第53話 決意の告白
「それではお次のお客様、ご乗車ください」
とうとう俺達が乗る番になったので、係員の言う通りに観覧車に乗り込む。観覧車は四人乗りで二人席が見合っている形になっている。
「まあ、俺が一人で乗ったほうが良いよな」
「「……」」
俺はさっさと座ったが、二人は何故か見合って座らない。立ってたら危ないぞ。
「詰めたら三人座れるかな……」
「確かに私達、細いですしいけると思います」
「二人共、何言ってんの?」
何で二人席なのに三人並んで座ろうとしてるんだよ。二人で並んで座ってくれと思っていたら俺を挟んで左に溝口、右側に竹之内さんが無理やり座ってきた。俺達は狭いスペースにぎゅうぎゅうに座る。そのせいでバランスが悪い観覧車が滅茶苦茶傾いた。
「滅茶苦茶狭いんだけど!?」
「美少女に挟まってその感想?」
「あまり贅沢を言わないほうが良いと思いますよ?」
何故俺が怒られてるんだ……。交互に二人の顔を見ると楽しそうな顔をしている。俺は女子と密着しすぎてる今の状況でドキドキが止まらん。
「もしかして峻って男子の方が好きなの?」
「え、何の話!?」
溝口はいきなりチベットスナギツネみたいな目でぶっこんできおった。本当に何言ってるの?
「だって女子とくっついても平気そうじゃん!!」
「き、緊張してるわ!!そっちこそ平気で俺にくっついてきてんじゃんか!!」
「わ、私だって緊張してるんだよ……?」
上目遣いで俺を見つめてきた。うっ、緊張するんだったらこんな事しないでくれよ。俺の心臓がもたないだろ!!そんな事を考えていたら竹之内さんが俺の方をぽんぽんと叩いた。
「私ではドキドキしませんか?」
「二人がくっついてるから緊張しちゃうの!!」
そんなやり取りをしていると観覧車はドンドン頂上に向かって上がっていく。俺はふと外を見ると日が落ち始めていた。俺達は話すのに夢中になって外の風景を見るのを忘れていた。
「うわっ、外凄いぞ」
「うわ〜、本当ですね」
何か、日が沈み始めているからか都会のビル群がオレンジ色に光っているのがとても綺麗だった。
「あ〜あ、こういう所で告白されたいよね」
「そうですね。とてもロマンチックだと思います」
二人はそう言いながら何故か俺を見つめてきた。止めろ、俺を見るな。ロマンチックな事なんて言えないぞ。
「あ〜、いい景色だな〜」
「「ハア……」」
二人はため息を付いて俺から離れてもう片側の二人席に座り直して外を眺め始めた。やっと離れられた。緊張で持たんよ。そしてどうやら二人でこそこそ耳打ちで話し始めた。何?俺への悪口かな?
外を眺めていたら観覧車も終わりの時間が来たみたいで地上が近くなってきた。スマホを見たら十七時半くらいで閉園時間近くて丁度良いな。
「あ〜、今日楽しかった〜」
「遊園地初めてですがこんなに楽しいとは……、買い取るのもありですね」
観覧車から降りた後、伸びをしながら竹之内さんが何か恐ろしい事を言ってるがあまり気にしない方が良いだろうな。
「じゃあ、取り敢えず帰るか」
俺が遊園地の出入り口を目指して歩こうとした時だった。
「峻、待って!!」
溝口が後ろからいきなり大声を出して俺を呼び止める。俺が振り返ると、溝口と竹之内さんが二人並んで立ち止まっていた。
「二人してどうしたんだ?」
「峻、私達から遊園地が終わったら話があるって聞いてるでしょ」
「あ」
そういえばそんな事を言われていた。あれ?でもそれぞれ別々で言われたような。
「さっき、確かめたの。私達で」
そう言えば、観覧車で内緒話していたな。それのことだろうか。一体、何だというのだろうか。
「アンタはアホだから私達が言いたいことなんて分からないのかな?それとも分からないふりをしているのか」
「……」
俺は黙る。溝口は何を言いたいんだよ。
「私は今のようにみんなで仲良く過ごしているのも好きです。でも……」
竹之内さんは溝口をチラッと見る。それに答えるように溝口も竹之内さんを見つめ返す。
「私、溝口さんに負けたくありません」
「私だって黙って竹之内さんに譲りたくないよ」
お互いを見つめ合う二人を俺は黙って見ているだけだ。二人は何を考えているのだろうか。二人は再び俺の方へ向き直って俺の目を見つめてくる。
「私は峻君の事が」
「私は峻の事が」
俺はゴクッと生唾を飲み込む。何でだろう、俺はこの空気が怖いと感じた。
「「好きです。私と付き合ってください」」
その時、大きな風が俺達を吹き付けた。
第一章もう終わりますので最後まで見て頂けると嬉しいです。
もしよろしければブクマや☆、いいね、感想いただけると幸いです




