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バトルステーツ・オンライン〜若き番のゲーマー、世界へ羽ばたく〜  作者: 騎士誠一郎
若き能ある番のふくろうよ、その爪を隠して頂を目指せ
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EP18 青空と地獄のブートキャンプpt3

初日の夜の肝試しでMAVたちが供花の仕掛けた罰ゲームになすすべもなく倒れてしまう。

稲毛アウルズは、持ち前の即興性を活かしてなんとかクリアするものの、何故か不評を食らってしまうのであった。

翌日。

朝から張りつめた空気がただようBBQ施設に、義人たちMAVマヴメンバーが集結した。


「みんなーっ! 本日の特別ミッションは……カレー作りだよ!」


供花先生のハイテンションが青空に響く。


「おおおおっ!!」


一斉に盛り上がるMAVたち。


だが、供花は指をビシッと立てて続けた。


「ただし! これは〈MAV対抗カレーコンテスト〉ッ!! 優勝チームのカレーは――なんと一年間、南天堂デジタルアスリートカレッジの学食メニューに採用されます!」


「マジか!」「絶対勝つ!!」


南天堂カレッジ名物のこの大会は、実は“チーム連携能力を試す公式サブカリキュラム”。

ここ関東キャンパスでは、ふくろうスクールの生徒たちも加わり、毎年激戦となる。


「ルールはシンプル! 食材は自分たちで調達! 毒物は先生が除外しまーす! 調味料は支給なので安心!」


供花が笑顔で言うと、義人と美浦は支給金3000円を受け取り、調達作戦へ動き出した。


「0円カレーで勝負するの……? ぐふふ、ワクワクする!」


美浦の目が輝く。


「まずは情報戦だって! 敵を制すには市場を制す!」


二人は道の駅へとダッシュした。



その頃――。


「ふ、ふふふ……。この〈成金〉ハヤト様の財力と人脈があれば、王者のカレーなど造作もない!」


金髪のハヤトは、日本でも指折りの企業の御曹司。

ゲーム経済学の最先端を学ぶため、ふくろうスクールに在籍している。


しかし――。


「そこまで」


供花が背後からヌッと現れた。


「せ、先生!?」


「お金と人脈を使ったインチキはダーメ♡」


供花が取り出したのは、ジョッキに満たされた赤紫色の謎液体。

ゴボゴボと音を立て、煙すら出ている。


「さぁ、成金クン。先生からの愛のスムージーだよ」


「ひっ……!」


ハヤトは観念して飲み干し、秒速でトイレへ消えた。


「みんなも規定額以上を使ったら、こうなるからねー!」


その場の全員が震えた。


「成金くん、ルール違反で失格です。後片付けお願いねー♡」


供花の不敵な笑みが空へと消えていく。



そのころ、義人と美浦は道の駅で“廃棄予定食材”の情報収集を行っていた。


「お、ヨシと!」


聞き慣れた声に振り向くと、18歳の若手漁師コンビ――“バウンドフィッシャーズ”が現れた。


「来てくれたんだ!」


「あぁ。昨日お前から頼まれたブツ、持ってきたぜ。」


アジの中骨、キンメダイのアラ、香味野菜の切れ端。

すべて廃棄予定だった食材だ。


「うわ、これ全部使えるやつじゃん!」


美浦の目が光る。


「だが、本当に採用されるかは知らねぇぞ?」


金髪碧眼の漁師がニヤッと笑う。


「バトルトーナメントでは負けませんよ!」


「おう、こっちもな!」


美浦とバウンドフィッシャーズは固く拳を合わせた。


調達を終えた義人たちは料理場へ戻る。



「成金くんは?」

「たぶん今頃、供花先生に“二杯目”のスムージー飲まされてる」


規定金額オーバーは即失格。

罰は、供花特製スムージー&全皿洗い――南天堂の鉄の掟だ。


「それじゃあ……小泉塾名物! 南天堂カレーコンテスト、調理開始!!」


号令とともに、各MAVが一斉に動き出す。


義人たちはまず、廃棄予定食材を寸胴で煮込み、香味スープを作る。


「美浦、アク取り頼む!」

「任せろ!」


ウツボの切り身に塩コショウを振り、炭火でじっくり焼き上げる義人。

その横で美浦は鬼の形相でアクを完璧に取り除く。


エビ、アサリ、イカゲソを次々と下処理し、香るスープへ投入。

最後に市販ルゥを合わせると――


「完成! 稲毛アウルズ特製シーフードカレーだ!」



300名の生徒・講師が審査に参加。


「今年の優勝レシピは学食メニューに採用! さらにキャンパス対抗戦へ出場! MAVの絆が試されるぞー!」


歓声が空に弾ける。


屋台には台湾角煮カレー、激辛カレーなど多彩な逸品が並ぶ。


ハヤトは失格者として皿洗いに追われていた。


「なんで僕が……」

「文句言うと追加スムージーよ?」

「…………はい……」



そして結果発表。


「優勝は――稲毛アウルズ!!」


どよめきと拍手が沸く。

廃棄予定食材で作ったはずのカレーは、魚介と香味野菜の深みあるスープに、クラフトコーラの隠し味が効き、圧倒的高評価を得た。


義人は拳を握った。


「やった……!」



夕暮れ。

二日目の夜。


「というわけで――今夜はキャンプファイヤーよ!」


供花が告げると、塾生たちは歓声をあげた。


「しかも今回は……ラブ&ブレイク・ブラストディスラプションの野外エキシビションも行います!!」


新たな夜の戦いが、火の粉とともに幕を開ける――!

次回は、キャンプファイヤーでダンスバトル!

どのMAVが勝つのか!?

絶対に見逃すな!!

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