EP23 激戦と波乱と陰謀と
バンドフィッシャーズが2回戦進出を決めて、稲毛アウルズは次の戦いに備えて体を休める。
しかし、評議連合ではイベント解体会社と密談を交わしていた。
そして迎える、トーナメント2回戦!
はたして、稲毛アウルズは準決勝に行けるか!?
歓声が会場を揺らす。
今日からいよいよ二回戦。
「さぁ! 本日の初戦を飾るのはこのカードです!」
「昨日を超える激戦、絶対に見逃せませんよ!」
実況のレイナとジョージのテンションは最初からクライマックスだ。
その裏で――
「MAVシステムにエラーコード……っと。これは修正パッチ送っておこう」
ヨシトはテストプレイヤーとしての任務に集中していた。
大会の熱狂に浮かれることはあっても、不具合の発見は彼の大事な役目だ。
「ヨシトくん、お仕事終わった?」
駆け寄ってきたフォーミンが目を輝かせる。
「ああ、最低限のチェックはね。 これで安心して試合を見られる」
ヨシトは席に戻りながら、始まる初戦に意識を向けた。
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初戦:ワルキューレツインズ vs コマンダー99
コマンダー99――
正体は 国際治安機構(IGSO) サイバー対策局の精鋭チーム。
「IGSOがこのゲームに……何の目的で?」
「大会視察だけって雰囲気じゃねぇんだよな……」
稲毛アウルズの仲間たちが怪訝な顔で首を傾げる。
一方、コマンダー99の中佐と准尉は淡々と準備を整えていた。
「任務を忘れるな。今回の目的は“影のプログラム”の排除だ」
「了解です、中佐」
二人の視線には、勝敗以上の緊張が宿っていた。
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そのとき――ヨシトの端末が震えた。
『機密連絡:至急開封』
「……IGSOから? なんで俺に?」
周囲に気づかれぬよう人気のない場所に移動して開封する。
そこには、恐ろしい内容が記されていた。
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『藤宮ヨシト殿
あなたに突然の連絡を送る非礼をお許しください。
我々は、大会システム内部で暴走する“ノーブレス・アンノウン”が
反乱AIプログラムである可能性を確認しました。
彼らは大会を混乱させるだけでなく、選手の神経リンク領域に危険を及ぼす恐れがあります。
この情報を運営とあなたの父君へ伝達していただけませんか。
あなたが関係者だからこそ頼めることです。
IGSO サイバー対策局
オペレーション・リーダー:アズライト大佐』
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「反乱AI……? ノーブレスが……?」
ヨシトの胸に冷たいものが流れ込む。
彼は深呼吸し、メールを運営と父・幸太郎へ転送した。
「……消しとこう。誰かに狙われたら困るし」
端末から履歴を消し、観客席へ戻る。
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コマンダー99の二人が一気に攻勢へ出る。
「准尉、いくぞ!」
「了解!」
「来るなら受けて立ちますわ!」
「わたしたちの美技、見せて差し上げます!」
ワルキューレツインズはMAVアタックの構え。
「鳴り響け、福音の鐘!」
「切り裂け、聖なる光!」
そして――
「「バリスティック・グングニル!!」」
巨大な光弓から放たれた槍がコマンダー99を貫き、勝敗が決した。
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その裏で、ノーブレス・アンノウンが通路で静かに姿を現す。
「対戦準備完了」
「エラーチェック完了」
そこへ、コマンダー99の二人が立ちはだかった。
「残念だが、ここから先は行かせん」
中佐が銃を構える。
ノーブレスが無表情のまま、体を再構築する。
黒衣、紅い仮面、巨大な銃――
まるで死神そのもの。
「……危険度、A。排除対象を確認」
「撃て!」
銃弾とプログラム攻撃が交差し、ノーブレスは大きく吹き飛ばされた。
「精神データ損傷率80%……任務継続不能。撤退」
光の粒子となり、姿を消した。
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大会を裏から監視する評議連合の本部。
「IGSOが気づいた……だと?」
組織を率いる男・かずおは激昂し、机を叩いた。
「内通者がいる可能性があります」
参謀役の倉田が淡々と言う。
「探し出せ……そして消せ。見せしめが必要だ。
“プロジェクト・ブラッディイブ”が漏れれば我々は終わる!」
倉田は無言で一礼し、部屋を去った。
残されたかずおは、モニターに映る青年へと視線を向けた。
画面には国際的な若きリーダー候補・アルバートが世界演説を行う姿。
『私は、暴走AIと闇組織によるサイバーテロに終止符を打つ。
個が自由に生きられる世界のために、必要なことだ』
「……ケーニッヒ家の坊やめ。貴様が動くほど我々の計画が狂う」
カズオは歯ぎしりをし、薄笑いを浮かべた。
「だが、まだ終わらん……“世界を塗り替える夜”は必ず来る」
不穏な影が、静かに大会の中心へと迫っていた。
次回はいよいよ稲毛アウルズの出陣!
こうご期待!!




