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ブレーメンの錬金術師は散財したい  作者: 初鹿余フツカ
6章 猫はいつでも風まかせ

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37.見捨てられた地

 案山子作りに、ブリキの木こりを修理して、さらにライオンのぬいぐるみを拾い集め。

 こちらについてヒントは特になかったが、道なりにいけばウィッチボット、スチールソルジャー、ぬいぐるみ(採取スポット)と出てくるので、メタ読みしなくても辿り着く道だったみたい。


「城に辿り着けば願いが叶うってなんだろな~」

「元の場所に帰りたい、は『リターン』がありますしね」

「廃墟の街に願い……似合わない言葉ではある」


 だらだら話しつつ、ウィッチボットを爆発させ、スチールソルジャーをわーわー言いながら撃退し(ギリギリだった)、ぬいぐるみから採取する。

 たしかに廃墟の街ってあたりは、オズの魔法使いらしくないんだよね。願いが叶うっていうのは元々あった部分だけども。


「あのトンボ?みたいなのも前回は来なかったから謎にゃんね~」

「あれがいたからには、人らしきものがいるのは間違いなさそうですわね」


 うん、廃墟だけど、城に何者かはいそうである。


 人数が多い分、必要個数は多かったけれど、集める人数も多いのでそれほど苦戦はしなかった。それに適当に組んだPTながら、ほどほどに生産面子が入っていたのも功を奏した。どこかのPTが行き詰まるということもなく、アライアンスの皆で階段の前まで到達できた。


「『通行証』はあるかー!」

「おー!」

「待って今、数え中」

「人数分ないところは『欠けた通行証』融通できまーす」

「あっ、こっち足りてないかも」

「はいはーい」


 階段前で『通行証』の確認。どうやら人数分行き渡ったようだ。

 確認したら、皆で階段を上っていく。ふたりのときは特に感じなかったけど、この階段は中空に築かれており、どこか浮いているような心地がする。

 アーチ状の階段をゆっくりと降りていく。城門が見えてきた。


「ここで紙ふたりは撃ち落とされたんやろ?」

「そうね~」

「気がついたらお空を見上げてたにゃんよ」


 ヤマビコさんに改めて確認されると、ちょっとばかり恥ずかしい。気がつかぬうちの撃墜も紙ならではということで、とりあえずHPが高く自己回復も可能なヤマビコさんとノーカさんの神官戦士が先行してくれることになった。

 そうそう、ヤマビコさん、結局光魔法を取って神官になったんだって。ヒーラー兼任ということで農業神に決めたそうなので、農家神官の仲間入りをした。


「おっ!」

「っと、攻撃は『通行証』を持っていてもあるようですね」

「せやな」


 ふたりが盾で拳で、どこからか飛んでくる光線をさばきつつ言う。

 どこからか……、あ、出てきた。

 緑の城門がゆっくりと姿を変え、巨大な顔面へと変化する。見上げるほどの顔はなかなか迫力がある。やがて城門は完全に顔だけの石像へと変化し、こちらを睥睨してくる。


「顔だけの石像だあ」

「名称はエメラルドフェイス! あとはわからん~」

「メタ読みすると幻だけど、普通に実体はありそうね」


 なお光線が目から発射される。


「目からビーム!?」

「視線がくると撃たれるやつですねこれ」


 どうやらまばたき、視線、ビームという順序で発射されているらしい。

 微妙にタイムラグがあるため、避けられなくもなさそうだ。


「『挑発』も効くな。引き寄せてるから攻撃してもーて!」

「了解~~」

「緑だと何属性効く?」

「何属性であろうと燃やすだけですな!」

「極論そうなりますわね!」


 攻撃魔法師の多くが火魔法師しかいないのは、猫の呼ぶアライアンスではお馴染みである。いや、風もいるけども!


