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ブレーメンの錬金術師は散財したい  作者: 初鹿余フツカ
6章 猫はいつでも風まかせ

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31.デスクッキング

「これは学園の錬金術師さんに『ライ』を入れてもらった『雷魔法玉』だよ」

「見たことない石にゃん」

「ふふ、気づいたかい? これも『飴玉』なんだよ」

「にゃん!? 『飴玉』に魔法が入るにゃん?」

「中を空洞にして作る、『空飴』なら入るのさ」


 『空飴』の作り方は簡単。無属性魔法『クリスタル』を核にして飴玉を作れば、待機時間を終えると『クリスタル』が消えて中が空洞に仕上がるのだという。

 ま、マジカルクッキング……!

 たしかに中が空洞のアイテムには、『錬成陣』で魔法を込めることが出来る。ガラスで作れるのは知ってたけど、飴玉でも作れるとは。

 この飴で出来た『雷魔法玉』を中心にして、新しい飴をまとわせ、最後に砕いた『岩蜜』をちりばめたら『ボムキャンディ』の完成だ。


「齧れば『ライ』が発動して膨張、スパーク! 更に飛び散る『岩蜜』の破片でダメージアップというわけ!」

「『岩蜜』はそのためのアイテムだったにゃ!?」

「『魔法玉』を核にしただけじゃ、ダメージがあまり出ないんだよ。それにすべてを食べ物で作らないと、魔物とはいえ食いついてくれないからね」

「奥が深いにゃん」

「デスクッキングも深淵が広がっているんだよ」

「なんて?」


 デスクッキングなんて分野があることすら知らなかったわ。聞いただけなら『黒コゲ』とかをひたすら産出するやつかと思っちゃう。


「破壊力を高めたり、毒を仕込んだり思いのままさ!」

「飴玉屋さんとはとても思えない発言にゃん」

「うちは『ボムキャンディ』の専門店だよ。もしいい効果のアイテムが出来たら買い取るから、ぜひよろしくね」

「にゃあ~、作ったら持ってくるにゃんね」

「楽しみにしているよ!」


 元気に手を振る店主に手を振り返し、『ボムキャンディ』屋を後にする。

 知らん世界だったなあ……。




 しかしあると知ればやってみたくなっちゃうのが猫である。踏み込むぞ、デスクッキングの世界!

 マイルームの工房部屋で『コンロ』を前に、マイエプロンを装備。ちなみに猫のエプロンはいつぞやの『肉食え!命に感謝!狩猟祭!』エプロンである。


 まずは『空飴』を作ってみよう。飴玉が『魔法玉』になるなら、『ヒール』や『アンチポイズン』を入れた錬金飴だって作れるはずだ。というかむしろそっちのがメインになりそうなもんである。ただの薬飴とどう違うのって話になっちゃうけども。


 教本を読んだので『クリスタル』も使えるけど、習熟度が高い『ジュエル』を使用してみる。作れる宝石は思いのまま、とはさすがにいかないけど、大きい宝石を作るより小さい宝石を作る方が簡単だ。

 砂糖は以前買っておいた普通の『白砂糖』があるので、これを使う。溶かして飴を作ったら、作った『ジュエル』を入れて絡めていく。

 ……おお、なんだかすでに罪悪感がある……。

 いやっ、これは敵に食べさせる『料理』だから! 『毒団子』とか作るのと同じだから!

 言い訳をしつつ、何度か飴を絡めて層を厚くしたら『空飴』が完成。『飴玉』自体は作り慣れているし、難易度の低いレシピらしく失敗はなかった。ごく普通に通常品質。

 『料理』なのでレトに『クリーンヒット』を試してもらったんだけど、数秒しか持たないのでタイミングがなかなか難しい。でもどうやら『料理』には工程ごとに成功判定があるみたいで、その時々で魔法がかかっていれば出来上がりは幸運値が足されたものになるみたい?

