表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『剣も魔法も使えない【黒蝶少女】は、異世界に来ても無双する?』  作者: べるの
SS 双子姉妹の追想

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/593

自己紹介と年下のお姉さま

姉妹の急激な変化に驚く澄香の話です。

今回はちょっと短めになっております。


それとあとがきの方に、皆様に謝罪の言葉を書いてあります。

詳しくは一番下のあとがきで、ご確認お願いいたします。




「おかえりなさい、お姉さまっ!」

「おかえりなさい、お姉っ!」


「……………………」


 私が戻ってきた時に、二人はそんな事を言って恭しく出迎えたみたいになってたけど、あれはいったい―――――



 二人にリカバリーポーションを使いながら「あっ!」と思い出す。



『そう言えば二人に名前教えてないじゃん。だから変な呼び方なんだよ』



 私はその事に気付く。


 ただ、お姉さまのところは正直よくわからない。

 けどキチンと名前を教えれば問題ないだろう。


 うん。そうしよう。



「お姉さま、私たちを治療していただきありがとうございます」

「お姉のお陰でやっとズボンが履けたんだっ! ありがとうなっ!」


「え? う、うん」


 治療を終えた姉妹は、そう言って健気に頭を下げてくる。

 ありがとうも何も、あなたたちそんな事したの私なんだけど……。


 それよりも、名前教えないと――



「あ、あのさ、私の名前は『澄香』て言うんだ『透水澄香(とおみず すみか)』だから、澄香って呼んでくれるかな? 私は年下だし、姉ってなんかおかしいし」


 今更ながら自己紹介をする。



 それを聞いた姉妹の反応は――



「え、お姉さまって『スミカ』って言う名前なんですかっ? お姉さまらしい素晴らしいお名前ですねっ! 『スミカお姉さまっ!』」


「お姉は『スミカ』っていうのかっ!良い名前だな『スミカ姉っ!』」


「えっ! だから私は『澄香』だってっ! 姉はいらな――」


「あっ、()()()()()()()、喉など乾いていないですか? 南の大陸から持ってきた、果実水などがあるのですが、お飲みになりますか? とっても美味しいですよっ」


「う、うん、ありがとういただくよ。それよりも、お姉さ――」


()()()()っ! ワタシも、南方の乾燥した果物を持ってるんだぜっ! これも美味しいから、食べてみてよっ」


「え、あ、ありがと、それもいただくよ。で、その姉って呼び――」


「はい、どうぞっスミカお姉さまっ!」

「食べてくれよっ! スミカ姉っ!」


「う、ううん、ふたりともありがとね。美味しくいただくよ」



「はいっ!」

「うんっ!」



『う~ん………………』

 甲斐甲斐しく私の世話をする姉妹に、更に言いにくくなってしまう。



「モグモグ、ムシャムシャ、ゴクゴクッ―― っ!?」


「ジ――――――ッ」

「じ――――――っ」



「………………」


 今度は二人に注目されてて、もの凄く食べずらいんだけど…………


 なんでこの姉妹は祈るように手を胸の前に合わせてガン見してんの?

 またその二つの果実が、ムギュってなってるよ。私とおんなじだよっ。



「………………」


 これって、もしかして、食べた感想を求めてるって事っ!?



