックスは、ここからだ。
次回はフォーミンときりかのがルーズトーク&バトル!
戦う女の子の融資を見逃すな!