 猫の場合はレトが工程のどこかで『クリーンヒット』を掛けていれば、高品質が作れるようだった。幸運値ってかなり重要なんだね。


 さて、お次はこれに『錬成陣』で魔法を入れる。最初だし、教わった通りの『ライ』でドン。

 『魔法飴』が完成。『魔法玉』じゃないんだな。これはこれでいろいろな種類がありそうでワクワクだ。


 最後に砕いた『岩蜜』を飴で絡める。『岩蜜』めちゃくちゃ堅いが?? と思ったけど『料理』『調薬』でなんとかなった。筋力の問題じゃなかったみたい。堅いものがシャクシャク崩れるのは楽しい。

 削って尖った刺々しい『蜜の欠片』を丁寧にまぶしたら『ボムキャンディ』の高品質が完成だ。

 思ったより簡単に出来たな。


 使い方としてはノーカさんが言っていた通り、罠として置いて使ったり、投擲して直接口に放り込んだり。投擲するなら飴じゃなくてもいいのでは、と思いきや、飴だと敵側から口に迎え入れてくれるらしい。そういうギミックもあるんだね。

 てことは投擲アイテムとしても売れるのか。自由都市の投擲専門店『緑の軌跡』に持ち込んでみてもいいかもしれない。


 そうとなれば、アレンジしてみたくなる。

 やってみたいのは属性アレンジだけど、『ボムキャンディ』屋の話を考えると、膨張してスパークするのが大事なのかな? つまり、雷属性だけが成功する? やるなら雷の上位魔法の方がいいのだろうか。

 とはいえ猫は『サンダーストライク』はまだ覚えてないので、やるなら『ライトニング』になる。

 『ライ』と『ライトニング』はだいぶ性能の異なる魔法なんだが、うーん、まあやってみるか。


 はいこちらドン!

 『ライトニング』を入れた『魔法飴』で作ってみたのがこちら。

 『ライトニングキャンディ』。

 安直!!


 ついでに毒を盛るもよし、と聞いたので毒属性魔法を試すことにして、『ポイズン』を入れた『魔法飴』で作成してみた。

 『ポイズンキャンディ』。

 ひねりがないなあ!


 性能は試してみないとわからないので、とりあえず10個ずつ作ってみた。『ボムキャンディ』もお試しで10個。


 『白砂糖』の手持ちが尽きた。元々砂糖の在庫は少なかったからね。しかし世の中にはメープルキャンディというものもあることだし、『岩蜜』からだって『飴玉』は作れるはず。

 『岩蜜』を加熱して溶かして柔らかくしたものを『ジュエル』に絡めると、ちゃんと『空飴』になった。よしよし。これで量産が可能になったぞ。

 試しに『ライトニングキャンディ』を作ってみると、最高品質になった。いいね!

 『岩蜜』1個から『空飴』20個、20個のトッピングに使う『岩蜜』は1個。つまり『岩蜜』1個で『ボムキャンディ』は10個出来る計算だ。

 レアアイテムから作れるアイテムにしてはちょっとショボいような気も。いや、効果は抜群なのかも?

 まだまだ改善の余地がありそうな気がする。


 ついでにいろいろ試してみたい『魔法飴』。

 『ボムキャンディ』の効果を考えると、『魔法飴』は舐めている間中効果があるというより、噛んだり舐め終えたときに効果が出る『飴玉』なんだろう。

 『飴玉』そのものの効果時間は10分となっており、例えば『調薬』で作る『回復飴』などは舐めている10分間継続のHP回復効果があったりする。いわゆるリジェネ状態ってやつね。


 考えるより作ってみる方が早い。

 というわけでまずはさくっと『ヒール』を『空飴』にこめた『ヒール飴』を作ってみる。

 試食してみるが、やはり『ヒール飴』ではリジェネ状態にはならないし、食べただけでは回復しない。『調薬』(『料理』)で作る『薬飴玉』と、『錬金術』で作る『魔法飴』で効果に違いがあるのは当然だろう。

 いろいろ調べてみたところ、どうやら『魔法飴』は任意のタイミングで発動できる魔法を10分間待機させるアイテムっぽい。つまり『ヒール飴』は、舐めているあいだ任意のタイミングで『ヒール』を発動できる。発動しなければ舐め終えたタイミングで『ヒール』が発動する。

 注意すべきは、すべて対象:自分で発生すること。攻撃魔法を込めた『魔法飴』は自己攻撃になっちゃう。


 ふむふむ。この効果なら結構、面白いものが作れるのでは?


