第50話 私のほうが可愛いと言って
「ふふふ、ここのアトラクションを全て、お化け屋敷にしてやりましょうか……」
「それもはや、遊園地じゃなくてお化け屋敷の集合体じゃない?
その後、様々なジェットコースターやバイキングコーヒーカップなど乗った。そのうち、竹之内さんは白目をむきながらも頑張っていた。そんな状態で隣がいない状態には出来ないので基本的には俺が隣で乗っていた。
「ねえ、これ私ばっかり損じゃない?」
「溝口、こういうの平気っぽいから別に良いじゃん」
そう返すと溝口は俺の事を睨んできた。いや、アトラクションでもケロッとした顔で俺を睨んでるんだから大丈夫だろうよ。
そして今はフードコートコーナーで休憩をしている。竹之内さんは疲れたのかテーブルの上で寝そべっている。
「峻、お詫びにクレープ買ってきて」
「お前、一番貧乏な俺にたかる気か……」
「お金は払うから。三人別々の奴買って、分け合えば良くない?」
「へいへい」
まあ、竹之内さんがグロッキーな今、俺一人で買いに行った方が良いだろうし従うか。立ち上がってクレープの売店へ行く。そういえば何味にするか聞いてなかったけど三種類買って選ばせれば良いかと思って、チョコバナナ、イチゴ、マンゴーのクレープとスプーンを持ってテーブルに戻る。
「お待たせ。三種類あるから二人選んで」
「ありがと〜。じゃあ、私はイチゴで!!竹之内さんどうする?」
「うう……、じゃあマンゴーをいただきます。」
溝口はイチゴのクレープ、竹之内さんはマンゴーを取った。ちなみに竹之内さんは寝そべりながら腕を上げてクレープを持っている状態だ。
渡し終えたので俺はチョコバナナのクレープを食べてみる。意図していた訳では無いがチョコバナナ食べたいと思ってたからラッキー。
「うん。これ美味いな」
「へ〜、じゃあ私にも頂戴。あ〜ん」
「え」
溝口は口を開いて待っている。これ俺があ〜んしないと駄目なんか?
「わ、分かった。してやるからお前のスプーンを貸してくれ」
「は?峻のスプーンで良いよ」
こいつ、間接キスとか気にしないのか?そういや前も気にしてなかった事あったな。しかし俺が使ったスプーンなんて汚いと思うが溝口はずっと口を開けながら「早くしろ」とうるさいので俺のクレープを掬って溝口の口元にスプーンを持っていく。するとパクっと口を閉じた。
「う〜ん。これも美味しい〜」
「そ、そりゃ良かった」
溝口もクレープを食べて機嫌良くなってきているみたいだし良かった良かった。
「峻君、私もそれして欲しいのに……」
寝そべりながら顔だけ上げて俺を見上げる。いや、そんな状態じゃ出来ないよ。竹之内さんは何とか起き上がり自分のクレープを食べ始めた。
「次は大人しいの乗ろうか。メリーゴーランドにでも乗るか」
「まあ竹之内さんがこんな状態じゃね〜」
竹之内さんは何とかクレープを食べて、お手洗いに行くと言ってトイレに行ってしまう。
「竹之内さん、大丈夫か?」
「流石に倒れるとかはないんじゃない?」
俺達は二人で待つことになった。
「ねえ、今二人きりじゃん?」
「え、まあそうだな」
「周りから見たらカップルに見られるのかな〜」
そう言われて周囲を見渡すと男女で来ている人達はカップルが多いように見える。まあ確かに遊園地で男女二人だったらそう見えるのかもしれない。
「今、竹之内さんトイレ行ってるからすぐ戻ってくるじゃん」
「〜〜、だから、今二人きりだとそう見えるかなって話!!」
何怒っているんだ?でも俺は良くて平均レベル。方やかなりの美人だし釣り合ってないだろう。
「お前、可愛いんだから俺とは釣り合ってないんじゃないか」
「か、可愛い……、へへ、ありがと……」
溝口は顔を赤くしながら笑う。いや、俺は客観的事実を言っただけだから照れる必要はないぞ。ニコニコしていた溝口だったが急に真顔になった。
「それってさ、竹之内さんよりも?」
「え、何が?」
「だから私が可愛いって話!!」
竹之内さんと溝口、どっちが可愛いかって聞いてんのか。何で、そんな事気になるんだ?
「え、二人共可愛いに決まってんじゃん」
「そ、それはどうも……、じゃなくてどっちがより可愛いかって事!!」
「え〜、二人共タイプ違うから比べられねえよ」
竹之内さんは王女様のような可憐な女の子。溝口はアイドルのような可愛さを持った女の子で甲乙つけ難い。
「そ、そこを何とか決めるのがアンタの仕事でしょ」
「そんな特殊な仕事ねえよ」
俺がどっちな女の子を決める仕事ってなんだよ。何かのプロデューサー?
「そもそも俺、人と人を比較するとか好きじゃねえよ。二人共凄いじゃ駄目なのか?」
「駄目、決めて」
「すみません、お待たせしました〜」
竹之内さんがトイレより戻ってきた。先程よりスッキリした顔で戻ってきている気がする。体調良くなってそうで良かった良かった。ふと溝口の顔を見ると凄い不満そうな顔をしていた。
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