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ブレーメンの錬金術師は散財したい  作者: 初鹿余フツカ
6章 猫はいつでも風まかせ

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番外編:新年の幸福を祈って・後編

新年番外編の後編です

 まずは量産。無駄になったとしても露店で販売すればいいし、気楽なものである。

 ついでに『幸福ラコラ』……じゃなかった、『幸福スズシロ』と『幸福スズナ』も量産体制に入る。双葉から光輝いていて面白い。農業神マッマの祝福を感じる。アルミハクさんちの畑も光輝いているんだろうか。


『猫の店、開店にゃん! お年賀渡したいので来てくれると嬉しいにゃん~』


 クッキーと飴玉をせっせと用意して、開店!

 店に並べるのは、余った『幸福スズシロ』と『幸福スズナ』だ。フレの分は七福菓子を作り終えたので、買取露店は終了。

 幸福材料はこれから値上がるだろうから、気づかれないうちに買い占め転売、フハハハハと考えなくもなかったが、なにせSPが関わることだ。猫もいらん恨みは買いたくない。今回の転売は見送ることにした。猫は善良だから……。

 言うて価格つけるの面倒になっただけなんだけどね。やー、最終的にいくらになるんだろうね。


「猫ちゃん、あけおめ~」

「あけおめにゃん~」


 まずやってきてくれたのはフーテンさん。たぶん近くで露店してたのだろう。わざわざ来てくれるところが相変わらず気のいいお兄さんである。


「これお年賀にゃん」

「なんかいってたやつね……、は?」


 お、プレイヤー間のお渡しでもちゃんと変化するっぽい。フーテンさんが真顔になった。


「びっくりしたにゃん?」

「びっくりしたにゃん……、え、これすごいね?」


 驚いてくれると渡した甲斐がありますな。


「野菜売りのおばちゃんから七福菓子について聞いたにゃん~。自作した分には効果がなくて、人に渡さなきゃ意味がないにゃん」

「え、てことは猫ちゃん渡し損じゃない?」

「最大数が決まってるから、猫はNPCとの交換で達成しちゃったにゃんね~」

「にゃんてこと」


 これは情報込みで気軽にはもらえないから、と説得され、あれやこれやと話し合った末に、買い取りやら買い出しにかかった金額ということで30万zをいただいた。お年賀のはずが!


「いやいや、これでも十分買い叩いてるからね! 気軽に配っていいアイテムじゃない。『料理』も『調薬』も出来ない戦闘職には手に入れる宛がないやつだしね~~」

「でも戦闘職じゃないと手に入らないアイテムもあるにゃんよ?」


 調べたところ、『幸福砂糖』『幸福小麦粉』は、おみくじ以外では結構上位のBOSSレアとして出てるみたいだし。


「その辺でバランス取れるのかもね~」

「と思うにゃん~」

「ラン、来たでー」

「ヤマビコさん、あけおめにゃん~!」

「ヤマビコ、いいところに来た!」


 やってきたヤマビコさんに『幸福クッキー』と『幸福飴』をプレゼント。

 するとすかさずラコラセットが売れた。


「菓子やったんかい!!」

「お粥じゃなかったにゃんね~」

「いや助かったわ。スズナスズシロが見つからないからまだ粥にはしてなかってん。小麦粉とか砂糖が出て米が出ない時点で、粥は疑うべきやったな……」


 クッキーは『料理』で飴は『調薬』、という話をしつつ、ヤマビコさんからも30万zをもらった。猫はもらえるというならもらう主義よ。

 その後リーさんとポユズさんが振り袖と巫女コスチューム、エドさんが羽織袴でやってきた。やあ、新年の華やかな装いだ。そして七福菓子を渡すと、同じように30万zずつくれた。まいどあり~。すっかり販売になってるなコレ。


「『調薬』と『料理』でレシピが違うから、両方手に入れるのは大変そうね」

「もらったものを再度渡すのは違う判定だろうしねえ」

うたら別なんやない? 知らんけど」

「買ったら別なのもなかなかエグい」


 エグい? 何がだろ。

 その理由は、フーテンさんたちが帰った後に来てくれたケータくんで判明した。


「これはボッチを倒す邪悪な菓子ニャ……!!」


 あ、はい。なるほどね。

 買っても渡すNPCがいなければ返ってこないし、渡して返してくれるプレイヤーの知り合いがいなければなんの意味もなくなっちゃうのか。たしかにそれはボッチにはきついやつ。


「にゃあ、猫がいるにゃん?」

「そっ、それはそ、う、かもだけ、ど」


 突然しどろもどろになるケータくん。フレなんだからもっと信用してもらいたいものである。


「ニャッ、顔洗って待ってるがいいニャ!」


 叫んで駆け出していってしまった。ピンクにゃんこかわいいかよ。


 その後も猫のお年賀店は盛況した。


「わーっ、さすが、ランさんもこのレシピに辿り着いていたんですね!」


 同じく『七福クッキー』『七福飴』を用意してくれていたペチカちゃん。さすがのスコッパー気質、この手のレシピには詳しい。


「ペチカにゃんもオーブンの前で踊ったにゃ?」

「踊りました……ちょっと宇宙を眺めちゃいますよねアレ」

「謎の儀式だったにゃんね」


 ペチカちゃんと交換して初めて気がついたんだけど、これNPCに渡す分と、プレイヤーに渡す分とではちょっと文言が違う。

 たとえば『七福クッキー』。


『七福クッキー』

 新年の幸福を祈って製作されたクッキー。あなたの幸運を祈ります。レアドロップ取得確率が微上昇。食べるとSP1が手に入る。(最大10)