 まず作ってみるのは『ポヨ飴』だ。

 以前『ポヨ玉』は一度作ってみたんだけど、ギリギリのタイミングでアイテムを使うというのは予想以上に難しく、お蔵入りしちゃったんだよね。

 しかし『ポヨ飴』なら10分間『ポヨ』を待機状態に出来るわけだし、魔法を使うのと同じように使える、はず。なかなかいいんじゃなかろうか。

 ……問題は『ポヨ』がマイナーすぎておそらく売れないアイテムってことだな。


 あと使えそうなのは『パラシュート』くらいかなあ。魔法一覧を見つつ考える。『マジックセンス』『テレポート』『サーモスタット』なんかも対象:自分の魔法だけど、この辺は魔法玉でも問題ない。

 うーん、あとは思いつかない。


 『パラシュート飴』を販売用、『ポヨ飴』をフレに配る用に量産して、今日のクッキングはおしまい。

 デスクッキングは思ったより捗りませんでしたな。『飴玉』の材料自体を変えたり、トッピングを追加したり、まだまだ工夫する余地はありそう。




 作ったものの効果が気になっちゃうので、早速『ボムキャンディ』屋さんに『ライトニングキャンディ』『ポイズンキャンディ』の持ち込みをしている。


「わあ、これは貫通力の高まったいいアイテムだね!」


 『ライトニングキャンディ』は好感触。


「こっちは毒効果か。毒なら弾けないから『蜜の欠片』は余計だったかもしれないね」


 『ポイズンキャンディ』はちょっと評価が低い。たしかにトッピングは変えるべきだったかも。

 デスクッキングの道も奥が深い。しかし悪辣な組み合わせが思いつかないので、猫にはデスクッキングの才能がないかもしれない。猫は善良な猫だから……。

 共に買い取ってもらうと、予想以上のお値段だった。


「材料がそもそも高いし、威力もあるからね」

「でも『ボムキャンディ』はそんなに高くないにゃんよ?」

「『ボムキャンディ』がお手頃なのにはちょっとした秘密があるのさ。あとは企業努力といったところだね!」

「にゃん~?」


 レアアイテムの『岩蜜』を使わなくても作れるレシピがあるってことかな? たしかにそれなら価格は抑えられるのかも。

 たしかに基礎レシピっていってたし、材料を変えるアレンジはいろいろあるのだろう。『料理』って大変。猫はやっぱりドサッとしてチンの『錬金術』が合っている。

 猫としては『空飴』に『魔法飴』のレシピが手に入ったのは収穫だったな。


 ひとまず『ライトニングキャンディ』を作り足して、『ポヨ飴』『パラシュート飴』と一緒にノーカさんへ送っておいた。運送ギルド経由でお手紙と一緒に。

 『もらったアイテムで作ったにゃんよ~』と。


 ついでに投擲アイテムといえば、エドさんとリーさんは投擲手なので、お試しにアイテムを送っておく。

 『新アイテム作ったから使ってみてほしいにゃんよ~』と。

 リーさんには『空飴』もいくつか送っておこう。いい感じに込められる魔法があればぜひ教えてほしい。

 フーテンさんとヤマビコさんには『ポヨ飴』を。HPが紙の魔法師と、タンクの盾士には使う場面があるのではないかな。使えるアイテムだといいな!


 あと持ち込むなら投擲専門店『緑の軌跡』だけど、こっちは学園都市観光が終わったら行こう。忘れずにやることリストに追加しておかねば。



肉食えエプロン→1章幕間:お使いクエストと狩猟祭


評価、ブクマ、リアクション、感想、誤字報告ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
まさかの暗黒料理人コースへとおもいきや、真っ当な?物を作る方向だったか。
ポヨの効果を思い出せず、 『でも、お高いんでしょう』にたどり着くまで 三十分位かかったちゃった… 致死ダメージを任意タイミングで 無効化出来るのは有益過ぎるな〜
更新にゃ~ん やることリストが溜まっていく…… 一度読者向けに今のやることリスト見てみたいかもしれないですわ
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