古典とファンタジー
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今回は『古典とファンタジー』です。
チートハーレム全盛のなろうファンタジーですが、日本でおそらく一番有名な『ハーレム』作品は、『源氏物語』です。源氏物語は、『芸術的なポルノ小説』とまで言われるだけあって、まあ、全編、ほぼ男女の絡み(というか、閨の睦言)しかない作品。今風にかきなおしたら、間違いなくR18。女性作家作品なので、ムーンのような気もするけど、現代女性にハーレムはまず受け入れられないからノクターンかも。
恥ずかしながら、私、この『源氏物語』は、小学生向けのダイジェスト版(よく考えたら、そんなものがあること自体が笑える)しか読んだことがありません。有名な『あさきゆめみし』大和和紀先生の作品も未読。ちなみに、小学生向けでしたので、光源氏は女性のところへ行っては和歌を読むだけ。初心で無知な小学生に、隠語すら入らないダイジェスト版では、『何のことやらさっぱりわからん』作品(苦笑)で、しかも病気になると坊さんが来て祈祷を始める現代では考えられない治療法。一応、その本一冊読み切ったものの、平安の予備知識もなかった私には、六条御息所の生霊の怖さだけを植え付けられた作品でした。
さて。今回の、本題ともいうべき作品は、夢枕獏先生の「秘帖 源氏物語『翁-OKINA』」であります。
この作品、病に伏した葵の上にとりついた『もの』の正体を光源氏が蘆屋道満とともにさぐる、そういう話でございます。
話の雰囲気は、ほぼ、『陰陽師』とかぶりますが、夢枕ワールド爆発作品。
『源氏物語』をファンタジーと言うひとはいないでしょうが、『翁』は間違いなく伝奇ファンタジー。
しかも、下敷きにした源氏物語の内容は、ほぼ改変されておりません。
夢枕先生は、この『光源氏』という、現代人から見たらどうしようもない男を、『人間として何かが欠けた男』として描くことによって、魅力的に仕上げています。
葵の上と六条御息所の二人の女性も、男性作家が描いていることもあり、どこか謎めいています。
この作品は源氏物語の呪術性に焦点を当てているため、源氏物語のハーレム性は低いです。
まあ、男がフラフラ女に手を出しまくると、イロイロやっかいなことがおこるというのはこの作品にも表れております。六条御息所は、嫉妬深いコワイ女のように見えますが、実は彼女こそ、ナマの女性なのです。
まあ、光源氏の恋愛の倫理観は別として。
古典は、このように視点を少しアレンジすると良質なファンタジーになります。
とはいえ、夢枕先生レベルの作品を書くということは至難の業でございますが。




