第51話 ドキドキお化け屋敷!!
「ご迷惑をおかけしました……」
「いや、全然大丈夫」
すっかり復活した竹之内さんが俺と並んで歩く。というか左隣に溝口、俺、右隣に竹之内さんと三人で仲良く並んでいる。
「思ったんだが三列は他の利用者に迷惑では……」
「良いじゃないですか。邪魔になりそうなら退けば良いのです♪」
「両手に花で良いじゃん」
しかも邪魔になるからといって二人共、お互いの腕が付くほど近い。こんな所で俺をドキドキさせてどうする気なんだ!?と思っていたら溝口が顔を近付けてきた。
「……、峻」
「うわあ、耳元で話すな!!」
くすぐったいし顔近くてビックリしたわ。溝口も顔赤くするくらい照れてるならそんな事するな。
「さっき話せば良かったんだけど……。二人きりになった時に言いたい事あるから」
「あ、ああ」
話したいことってなんだ?もしかして退部の理由を教えてくれるのか。いや竹之内さんは理由を知っているって言ってたしな。
「ふふ、お二人で楽しそうですが。ここから反撃させていただきます」
俺達がコソコソ話をしている傍ら、竹之内さんが悪役みたいな笑顔をしている。今度は何をする気なんだ。
「じゃん!!お化け屋敷です」
「うっ、マジか……」
「ハア……ハア……」
俺達の眼の前には巨大な校舎のような建物があった。まさか、俺達はこの場所に誘導されたのか。看板を見ると『呪いの校舎』と書いてある。学校の中を周るお化け屋敷という事ね。
「おーほっほっほ、お二人共、ビビっていますわね」
「え、テンション高くない?」
お嬢様キャラだったけど、そんなあからさまなセリフ言った事無かったじゃん。呆ける俺達をよそに竹之内さんは俺の腕を引っ張る。
「さあさあ、行きましょう」
「わ、分かったから」
竹之内さんを先頭に続いて俺、最後に溝口という順番でお化け屋敷に入る。ちなみに俺と溝口は恐怖で足がガクガク震えている。
「ふふ、下駄箱も雰囲気があって良いですね。中に上履きやローファーが入っていてリアリティも追求してますね」
なんか専門家みたいな事言い出したぞ。入るときから分かってはいたがこういうの大好きだな?でも遊園地来たこと無かったって言ってたような。
「ホラー大好きなんですけど、お化け屋敷行ったこと無かったのでとってもワクワクします」
「あ〜、なるほど……」
と言いながら竹之内さんは一人でガンガン前に進んでいく。え、ちょっと待って早い早い。いつの間にか俺達二人をおいて見えなくなってしまう。
「おいおい、マジかよ」
「ひ〜」
竹之内さんという頼れる人がいなくなって溝口が俺の腕に掴まっている。だからドキドキするから止めろって!!
「溝口……、取り敢えず竹之内さんに追いつかなきゃだから進むぞ」
「う、うん……」
俺達は下駄箱を抜けて廊下を進む。下が木の板で出来ているのか歩く度にミシッミシッという音がして怖い。
「しゅ、峻、私、話したい事あるって言ったじゃん?」
「え、ここでその話すんの!?」
お前、なんて所で話し始める気なんだよ。お化け屋敷の中だぞ。
「だって私、ここで死んじゃうかもしれないんだよ?」
「お前、お化け屋敷を何だと思ってんの?」
怖いだけで人が死ぬような催しやる訳ないだろ。こいつ、怖すぎて判断力おかしくなってないか?
「私、その……、部活辞めようって言った理由……」
「お、おう……」
どうやら本当にその話をする気みたいだ。俺達は立ち止まって溝口の言葉を待つ。
「このままじゃ二人が付き合っちゃうと思って!!」
「ん?」
溝口は一体何を言い出したんだ。俺は意味が分からず首を傾げる。
「だ、だから、アンタと竹之内さんがくっつくのを黙って見てられなくて」
「そんな事起こらないと思うが」
竹之内さんが俺と付き合う事なんて起こる訳ないだろ。竹之内さんが俺と付き合いたいと思ってるってか?
「ど、どう見たって。竹之内さん、アンタの事好きじゃん!!」
「え〜、本当かよ……」
まあ、好意は感じるけど……。それが本当に恋なのかってわからないじゃんか。竹之内さん男性経験無いみたいだし。
「もしそうだとして、何でお前はそれが嫌なんだよ」
「ハ、ハア?ここまで言わせて本気で言ってるわけ?」
お化け屋敷なので溝口が今、どんな顔をしているか分からないんだよな。声からしてテンパってるのは分かるんだが。
「そ、それは……」
ゴクッと喉を鳴らす音がする。俺は溝口の言葉を待つ。
「しゅ、峻の事を……」
「……」
その時、他の客の声、BGM、お化けの脅かす声だとか色々流れていたと思う。でも、その時は溝口の言葉しか聞こえていなかった。
「峻を竹之内さんに渡したくないから」
「……」
俺はその意味を考える。何で、何でそんな事を言うんだよ。
「でも肝心な事は流石にここじゃ……ね」
「あ、ああ……」
まあ、ここお化け屋敷だからな。大事な話をする所ではないわな。
「今日、遊園地が終わったら二人で話したいんだ。大事な……、大事な事だから……」
「お、おう」
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