「緑だと風属性の可能性もあるし、様子見するわ~」

「あるあるにゃんね~」


 当のフーテンさんは弱めの魔法で様子見。回復はしないものの属性相性がかなり悪そうということで、連れてきた召喚妖精にタッチしていた。


「こっち見た!」

「避けろー!」

「当たっても介助は任せてー!」

「むしろ暇なので当たってくれ…!」

「このヒーラー邪悪です!?」

「バフ要員も多すぎて、たしかに暇なんだよねー」


 目からビームは破壊力こそあるものの、盾士の『挑発』が効くこと、発射までタイムラグがあるため視線にさえ気がつければ避ける難易度は低いとあって、そこまで危ない瞬間はなかった。

 例え当たっても手厚い看護で四方八方からヒールが飛んでくる。ついでにバフも山ほど飛んでくる。

 エメラルドフェイスは的がでかいので外れるということがなく、猫も魔法銃でぽこぽこ参戦。レトは猫に『クリーンヒット』、シロビは火魔法で攻撃に参加していた。

 そんなわけで、数の力はやはり圧倒的で、危なげない。


 敵の正体さえわかっていれば、猫たちだって撃墜されなかったかもしれない。くぅ!

 いや、風が威力減衰して召喚妖精がいない状態だったら、ダメだったか。それはそれで悔しい。


 ほどなくして、人形連合の火魔法師たちは無事、エメラルドフェイスのHPを削りきってくれた。

 ゴゴゴ……と音を立てながら顔が崩れていく。


「最後の瞬間は、切ない……」

「なつかしいやつだ」


 エメラルドフェイスが消え去ると、後ろにいたらしい小さなものたちがワッと蜘蛛の子を散らすように逃げていく。


「!?」

「なんかいっぱいいた!?」


 出遅れた小さいものがこてんと転がる。


「にゃあ、人形にゃん?」

「ぬいぐるみもいましたね」


 そう、まるで玩具箱をひっくり返したように、いろいろな人形やぬいぐるみが飛び出したのである。

 そしてそれらがワーッと逃げ出していく光景はなんだかファンシーであると同時に、ちょっぴり罪悪感もある。


「せつない……」

「さ、さておき、これで城へは行けるんですよね!?」

「行っていいと思います!」

「『通行証』はありますしね」

「トンボが来いっていってたもん~」


 城門はエメラルドフェイスとなって消えたので、中の城――某テーマパークのモニュメント的なお城へと進んでいく。


『見捨てられた地 エスポワール』


 城の前まで辿り着くと、テロップが浮かび上がった。

 大きな入り口は開かれており、何もそこにはいない。


「んあ、街表記」

「お、マイルーム行ける、てことは本当に街か」

「ダンジョン内の街か~」

「狭いけど一通り揃ってるタイプか、イベント用の街か、どっちでしょうな」

「この様子だと後者かしらね」

「また解散する?」


 城というだけあって、中は広そうだ。ひとつひとつ皆でわらわら行くよりも、分散した方がいろいろ発見しやすそう。とりあえずここで解散して、各々好きに散策することになった。

 元々適当に組んだPTなので、PT毎に移動という雰囲気でもなく本当にてんでバラバラの移動だ。PT崩しちゃうとアライアンスが崩れちゃうから、いちいち組み直すの面倒だしね。

