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バトルステーツ・オンライン〜若き番のゲーマー、世界へ羽ばたく〜  作者: 騎士誠一郎
若き能ある番のふくろうよ、その爪を隠して頂を目指せ
27/37

EP27 悪意の矛先は、常に自分たちとは無関係なところに向けられる

ワルキューレツインズとの激闘はクライマックスを迎え、互いのMAVアタックが炸裂!

見事決勝戦へと駒を進めた稲毛アウルズ。

戦いから一度離れて、幕張豊砂へ。

幕張豊砂駅前広場――

義人と美浦が現地スタッフに迎えられた瞬間、活気に満ちた空気が流れ込んできた。


今日は、世界トップブレイキンダンスチーム〈Xcellent〉と稲毛アウルズによる、

VRダンスゲーム《ラブ&ブレイク》の特別エキシビションマッチ。

しかも人気俳優と女性声優の“ゲーム婚”の余興という特大イベントだ。


「まさか、俺たちが呼ばれるとはな……」

「でも幸せな瞬間に立ち会えるって、少しワクワクするよね」


二人はホテル 10階 114号室へ案内され、衣装の準備に取りかかる。


「父さんの話じゃ、幕張スタジアムで“バトルトーナメント”決勝もやるんだってさ」

「本気だね、Eスポーツの未来に」


義人と美浦は、プロレイヤー・小泉のコーディネート衣装に着替え、会場へ向かった。



---




MCを務めるVチューバー・笹川ホロンがハイテンションに叫ぶ。


「さぁー! 新郎新婦様の特別リクエスト!

 《ラブ&ブレイク》スペシャルエキシビションマッチ、スタートです!」


コスプレ姿の義人と美浦、そして世界大会優勝チーム〈Xcellent〉が登場。

黒人女性リーダーが拳を突き出す。


「HEY! 盛り上げようぜ、日本のダンサー!」

「こちらこそ!!」


二人は軽く拳を合わせた。

緊張と高揚が混じった空気の中、対戦開始が宣言される。


「それでは――演目開始!!」



---




華やかな音楽。

ダンスの躍動。

新郎新婦の笑顔。


――と、その全てが、一瞬で“破壊音”に塗りつぶされた。


《ドッ……ッッガアアアアン!!》


新郎新婦の席付近が閃光と共に爆ぜ、悲鳴と煙が広がった。


「――っ!?」「美浦、伏せろ!」


義人が美浦を抱き寄せ、テーブルの影に滑り込む。

広場は阿鼻叫喚。

倒れる人々。逃げ惑う参列者。


「よしくん……これ、まさか……」

「落ち着け。まず負傷者を――!」


義人は震えを抑え、プロレイヤーの冷静さで状況を分析し始めた。



---




同時刻。幕張本郷駅前。


街頭演説をしていた過激思想団体〈維新同盟〉の対馬が、

遠くで上がった爆音に薄く笑みを浮かべた。


「……始まったか」


背後で仲間が囁く。


「計画通り、祝賀イベントは混乱状態です」

「祭りは壊れた瞬間が一番美しい。――次の段階へ移るぞ」




---




数分後、警察・消防が到着し、義人たちは事情聴取に応じた。

ニュースでは“何者かによる意図的な破壊”として速報が流れる。


美浦はホテルの廊下で肩を落とした。


「ねぇ……明日の決勝、できるのかな……」

「父さんたちが会場の安全を死ぬ気で守るさ。俺たちは、やるべきことをやるだけだ」


義人はそう言うと、ホテル内のコンビニで弁当を買い、

疲れた体を休めるため部屋へ戻る。



---




稲毛アウルズの控室では、

フルダイブ格闘ゲーム《地面師ファイターズ》で気を紛らわせていた。


「うわー! また負けたー!」

「よーし、今日は勝ち越しだ!」


ようやくゲームを切り上げたころ、美浦はふいに義人に寄り添った。


「……ねぇ、よしくん。今日、怖かったね」

「……あぁ。でも守れる範囲は守れた」


美浦は照れ隠しの笑みを浮かべる。


「じゃあ……今夜くらい、くっついて寝てもいい?」

「……そっ、それは……」


二人は同じベッドに横になる。

義人の腕に触れた瞬間、美浦の声は小さく震えていた。


「……ありがと。こうしてると、安心する」


義人もまた、彼女の心臓の音を聞きながら、静かに目を閉じた。

次回はいよいよ決勝戦!

稲毛アウルズVSキタのおかんの激闘にこうご期待!!

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