表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

95/105

エピローグ クズの幼馴染に彼女を寝取られたけど、あいつの溺愛している義理の妹と母親が償ってくれるので許してやることにした

 ――正直なところ、俺は武史と香里に恨みを抱いていた。

 憎かったし、怒っていたし、悪意を持っていた。


『できることなら、復讐してやりたい』


 俺が不幸になってもいいから、二人を不幸にしてやりたい――そんな思いがあったくらいだ。


 でも、色々あって……花菜さんと一華ちゃんにあいつの罪を償ってもらった今なら、分かる。


『復讐なんてしたところで、俺が幸せになることなどない』


 あいつらが不幸になって気を晴らすことはできるだろう。

 でも、その手段はきっと乱暴で粗いものに決まっているわけで……下手したら警察沙汰か、少なくとも退学することになっていたかもしれない。


 そもそも俺は、今まで他人に悪意を持った経験がない。

 つまり、裏を返すと……人に悪意を向けて発散するのが下手くそなのだ。


 普段怒らない人は、いざ怒ったら過剰にやりすぎる傾向がある。

 なぜかと言うと、怒ることに慣れていないから、加減のいい怒り方が分からないからだ。


 それと一緒だ。

 暗い感情をあまり持たない俺にとって、復讐なんていう行為がうまくいくわけがない。


 仮に復讐を果たしても、退学や逮捕などされていたら……あいつらのせいで俺の人生が歪んでいた可能性だってある。


 そうなったら、一生の傷だ。

 あいつらのせいで、俺の人生が捻じ曲げられるところだった。


 あんな最低なクズどもに、これ以上苦しめられたくなんてしたくない。

 だからこそ、復讐という道を選ばなかった自分に誇りを持てた。


(こうやって冷静になれたのは、花菜さんと一華ちゃんのおかげだ)


 あの二人がそばにいてくれたからこそ、心が穏やかになった。

 武史の罪を二人が償ってくれたからこそ、俺は人生を棒に振らずにすんだ。


 だから――もう、恨みなんて捨てることにした。


(許してやろう……もう、気にしないで生きていこう)


 勘違いしてほしくないのだが『赦す』わけではない。

 あの二人の行為がなかったことになるわけじゃないし、許容したわけでもない。


 だから『許す』ことにした。

 あの一件はちゃんと記憶に刻んだうえで、二人には何もしないと決めた。


 だって、結果的に見ると俺は幸せだ。

 武史と香里に裏切られる前より、明らかに幸せなのだ。


 ずっと憧れていた家族を、手に入れたのである。

 それ以上の幸せなんて、ない。


 だから、武史……お前には感謝してるよ。


 俺に、優しい母親をくれて、ありがとう。

 俺に、可愛い義妹をくれて、ありがとう。


 お前には色々と苦い思いをさせられたけど、許してやるよ。

 だって俺が一番ほしかったものを、くれたのだから。




 こうして、俺は家族と一緒に生活することができるようになった。

 花菜さんと一華ちゃんと過ごす時間は、何よりもかけがえのない、幸せなものだった――。




【終】




お読みくださりありがとうございます!

巧視点の物語は、これで終わりとなります。


ただ、武史のその後を書きたいので、もう少しだけお付き合いくださると嬉しいです。

巧だけの視点では語られなかったものが垣間見えると思います。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 完結お疲れ様でした。 武史くんとの訣別後に、三人のラブコメ生活が語られていくのかな?と思っていましたが、思った以上にスパッと完結されたので驚きました。 恋愛というより家族が主テーマだった…
[気になる点] どこにざまぁがあったの? 後日談含めて。 溜めさせられた不愉快度に対して弱すぎ。 正直、あなたの小説を2度と読みたくないと感じるレベルですね。
[一言] なんかちょっと消化不良気味な感じ。 主人公の性格って結局のところ優しさなんかではなくて優柔不断さと軽率さって側面が強く、こと主人公に対する評価に関しては花菜さんや一華ちゃんよりも武史のが的…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