EP11 毒親とは自らのエゴのために動く生き物であって(改稿)
投稿者: 稲毛アウルズ魂
日時: 2055/05/02 20:00
BSOファンのみんな、集まれ! 第10話のあらすじドロップだ! ヨシトと美浦の特訓、学食のド迫力、マジで熱くて癒されたぜ! ネタバレ注意な!
【あらすじ】
ふくろうスクールのVRルームで、ヨシト(ウィンドブレード)と美浦が供花の鬼指導に挑む! IDSCC(国際デジタルスポーツ・クリスマスチャンピオンシップ)に向け、シミュレーションプランC発動! ARシミュレーションで、マイク&ミシェルのエミュレーション(乱舞、スナイプ想定)とガチンコ勝負。戦術プランSD-90(美浦突撃銃前衛、ヨシト居合後衛)で応戦も、供花の「愛のムチ」サプライズ! ヨシト&美浦自身のデータ(マイク戦術融合)が登場! 「やってやろう!」と意気込むも、惨敗でIDSCCの壁を実感。
休憩後、学食で美浦が特盛ティーン様ランチ(2kg、エビフライ5本、オムライス1kg)を30分でペロリ! ヨシトのカツカレーと優しい視線が絆をキラリ。毒親の抗議文(「稲毛アウルズ解散!」)が掲示板に貼られ、自由への試練がチラリ。供花の「休むのもゲーマーの仕事」が、次への決意を固めるぜ!
今日は〈ふくろうスクール〉最大のイベント、年に一度のオープンスクール。
山小屋で暮らす孤児たちと地域の大人たちが一緒に過ごし、未来の可能性を探す特別な日だ。
朝から校庭には屋台と笑い声が広がり、手作りの看板には大きく《ふくろうマルシェ》の文字。
地域に向けて学校を開く――それが学長の信条であり、この学校が生き残ってきた理由だった。
「今日のカレーは無水チキン! トマトの旨味がギュッと詰まってるよー!」
美浦が鍋を振ると、子どもたちがわっと集まり、湯気が立ち上る。
事故で両親を失った彼女は、以前よりずっと明るくなった。
その笑顔を見るのが、義人は好きだった。
(――あの日から、本当に変わったよな)
義人の脳裏に、5年前の光景がよみがえる。
◆
中学を中退したばかりの頃。
道端で蹲る少女・美浦が、数人の同級生に取り囲まれていた。
「……これは」
義人は迷わなかった。
端末を起動し、映像・音声・写真を同時記録。そのまま落ちていた小石をひょいと拾い、
――パスッ!
「いてっ! 誰だテメェ!」
「いじめ、やめろよ」
「邪魔すんならタダじゃおかねぇぞ!」
囲んでいた少年少女たちが逆上する。しかし義人は一歩も引かなかった。
「やれるもんならやってみろよ。さっきの証拠データは、もう父さん経由で弁護士に送ってある」
「はぁ!? 訴えるとか卑怯だろ!」
「人生メチャクチャにする気!?」
「卑怯なのはお前らだ」
次の瞬間、リーダー格の少年が殴りかかってきた。
義人は剣道仕込みの反射で拳を横から払う。
「言ったろ。勝負にならないって」
その一撃が決定打となり、加害者たちは悔しさに叫び声を上げた。
直後、通報を受けた警察に連行されていく。
「……大丈夫?」
「……うん」
震える美浦の手は冷たかった。
まともな食事もできず、虐待から逃げてきたばかりだと知ったのは、それからだった。
義人は彼女を保護し、父・幸太郎の孤児支援プログラムを通じて、ふくろうスクールへ引き取った。
◆
そして今――笑顔で子どもたちにカレーを配る美浦がいる。
その姿が、義人には何より誇らしかった。
……だが、その穏やかな空気は突然、破られた。
「このオープンスクールの断固中止を要求する!!」
校門前で怒号が上がった。
義人が駆けつけると、見覚えのある顔――虐待加害者の親たちを中心にした団体が、警備員を押しのけていた。
「あなた方、何をしているんですか? 警察を呼びますよ!」
「黙れ! この学校のせいで私たちの“親としての尊厳”が傷ついたんだ!」
毒親たちは、自身の過ちを子どもと学校に責任転嫁していた。
「義務教育を破壊する気か!? このフリースクールは即刻閉校すべきだ!」
その時――。
スマホを構えた少女・さくらが、冷静にライブ配信を始めた。
「はい皆さん、これが“毒親”です。気に入らないものを全部排除しようとする哀れな大人たちです」
コメント欄は瞬時に埋まっていく。
「ふくろうスクール頑張れ!」
「子どもを守る学校を潰す気かよ!」
毒親たちの顔がみるみる歪む。
更に最悪な一言が飛んだ。
「私たちは、シン・評議連合・村瀬先生の支援で――」
その瞬間――
「千葉県警です! 動かないで!」
交通課の巡査たちが駆けつけ、暴れる保護者を次々と制圧した。
「離せ! 私たちが被害者だ!」
「あなた方がやっているのは威力業務妨害です」
叫びも虚しく、パトカーへ押し込まれていく。
その中には、美浦を虐待した親戚の姿もあった。
……イベントは一時中断したが、すぐに再開した。
◆
「お、今年も高坂さんの酒粕メロン出てる!」
「おうよ! 今年は“当たりの粕”を使ったからな。味、保証するぜ!」
クラフト農家の商品は、地元の富裕層やシェフが買いに来るほど人気だ。
中でも高坂の酒粕メロンは“幻の赤肉”と呼ばれる逸品。
「高坂さん、俺の分、予約いいですか?」
「任せろ!」
義人が笑う横で、高坂がふと声を潜めた。
「そういやヨっちゃん……評議連合、比例出ねぇって知ってたか?」
「あ、ニュースで見た気が……」
高坂は眉をひそめた。
「支持率ガタガタなのに、立て直し優先するらしい。村瀬代表、相当追い込まれてるな」
「……その村瀬と、いつか戦うことになるのか?」
「大丈夫だって。ケーニッヒ次期大統領候補が、あの共産主義者どもを黙らせてくれるさ」
政治の嵐が近づいている。
だが、今日だけは義人も子どもたちと祭りを楽しむことにした。
◆
――そして、数日後。
ついに“あの日”が来た。
VRオンラインゲーム《BSO》正式リリース。
「みなさーん、BSOへようこそ!
私はAIナビゲーターのレイナ! 今日からあなた達と冒険するよっ!」
派手な髪色、完璧なプロポーション、煌びやかなコスチューム。
レイナが画面に現れた瞬間、稲毛アウルズ全員がざわついた。
「それでは、正式リリース記念オンラインイベント――スタートです!」
世界は動き出した。
義人と仲間たちの運命も、ここから大きく加速する――。
そんなわけで、次回から新章が開幕!
新たなライバルたちの出現にこうご期待!!




