あとがき
お読みくださりありがとうございました!
作者の八神鏡です。まだ少し書き足りないことがあるので、あとがきに残したいと思います。
本作はこれにて終わりとなります。
母親ヒロイン、初めて書いたのですがとても楽しかったです。やっぱり男は何歳になっても母を求めてしまう生き物なのでしょう。ばぶー。
それはさておき、本編で描けなかった裏設定を少しだけ語りたいと思います。
まず、武史について。
優しい花菜に育てられたのに、彼がどうしてクズになってしまったのかと言うと……幼少期に、クズの父親を見ていた影響が大きいからです。
花菜が離婚したのは武史が5歳の時という設定なのですが……そのころに『強い父』と『弱い母』を見てしまった結果、男とは父のようになるべきなのだと刷り込まれてしまい、歪んだ人格が形成されてしまいました。
次に、花菜について。
作中は巧の視点で物語が進行しているので、被害者という印象が強いのですが……しかし、花菜が何も悪くない、というわけでは絶対にありません。巧には被害者に見えていますが、彼女にもちゃんと問題があります。
花菜はいわゆる『依存気質』で、他人に従う方が楽なタイプです。そのせいで若い頃、恋愛に依存してしまい……初めて恋をしたクズ野郎と結婚してしまった、というわけです。離婚してからは母親らしく振舞おうと他人に頼るのはやめたのですが、それでも子供たちに依存してしまい、子離れできずにいました。
武史がクズになったのは、花菜がしっかりと叱れなかったことも理由の一つとしてあります。子供に依存して可愛がりすぎた弊害ですね。
それから、一華について。
登場人物みんな悪人、みたいな物語ではあるのですが……彼女に関しては唯一、清廉潔白な人生を歩んでいます。その点で言うと、この作品における被害者は彼女だけです。
ただ、一華も花菜の血を継いでいるせいで、恋愛に依存傾向があります。だから初恋の巧に執着していた、というわけです。好きになる人間を間違えていれば、あるいは一華も花菜と同じ人生を歩んでいたかもしれませんね。
そして、香里について。
円城香里。えんこう――という語呂合わせで名付けた尻軽少女。今この瞬間のことしか考えない頭が空っぽな少女で、大人になったら水商売やら酒やら賭博やらホストやらで凄まじい人生を歩んでいました。
ただ、違法行為だけはせず、金持ちの爺さんと嫌々ではあるが結婚して、それなりに普通の人生を歩んでいます。こんな性格なので、破滅していないだけマシかもしれませんね。
最後に、主人公の巧について。
彼の視点で進む物語なので、彼の悪いところがまったく描かれていない……というか、巧自身も気付いていないことがあります。
それは、彼が幼馴染の武史に対して強烈なコンプレックスを抱いている、ということです。他者と自分を比較しない彼ですが、武史にだけは競争心を抱いていました。
武史は、巧の欲しいものをすべて持っていました。
容姿、知能、能力、そして……家族。優しい母親と可愛い妹のいる武史を、巧は心から羨み、憧れていたのです。同時に、劣等感を抱く対象でもありました。
だから彼は、武史の家族を欲しました。
作品を読んでくれた皆様ならわかると思うのですが……巧は終始、武史を下げる発言しかしていません。花菜と一華が武史と仲直りしないような言動をしているのです。
もちろん、彼が意識的に行っていることではありません。
無意識ではあるのですが、巧は……花菜と一華と『家族』になりたいという欲求を、抱いていました。
その欲求が叶ったからこそ、彼は最後に武史を許した――ということですね。
彼は決して良い人間ではなかったのです。そもそも、武史や香里と仲良くできる人間ですからね……人間らしい底意地の悪さは、ちゃんと持っていました。
巧は真っ白い絵の具のような人間です。
何色にも染まってしまう、純粋なだけの人間です。
だから、武史や香里とつるんでいた時は、少し性格が悪くなっていましたし……二人との関係を断ち切り、善良な花菜と一華と暮らすようになると、彼女たちに影響されて性格は穏やかになりました。
だから、巧は決して善良なだけの人間ではなかったのです。
……そう説明すると、巧が真の黒幕みたいになるのですが笑
しかし、彼の行為は結果的に全ての登場人物を救うことになりました。
もし巧がいなければ、武史は花菜に甘えて自分を省みることはなく真の意味でクズ人間として人生を歩んでいました。
花菜はいつまでも子離れできず、どうしようもない武史に傷つきながらも、見捨てることはできなかったでしょう。
一華も傷つく母を助けられずに、苦しむことになっていたと思います。
香里もちゃんと破滅の人生を歩み……今頃、どうなっていたのでしょうね。
巧のおかげで、それぞれの人生が良くなっています。
そう考えると、彼のした行為は決して悪行ではなかったのかもしれません。
因果応報、という言葉があります。
善いことをしたら善いことが起こる。
悪いことをしたら悪いことが起こる。
だから善い行いを心がけましょう……という、僕の大好きな言葉です。
なので、コメントでいろいろ言っている皆様へ。
どうか、そのコメントで僕がちゃんと傷ついていることもご理解ください。
僕は小説を書くことが大好きなどこにでもいるただの成人男性です。皆様と同じ人間です。書き手と読み手。どちらが偉いわけでもなく、平等な関係です。
人を傷つけても、善いことなんて起きません。どうか、少しでいいので優しい思いやりを持ってくださると、嬉しいです。
という、コメントを見て傷ついた僕の心情はさておき笑
その言葉通り、善いことをしていた花菜や一華、それから巧は幸せになりました。
思惑はどうあれ、この三人は決して誰かを傷つけませんでした。だから、善いことが置きました。
でも、悪いことをしていた武史と香里は、相応の人生を歩むことになりました。
他者を傷つけたこの二人には、ちゃんと悪いことが起きています。
きっかけは、ただの浮気。
でも、浮気するに至る理由と、派生した問題がありました。
その物語を最後まで書ききることができて、とても嬉しいです。
それでは、あとがきまでお読みくださりありがとうございました!
また新しい作品を書くので、そちらも読んでいただけると嬉しいです。
これからも、どうぞよろしくお願いいたしますm(__)m
最後までお読みくださりありがとうございました!
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