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バトルステーツ・オンライン〜若き番のゲーマー、世界へ羽ばたく〜  作者: 騎士誠一郎
若き能ある番のふくろうよ、その爪を隠して頂を目指せ
15/37

EP15 駆け出せ、栄光の架け橋から更に向こうへ

投稿者: アウルズ応援団

日時: 2055/05/30 22:00

BSOファンのみんな、集まれ! 第14話のあらすじドロップ! ヴィランの暗雲とレースの熱さ、ヤバすぎ! ネタバレ注意な!

【あらすじ】

村瀬かずおの「平等なる痛み」計画が炸裂! 評議連合の暗号通信サミットで、紅がTGBMGC妨害を画策。詐欺師・三奈木俊永(12億詐欺)の「ゲロやば」口調と派手メイク、ヒロアカのヴィラン並み! 対馬のフェミニストチームも参戦、毒親と没落エリートの教育自由化反対が不穏。BSOでは予選ラウンドのサバイバルレース(ナビ無し、回復無し)が発表! バウンドフィッシャーズと不気味なノーブレス・アンノウンが注目株。レイナの「じゃじゃ~ん!」と進藤ジョージのアフロ実況で、空中闘技場が熱狂! ヨシトと美浦は観客席で「ナビなしきつい」と語るが…次話でバトル復帰!?



各チームがスタート地点――かつて文明が栄え、今は瓦礫と化した“都市遺跡フィールド”に整列した。


 総勢三十四チーム。

 ここから先に歩めるのは、わずか八チーム。


 ナビなし。回復スキルなし。

 最後に残るのは“生き残った者”だけ――。


「それではみなさん……お覚悟は?」


 レイナが高台から煽るように呼びかける。

 この場の全員が“覚悟の顔”をしていた。脱落も、敗北も覚悟のうえでここに来ている。


「栄光の架け橋へ、いざ――スタート!」


 レイナの手が振り下ろされ、光のスタートシグナルが炸裂。

 同時に参加者たちが一斉に飛び出した。


「始まりました、予選ラウンド・サバイバルレース! 三つのチェックポイントを突破し、天空コロシアムへ転送されればクリアとなります!」


 レイナの張りのある実況が会場に響き渡る。


「つまり、チェックポイントに辿り着けない者は……ほぼ脱落、ということですね」


 横でジョージが不敵に笑うように付け加える。


 画面には、早くもトップ集団が映し出される。

 その先頭に立つのは――バウンドフィッシャーズ。


「海の男の――」


「土地勘をナメるなよ!」


 幼少期から船上で鍛えた読風能力と地形感覚。

 そのスキルは仮想空間すら超え、彼らをトップへ押し上げていた。


 稲毛アウルズとの再戦を誰もが期待した。


「おっと! こちらでは早くもバトルが発生しているようです!」


 レイナの声と共に、画面にはチーム同士の激戦が映る。


「ホーミングランサー!」


 ライフルから放たれた光の槍が敵を追尾し、


「ゲインシールド!」


 瓦礫を組み合わせた即席の盾が即座に防御を展開する。


 各所で爆発、光のエフェクト、地面の揺れ――

 戦場そのものだ。


「このレースはMAV同士の撃破も許可! 邪魔なら叩き潰して進むも良し!」


「いかに無傷で終盤まで行けるかが、勝敗の分かれ目ですね」


 レイナとジョージの掛け合いに、観客の熱気はさらに高まる。


 一方、観客席から離れる二つの影。ヨシとフォーミンだった。


「あっ……そうか。明日、定期試験だ!」


「そういうことだ。今回の論文は“教育のあり方”がテーマだからな」


 ふくろうスクールでは半年ごとに定期試験があり、その成績は南天堂などの大手企業の就職にも繋がる。


 前期論文テーマ――「社会と教育のあり方」。

 題材は“2045年・最後の進学競争”。


 二人はログアウトし、義人は家に戻った。


「父さん、論文のネタになる本ない?」


 幸太郎は頷き、義人の端末に一冊のデジタル書籍を転送する。


『三国掃除著・教育の多様化と就学義務の終焉』


 義人は部屋で読み始めた。


 2030年代、フリースクール構想が全国に広がり、受験制度が崩壊し始めた。

 エリート主義者たちの反発。

 政府の支援。

 教育の多様化が止まらない時代。


 そして、2039年。

 時代の波に呑まれ没落した平等院家が「伝統の死」と叫び、自らに火を放った――。


「……そんなことが……」


 義人の手が一瞬止まるほど衝撃的だった。


 さらに読み進めると、2044年の全国大学入試テスト――

 “最後の進学競争”と呼ばれたそれは、もはや形式だけの簡素なテストに成り下がっていた。


 教育の自由化は少子化と合わさり、名門や良家という価値観が音を立てて崩壊。

 代わりに“個性の時代”が訪れた。


「……よし。これで論文は書けた。あとは他教科の勉強だけ」


 義人は深呼吸し、机に向かおうとした――その時。


 レイナからの緊急通知。


「じゃじゃ〜ん! 予選を勝ち抜いたチームが出揃いました!!」


 アーカイブ映像では、バウンドフィッシャーズがトップでゴール。

 ノーブレス・アンノウンも、目立たぬまま最後の一枠に滑り込んでいた。


(次の戦い……絶対に勝つ)


 義人は試験への不安も忘れ、静かに目を閉じた。


──翌日、ふくろうスクール。


「はぁ……単位落とすかと思った……」


 試験を無事終え、AI採点で平均点をやや上回った義人は、学食でラーメンをすすっていた。


「お疲れ! わたしたちの一回戦、三番目みたいだよ」


 美浦がカレーを頬張りながら言う。


「対戦相手は?」


「中国の人気配信者チーム“バウンティドラゴンズ”。連携と奇抜なパフォーマンスがウリで、海南エンターテイメントがスポンサーについたことで話題なの」


 そこに供花が現れ、グッと割り込む。


「……アイツらか」


「小泉先生? 知ってるんですか?」


「知ってるも何も……過去に亮介さんと戦ったことがあるのよ。あの“クセの強さ”……思い出すだけでも腹立つわ!」


 紙パックが握り潰されるほどの怒気。

 海南エンターテイメントはアジア有数のVR企業。

 その宣伝のために彼らをスカウトしたのだ。


「さて……試験も終わったことだし。あなた達、補習やるわよ」


「ぶ、部活ですか……?」


「まさか……あれ、じゃ……?」


 美浦と義人が青ざめる。


 供花は親指をぐっと立てた。


「そう! ふくろうスクール名物・宿泊訓練プログラム――“小泉塾”!」


 勝浦市の特設合宿所に連れていかれ、

 デジタルバトル訓練、フィジカルトレーニング、戦術会議、コミュニケーション訓練……。


 二泊三日で精神まで鍛え上げる地獄のブートキャンプ。


「今回はバトルトーナメント向けの基礎トレーニング。あと八人、選抜しておくから覚悟しなさい」


 供花が満面の笑みを浮かべた瞬間――


 ブートキャンプは、すでに始まっていた。


次回、義人たちは合宿へ!?

意外な出会いにも注目だ!!

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