「ジ――――――ッ」

「じ――――――っ」



『………………それっぽいね。私の感想待ち』



「ふ、ふたりとも、とっても美味しかったよっ! あ、ありがとうね。それよりも――」



「それは良かったですっスミカお姉さまっ! 喉が渇いたらいつでも言ってくださいっ!」

「うん、ワタシにも、欲しいときに言ってくれよっ! 直ぐに出すからなっ!」


「…………………………」


 全く取り付く島もない。

 しかも、めっちゃ喜んでるし。



 もうダメだ。もう何も言えない。


 こんな二人のキラキラした目を見たらこれ以上は言わない方がいい。

 ってか、無駄っぽい。そもそもこの目は何も聞かない目だ。



 それよりも、私にはもう一つ目的があるんだ。

 姉妹の様子は気になるけど、早くしないと夜が明けてしまう。



「あのさ、ちょっと付き合って欲しいっていうか、手伝って欲しい事があるんだけど」


「はいっ、スミカお姉さまっ! 私たちに任せて下さいっ!」

「おうっ、スミカ姉っ! ナゴ姉ちゃんとワタシに任せてっ!」


「う、うん」


 そう言って立ち上がり、二人とも快活に返事をする。

 その勢いに少しだけ引く私。



 それよりも私まだ何も言ってないけど……。



「この先の山の麓に、トロールの大群がいるらしいんだけど、討伐を少し手伝ってくれない? 一人でもいいんだけど思ったよりここで時間かかっちゃったからさ。大丈夫? 強制はしないよ。危険な事だし」


 そう二人に軽く頭を下げお願いする。

 この姉妹の強さならばかなりの助けになるし。時間短縮にもなる。



『…………それよりも、思ったより時間かかったのって、主にこの姉妹が原因なんだけど――』



 なんてことを脳裏をよぎるが何も言わない。

 しばらくの間、この姉妹の面倒見るって決めたのは私だし。



「はい、私たちがお供しましょう。そのトロールの死体を貢物として、スミカお姉さまに捧げましょう」

「おうっ! ワタシたちの活躍を見ててくれよっ! それとトロールの肉は美味しいんだぜっ!」


「貢物っ!? あ、ありがとう。そ、それじゃお願いするね。森を抜けていくから、私の後に付いてきてくれる?」


 二人に返答に若干どもりながら答える。


 死体の貢物って何!?

 なんか私、奉られそうになってない?



「はいわかりました。スミカお姉さまっ!」

「うん、付いて行くよっ! スミカ姉っ!」





 そうして私たち三人は、まだ暗いサロマ村を駆け抜け、ビワの森の中心の山を目指して移動を開始した。残りはトロールの討伐だけだ。



「ねえ、さっきゴナタが言ってたけど、トロールの肉も美味しい言って本当なの?」


 タタタタッっと森の中を走りながら、さっきの気になった事を聞いてみる。



「うん、スミカ姉っ。オークの肉よりはずっと美味しいぞっ! 焼いても煮込んでも絶品なんだよっ」

「ゴナちゃんの言う通りですね。一応高級食材の部類に入っているんですよ。その美味しさから」


「へ~、それはいい事聞いたよ」


 トロールの肉も美味しいんだ。


 この世界はあちこちに食材が溢れてるね。

 そうは言っても、それを狩れるのは一部の人間なんだろうけど。


 これでまたユーアへのお土産が確保出来る。



 大量のオークとトロールの大好きなお肉たちに囲まれて、その中で喜んでいるユーアの姿が目に浮かぶ。


 だけど、


『いや、いや、それはそれで気持ち悪いでしょうっ! サイコパス過ぎるでしょうっ!!』



  私は血まみれの、大量のオークの死体の中心で、無邪気に両手を挙げて喜ぶ少女(ユーア)を想像して、顔をしかめるのであった。





なろう勝手にランキングさまのサイトのタグが間違っていました……


小説の一番下と、各話の下部に、こんなものを設置してあります。

↓↓↓↓      

□◆よろしかったらこちらもお願いします◆□


こちらは一日一回クリックしてもらえると、投票みたいになるそうです。


今までクリックしてくださった方、ありがとうございます!

それと、今まで反映していなかったことを、お詫び致します。


申し訳ございませんでした。


もう訂正してありますので、今後ともよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 作者さん、更新はお疲れ様です! まぁ、スミカさんは絶対的な存在として説教した時に精神年齢が上で在る事をバレましたでしょうから、お姉様という呼び方こそ相応しいでしょうwww そしてそれはそれ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