 なにかいいことあるかも、の部分が、レアドロップと明記されている。となると、NPCの分はきっとレアドロップとは別の効果なんだろうね。

 なにかいいこと、なんだろな~。


 他に『七福クッキー』を作ってきてくれたのは、ノーカさんだ。


「今年もよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくにゃん~」


 相変わらず礼儀正しい。羽織袴が決まっている。大柄なので、小柄なエドさんの羽織袴とはまた違った印象だ。エドさんは可愛かったけど、ノーカさんは迫力がある。

 猫も正月の正装セット、調べてみればよかったな。

 と思ったら正月イベントのmobドロップとの交換品らしい。なるほど、道理であちこちで見かけると思った。


「NPCとプレイヤーでは、文言が少し異なるようですね」

「そうにゃん。なんかいいこと、気になるにゃんね~」

「真っ当に考えるなら、NPC友好度の上昇か、魅力値の上昇でしょうね」

「ありそうにゃん!」


 マスクデータとして存在するという噂の魅力値なら、たしかに上昇するとなにかいいことなのかも。

 ふっ、猫ったら更にモテモテ猫になってしまうな…。


 他には、執事ことセルバンテスさんは涙を流して(アクション)喜んでくれたし、はるばる着ぐるみで裁縫互助会が遊びに来てくれたりもした。後者はちんどん屋みたいでちょっと面白かった。


 アルミハクさんはせっかくあれこれ実験していた白ラコラがすべて光輝いていて昇天したと泣いていた。


「今回ばかりは農業神マッマをお恨みした…」

「ご愁傷さまにゃん~」


 なおマレビトダンジョンで育っていた方は無事だったそうなので、神の祝福はダンジョンまでは届かないらしい。


「幸福野菜、よければ買い取るにゃんよ~」

「ううん、すごいお菓子もらっちゃったもん。よければ持っていって!」


 輝く『幸福スズシロ』『幸福スズナ』をもらったりした。猫が育てたものより大きいような気がする!



 さてこの七福菓子騒動、三が日にはもう全体に広がって、露店が大いに賑わった。幸福食材がどんどん値上がっていき、これを機に『料理』取得を目指すものも増えたのか、食材全般が値上がりしたりした。

 『幸福クッキー』『幸福飴』自体も売りに出されるようになり、無事にボッチプレイヤーは涙を流したらしい。MMOだからね、仕方ないね。強く生きてほしい。


 そうそう、ケータくんは猫に『七福クッキー』と『七福飴』をちゃんと届けに来てくれた。


「こういうのはお互い様だからニャッ!」

「ありがとうにゃん~」


 新年からツンデレ猫いただきました。


 『七福飴』『七福クッキー』も実は販売できたりして、結構な高値で取引されたりしていたのだが、猫は売るのは控えた。

 というのも、SPや能力値には最大値が設定されていたけど、なんかいいことやレアドロップ上昇効果には制限がなかったからだ。普通にいいアイテムだもんね。これを売るなんてとんでもない。


 それに最終的に足りなくなったのは『幸福砂糖』よりも『幸福スズシロ』だったりしたのだ。元が白ラコラだから、育ててる人が少なかったよね。マンドラコラのレアドロップだったりしたそうなんだけど、やはり栽培物は強い。

 そんなわけで猫の財布はずっしりと重くなったのだった。




「えっ畑買ったの!?」

「にゃふふん、ついにポーツに別荘(畑)にゃん~」


 まあ、すぐ使っちゃったんだけどね!

 宵越しの銭は持たねえ主義……というわけじゃないんだけどいつの間にかお金はなくなってしまうのだ。仕方ないね。

 ほら、MMOのお金はある程度のところで運営に吸わせておかないとインフレしちゃうじゃない? 猫がこうして貯めたお金を運営に払うことで、市場は安定する……そういう風に出来ているんだ……。

 なんて、ほしかっただけなんだけどね!


 ポーツの畑にはオリーブとトマト、レモンなどを植える予定だ。地中海の香り。どれも回復系の食材で、この世界のイタリアンは回復料理の優等生だったりする。

 果樹は赤ポムを育てていたけど、もっと樹を育ててみたかったしちょうどいい。

 これでポーツとの行き来は楽々、魚釣りも船旅もいつでも楽しめちゃう。にゃふふん。


 さてさて、今日はなにして遊ぼうかな~~!

本編時間軸よりちょっと未来の新年番外編でした。


評価、ブクマ、リアクション、感想、誤字報告ありがとうございます。


今日で猫2周年。

元々は友人ひとりに見せるためのなろう投稿だったのですが、多くの方に読んでもらえるようになって、こんなに長く続いています。読んでくださる方々のおかげです。

いつもありがとうございます!


次回からは竜巻の街編に戻ります~

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― 新着の感想 ―
猫2周年おめですにゃ〜ん。猫が幸福だとこころがにゃんにゃんしますにゃ。
2周年おめでとうございます! 作者様や猫ちゃんたちがよい一年を過ごせるようにお祈りしておきます
二周年おめでとうワン!
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