 本当にテーマパークっぽい城だし、街中だし、危険はないとわかれば皆、自由なものである。


 猫もとりあえずはソロ移動しようかな。城の中は広いので、ルイに乗っていても問題なさそう。


「猫ちゃんはどうするの~?」

「猫は錬成陣のレシピ探しにゃんね~」

「そういえばそれがメインて言ってたっけ」

「そうにゃん」

「私も錬成陣レシピ、探してみるわね!」

「なんもないと思うが、気をつけてな」

「ありがとうにゃん~~」


 フーテンさんたちとも別れて、いざ行くぞ。

 と言っても特に行く宛があるわけでもなく、うろうろすることになるんだけども。みんな特に行く宛があるわけではないので至るところで会う。


 まず一階フロアにはぬいぐるみが店主を務める店がいくつかあったようで、これは人形製作師を目指すナマナマさんにヒットする商品だったらしい。


『明らかに人形の部品!! しかし作り方はないっ!』

『つまり今は何の役にも立たないんじゃありませんの?』

『辛辣ゥ!!』

『こちらはゴーレムの部品っぽいアイテムが販売されていますね』

『んん~、ひとつひとつは大したことないけど、どの程度必要かによって変わってきそうね』

『『ネジ』系なんて一本二本で済むものではなさそうだし』


 ゴーレムといえば地人族と地鼠族の関係で出てきたけど、あれと召喚獣のゴーレムは関係なかったんだろうか?

 気になって聞いてみると、あっちのゴーレムは自然発生のゴーレムではなかったため、同じゴーレムでもまた別物だったらしい。

 農家神官的には期待してたけど、期待外れだったんだって。


『地鼠族のゴーレムで沸き立ったのはむしろ戦士界隈なのよね。新しい装備としての鎧が強化されたとかで』

『せやで。鎧とか盾に新種が出てな』

『にゃあ、新素材発見に近かったにゃん?』

『どっちかというとレシピやな。でもたしか召喚ゴーレムの装備品も出たんやなかった?』

『出たよ。でも我々のニーズにはあってなかったんだよね』


 農家神官たちのニーズはゴーレムを頑丈にすることだったけど、新しい装備はゴーレムに機動力を持たせる方向だったらしい。


『俺らにとってゴーレムは盾だから、固ければ固いほどいいんよ。別に動けなくても、俺らが動くし』

『そうそう。位置取りはヒーラーの基本だもの』

『なるほどにゃん~~』


 いろいろあるんだなあ。

 ヒーラーの求めるゴーレムはひたすら頑丈で、ヘイトを取れる攻撃を持っているとなおよしらしい。今の召喚獣界隈だと、ヘイトを取れるゴーレムというのは少なく、他と比べると体力的にかなり見劣りするのだって。

 ソロのときとPTのときでゴーレムを変えるのがヒーラーの嗜みではあるらしいが、ゴーレムのHP管理は悩みの種なんだそうだ。


『一長一短あるんだよね』

『そっちはそっちで大変なんやなあ』

『ですね』


 同じ農家神官でも、神官戦士のノーカさんとヤマビコさんはゴーレム使いではないので、ゴーレムの件はわりと他人事である。

 いや、人それぞれあるものだね。

 猫もゴーレム持ちではないので、完全にそっちは他人事だ。人形製作師には興味あるけども。


 階段を見つけて、二階へ移動。石造りの螺旋階段はそれだけで怪しさが抜群だ。この石組みのひとつを押したらどこかが動いたりして、とかロマンを感じてしまう。

 そういえば城は無人なようだけど、王様はどこにいるのかな。ぬいぐるみや人形たちの王様。メタ読みするなら実はただの研究者の老人オズがいるはずなのだが、見当たらない。

 謁見の間的なものを見つけないとダメなのかな?


 ここにくるまでは石畳の色が案内してくれたけど、さて、何を目印に探したものか。

昨日は間に合いませんでしたが、今日はお届けできました。

評価、ブクマ、リアクション、感想、誤字報告ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新にゃーん [一言] どのみち二人じゃ火力が足りなかったか…… そして町到着 これ以降も行けるのならいいけどイベント用の町ってことを考えると無理かな?
最近読み始めてすっかりはまってますにゃー ここ数話読んでるとオズの魔法使いうろ覚えだけど意外と覚えてるものにゃんね〜と不思議さ楽しませていただいてますにゃん
更新ありがとうございますにゃ~ん 次も楽しみにしていますにゃ~ん まだ何かあるにゃん? 見捨てられた、誰に?
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