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バトルステーツ・オンライン〜若き番のゲーマー、世界へ羽ばたく〜  作者: 騎士誠一郎
若き能ある番のふくろうよ、その爪を隠して頂を目指せ
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EP28 なにわ人情ふくろう時雨 第1楽章

準決勝を見事に勝ち抜いた稲毛アウルズは有名人の結婚式の余興に招待されたが、思わぬテロに巻き込まれ、騒然とした。

それでも気を取り直して、決勝戦へ望む!

朝日がカーテン越しに差し込み、義人はまばたきをした。


「……おはよう、よしくん」


美浦は、ホテルのルームウェアの胸元を軽く押さえながら微笑んでいた。

――無防備すぎる柔らかさに、義人は思わず視線をそらす。


「おはよう、美浦。今日は……ホテルバイキングだったっけ?」


「うん! 目の前でベーコンエッグ焼いてくれるんだよ! 絶対おいしいやつ!」


二人は朝食を楽しみ、チェックアウトを済ませて幕張スタジアムへ向かった。



---


◆道中に流れる“不穏なニュース”


「……あれ?」


美浦が歩きながらニュースアプリを読み上げた。


「違法オークションの取り締まりが強化された影響で、転売グループが抗議デモを続けてるって」


義人は眉をひそめる。


「まぁ、自分で首絞めたんだしな。ルール破る方が悪い」


――その言葉の直後だった。


「おい、ちょっと待てや兄ちゃん姉ちゃん」


路地から、フード姿の青年4人が現れた。

ただならぬ空気が辺りに漂う。


「聞こえてたぞ? “転売は自業自得”ってやつ。オレらはなぁ、生活かかってんだよ」


美浦が一歩下がる。


「私たち、急いでるので……!」


「まぁ待てって。お前らゲーマーなんだろ? ちょっと協力してもらおうか」


「協力?」


「今日のイベント、派手にぶっ壊してほしいんだよ。あの大会が盛り上がるほど、俺らの商売は冷える。だから止めたい」


義人は奥歯を噛んだ。

“大会を壊す”――それはもはやただのワガママを越えた妨害行為だった。


「そんなこと、できるわけないだろ」


「は? 逆らう気?」


青年たちが距離を詰める――その時。


「そこまで。動かないでください!」


駆けつけたのは警察官数名。

近くで巡回していたらしく、不良グループの動向を把握していた。


「大会関係者への接触について事情を聞かせてもらいます」


「ちょっ……なんで俺らが捕まんだよ!? 社会が悪いんだろ!」


抵抗むなしく、青年たちは連れていかれた。


義人と美浦は顔を見合わせる。


「……巻き込まれなくてよかった」

「ほんとだよ。行こ、よしくん!」


二人はスタジアムへ急いだ。



---




会場に到着すると、観客の熱量がすでに跳ね上がっていた。

世界配信されるバトルトーナメント決勝。

スタジアムは過去最大の動員だ。


巨大スクリーンの前で、ARのレイナとリアルのジョージが実況を担当していた。


「ついに来ました決勝戦! 幕張スタジアムから世界へ生配信です!」


「環境もルールも決勝仕様。プレイヤーの実力がそのまま結果につながります」



---




レイナが声を張り上げる。


「まずは! 大阪発の人情魂、見た目はハイティーンでも心はおかん!

 なにわ人情スーパーガールズ――キタのおかん!!」


豹柄ジャケットのなにわ娘二人が手を振りながら登場。

リザーブ抽選から奇跡の復活――まさに“運を味方につけたチーム”だ。


続いて、


「世界が注目する学生最強チーム! 千葉市立ふくろうスクール所属――稲毛アウルズ!!」


義人、美浦、仲間たちは『ラブ&ブレイク』のキャラ衣装で登場し、会場がどよめいた。


「おーっと驚き! アウルズがまさかのキャラコスプレ参戦!」


「やっぱり人気ありますからね〜! 私もコラボしたい!!」


レイナが悶える横でジョージが淡々と解説する。



---




「なぁ、あんたら」


キタのおかんのメインプレイヤー・たまもが話しかけてきた。


「そのコス、えらい本気やな。いくらしたん?」


「担任の先生が選んでくれました! あ、このリップは韓国ブランドで――」


美浦がコスメの話をし始めた瞬間、


「アカンわ。化粧は金かけすぎたら、逆に損するで!」


相方きりかが素早くツッコミを入れた。


「流行はすぐ消える。大事なんは“自分に合う本物”を見極めることや」


「す、すごい説得力……!」


美浦が押され気味になると、義人が笑った。


「さすが大阪。話術も攻撃力高いな」


「せやろ? バトルでも負けへんで!」



---




両チームは、創英テクノロジーズの最新VRシステムチェア《ネオスフィア》に着席。

会場の空気は一気に締まる。


スクリーンに天空コロシアムのデータが起動し、観客席が揺れた。


「アウルズー! 世界の誇り見せたれ!」


「たまも! きりか! 大阪魂やああ!!」


「今日のビールとうまチキン最高〜!」


観客のボルテージは最高潮。


レイナとジョージが実況に入る。


「決勝はオフィシャルロワイヤル方式! アイテム禁止、回復禁止!」


「テクニックと連携だけで勝負が決まる、究極のルールですね」


キタのおかんのアバターは、

たまも=高機動エルフ(白兵特化)

きりか=重量級ロボ(高火力射撃)

という、王道ながら抜群に噛み合う布陣。


彼女たちは課金なしの“初期武器極め勢”。

その武器は進化し、もはや別物の火力に達している。


「教えたるわ! 金を使わんでも勝てるってことをな!」


両チームが向かい合う。


レイナが叫ぶ。


「さぁ、ここまできたら……勝つのはどちらか、ただ一つ!!」


ジョージが眼鏡を押さえる。


「いよいよ、決勝戦開始です」

次回からいよいよバトル開始!

キタのおかんのなにわ人情パワーが稲毛アウルズに襲いかかる!

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