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バトルステーツ・オンライン〜若き番のゲーマー、世界へ羽ばたく〜  作者: 騎士誠一郎
若き能ある番のふくろうよ、その爪を隠して頂を目指せ
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EP25 それぞれの思いと陰謀は織りなす糸のように

新潟米っとの洗脳されていた事実に気付いたヨシとはなんとか彼らを解放する。

このBSOに迫っている悪意に、薄々気づき始める2人は、さらなる戦いに身を投じていくことになる。

「バウンドフィッシャーズが――負けた!?」


試合後のBSOロビーに響き渡るヨシとの叫び声。


2回戦のリザーブマッチで、大阪の強豪チームにバウンドフィッシャーズが敗退したという速報が飛び込んできたのだ。


「その勝ったチームってね……“キタのおかん”。大阪のおかんで構成された、ある意味伝説のチームなの」


フォーミンがロビーメニューを開いて、決勝で当たる可能性のある相手を確認する。


画面には――

《バウンドフィッシャーズ vs キタのおかん》の衝撃映像。


序盤、バウンドフィッシャーズは圧倒的優勢。

誰もが「準決勝は彼らで確定」と思った、その瞬間。


「ほな、おばちゃんパワー、見せたるわぁ!!」


豹柄アバターのおかんヒューマンが、まさかの“初期装備の拳銃”で敵を削り始める。


相方のエルフおかんは、初期ロングブレードで容赦ない突きを叩き込む。


「見さらせ観客ぃ!」

「金かければ勝てると思たら……甘いでぇ!」


MAVアタックなし。

スキルなし。

アイテムなし。


ただ“おばちゃん魂”だけで繰り広げられる奇跡の連携プレイ。


結果、バウンドフィッシャーズは撃沈。


「初期武装で勝つなんて……」


「無料プレイ勢の極みってことなんじゃ……」


稲毛アウルズのメンバー全員が、黙って画面を見つめた。


そして気持ちを切り替え、準決勝の自分たちの対戦相手――

スウェーデンの双子チーム《ワルキューレツインズ》に意識を向ける。



---


 準決勝前の控え室、


「フォーミン、アイテムの手配は?」


「任せて。いま転送するね」


フォーミンが購入したアイテムをヨシとへ送る。


「お、よくこんなん買えたな!」


「限定ガシャでSLR出ちゃってさ。ヨシとくんには合うと思って」


「マジか! 俺なんてSSR止まりなのに……」


そんな軽口を叩きながら、二人はコロシアムへ入場する。


途端――

観客席から大歓声が降り注ぐ。


「さぁあああ!! 準決勝・第1試合!

稲毛アウルズ vs ワルキューレツインズ、開幕です!」


実況レイナの声が、雷のように響き渡る。


ワルキューレツインズのアンネとリィンが入場。

その存在感に観客席がどよめいた。


彼女たちがこの大会に参加した理由はただ一つ。

TGBMGCのランウェイで“見返したい人たち”がいるからだ。


「あなた達が、世界が認めた学生チーム?」


アンネがヨシとを鋭く見据える。


「まあ、そうだな。どうかしたか?」


「全力で倒す。それだけよ。……私たちには譲れない夢がある!」


アンネとリィンが一斉に構えを取る。


「フォーミン、あいつら……マジで来るぞ!」


「分かってる! こっちも本気全開!」


二人の武器が光を帯びる。


緊張が爆ぜる。


「準決勝、第1試合――開始!!」



---


戦闘開始。


先手を取るアンネ。

手には巨大両手剣ラグナレク


「タイタンインパクト!!」


轟音とともに踏み込み、振り下ろされる破壊の一撃。


「フルパリング・カウンター!!」


ヨシとはウィンドブレード改で衝撃を受け止め、そのまま神速カウンターへ変換。


「……さすが“風剣のサムライ”。噂通りね」


リィンが淡々と分析する。


「風剣の……サムライ?」


「世界中のゲーマーがあなたにつけたコードネーム。

敬意と畏怖の、ね」


ヨシとの名は、すでに欧米のゲーム雑誌にも載るほどの存在になっていた。


「でも――勝つのは私たち!」


「戦乙女の名に誓って!」


ワルキューレツインズが一斉に攻撃に転じる。



---




リィンのレイピア《スレイプニル》がフォーミンを狙う。


「ミラーウォール!」


フォーミンのSSRスキルカードが発動し、刺突を跳ね返す。


「それ……SSR!? ガシャ運、良すぎじゃない?」


「5連ガシャでね! ふふん!」


ドヤ顔のフォーミン。



---




アンネは武器をクロスボウガン《フェンリール》へ変更。


矢が高速雨のように降り注ぐが――

ヨシとは全弾パリィで弾く。


「パリィしながら笑うってどういう神経してるのよ!」



---


ログインしていた幸太郎(ヨシとの父)は、


「さすが藤宮チーフの息子、不正検知も見事でしたよ」


同僚に褒められるが、幸太郎は照れ笑い。


「やめてくれよ……あの子は、俺たちの誇りだ」


その時、運営から不穏な連絡が入る。


「上層部から? ……米政府からの情報共有?」


届いたのは“ノーブレス・アンノウン”に関する極秘資料。


《それは評議連合が開発した洗脳媒介プログラムであり、アメリカ政府は南天堂と共同対策を望む》


差出人は――

ロベルト・V・ケーニッヒ(前大統領)


「……これは、まいったな」


幸太郎はログアウトし、資料を開いた。


一方その頃――

コロシアムでは戦乙女とアウルズの死闘がさらにヒートアップしていた。



次回、ついに決着!

お互いの意地とプライドがぶつかり合う!

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