EP1 青春は、ゲーム三昧!! (改稿)
圧倒的な力を振りまくドラゴン。
「俺の華麗な技を見せてやるぜ!」
その言葉とともに華麗な剣さばきを見せる少年。
人気VRMMORPG「シルフィーエターニアル」のサービス終了イベント。
それをプレイしているヨシと。
隠しボスをソロで討伐していた。
隠しボスのパールドラゴンが火炎ブレスを放つ。
ヨシとが華麗に回避する。
「スキル・ライジングブレイク!」
ついに、隠しボスを撃破した。
<本日をもって、サービス終了します。 プレイヤーの皆様はログアウトをお願いします>
「俺もログアウトしますか」
ヨシとはステータス画面を開いてログアウトする。
「ただいま」
黒い短髪を書き上げ、義人はライトブラウンの瞳を開いた。
義人が現在いるのは、千葉県千葉市のとあるマンションの1室。
使用しているのは、父親が勤める老舗ゲームメーカーが開発したリクライニングチェア型VRゲームシステム。
プロゲーマー向けのシステムをリーズナブルな価格で提供するため、ある程度のデチューニングを施して完成させた。
この時代では、リクライニングチェア型システムが主流となっている。
「義人、朝ごはん冷めちゃうわよ!」
「わかってるよ」
母親に言われて、義人はリビングへと向かう。
家族構成は父と母、今は離れて暮らしている姉の4人ぐらし。
「どうだった? 最新の家庭用VRシステムは?」
「レスポンスが20%高くなったというのが素直な感想かな? あと、改善点があるとすれば、ネットワーク接続環境の不具合を修正すれば完璧かな?」
「貴重な意見だね。社に持っていくよ」
父・藤宮幸太郎は、日本の老舗ゲームメーカー「南天堂ホールディングス」の開発チーフ。
息子である義人をテストプレイヤーとして採用しており、その意見やデータを開発に活かしているという。
「いやはや、お前がいると開発に熱が入ってね。開発チームなんか、お前の率直な意見がないとダメみたいなんだ」
「お父さん、お仕事に行ったらどうです?」
母親の道子に言われ、
「わかってるよ。義人、今回の意見は参考にさせてもらうよ」
そう言って幸太郎は自宅を出る。
「義人、あなたも学校へ行ったら?」
「そうだった!」
義人は朝食を素早く食べ終えて学校へ向かう。
通う学校は公立フリースクール「千葉市立ふくろうスクール」。
不登校者の社会復帰を目的としているが、あえて通わない選択をした生徒も多数在学している。
彼らは、自由教育が当たり前になっている。
反自由教育系からは「フリースクールは教育を衰退させる」と批判が高まる。
それでも不登校者の教育環境事情を考慮すれば、公立のフリースクールがあってもおかしくない。
「おはよう!」
「おはよう、よしくん」
門前で待っていたのは、2つ年下の幼なじみ明石美浦。
赤茶色のサイドアップでスタイルは控えめながらも発育が良い。
「美浦、今日は登校日か!」
「うん! 発作も出てないし、身体も安定してる」
美浦は過去の教育虐待からPTSDを患っており、路上でいじめられたところを義人が救ってくれた。
「情けないな、多人数で女の子をいじめる奴らって」
幸太郎の人脈を頼りに、弁護士に依頼していじめの加害者に法的措置を食らわせた。
加害者たちは「法的措置は卑怯だ」と叫ぶが、義人のトドメの一打で加害者たちを号泣させた。
そして現在に至った。
「よしくん、南天堂が新しいゲームのベータテストを行うから、今度の日曜日に付き合ってくれない?」
「BSOだろ? そう言えば父さんが今度ベータテストをすると言って俺のマシンにインストールしてあったな」
「じゃぁ、決まりだね!」
二人は、学校で授業を受け、やってきた放課後。
「じゃぁ、今夜7時に!」
美浦と別れた義人は、行きつけのゲームショップへと足を運ぶ。
「よっちゃん、今日もアルバイト?」
「とりあえず、課金用のプリペイド3000円分の仕事がしたい」
ゲームショップで20分の棚卸しの手伝いをする。
こうしたスキマバイトは、高校生たちのステータスになりつつある。
「ちょうど、バトルステーツ・オンラインのベータテストが始まるって聞いたけど、よっちゃんは良いよな。お父さんのお手伝いもやってるから」
「へへへ、俺は南天堂のテストプレイヤーの一人ですから」
「でも気をつけたほうが良いよ。ここ最近じゃ<社会教育推進機構>っていう連中が騒ぎ立てているのだよ」
店主によれば、FDVRの教育的影響を叫ぶ団体が声を上げて活動しているという。
自分たちが気に入らないものは排除するという感情が丸出しで、はた迷惑千万。
いつの時代でも、活動家を名乗って迷惑行為をするものは気持ちが良くない。
「でも、今じゃ活動規制法が施行されたはずだぜ?」
「それの撤廃を求める活動家も最近出始めたんだ」
「ふーん」
そんなこんなで、店主からバイト代として南天堂マネーカード3000円分を受け取り、急いで自宅に戻る。
「ただいま!」
「おかえり。お父さんがインストールしてくれたからいつでもできるわよ。ベータテストは晩御飯のあとにしてね」
「了解!」
道子に言われて義人は風呂に入ることにした。
バスルームに設置された多目的端末でラジオを聞く。
『日本統一健全生活連盟は度重なる失態の責任を取る形で代表の真嶋陽一氏が辞任すると発表しました』
ラジオアナウンサーがこの日起きたニュースを伝える。
「やっぱり連盟の解体が加速し始めたというわけか」
そう言いながらメンズボディソープで体を洗い始めた。
体に感じるメンソールの心地よさが、義人を刺激する。
風呂から上がると、待っていたのは幸太郎だった。
「義人、晩御飯を食べ終えたらすぐにログインできるか?」
「おう! 南天堂が威信をかけて作ったゲームだから、楽しみだよ!」
それから1時間後、夕食を食べ終えた義人はすぐさまゲーミングシステムに座る。
「テスト版は今夜8時から10時までに設定されているから、無理するなよ」
「わかったよ!」
そう言いながら、義人は仮想の海へと突入する。
<Welcome to Battle States Online!>
バトルステーツ・オンライン、南天堂が威信をかけて開発したバトルロイヤル型FDMOBA。
『キャラクターをクリエイトします。 なお、変更はできませんのでご了承ください』
アナウンスに従い、義人はキャラクターをクリエイトする。
武器はナイフから狙撃銃まで様々。
ちなみに最大武器装備数は2つで、近接と射撃に振り分けて装備することが多い。
「お、これとこれが合いそうだ!」
選んだのは双銃「フール」と、双剣「デュアルシュナイダー」。
『こちらでよろしいですか? なお、装備はロビーのショップで購入できますので、ランクが上がったらご検討ください」
アナウンスの案内が流れ終わった途端、
「よし! 行くぜ!!」
義人はベータテストへ、ダイブする。
眼の前に広がるのは広大な草原に囲まれた街。
バトルが始る予感に、胸が高鳴る。
「ここが俺の新たな戦場だ!」
そんなわけで、みなさんもお楽しみいただけたでしょうか?
実を言えば、かのシャングリラフロンティアと双璧をなすことを目指しています。
原作は私で作画は水野英多先生でwww(週刊少年ジャンプ連載で)
そんなわけで始まった「バトルステーツ・オンライン」、どうかよろしくお願いします!




