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『剣も魔法も使えない【黒蝶少女】は、異世界に来ても無双する?』  作者: べるの
第6蝶 冒険者ギルド騒乱編

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スカートの中とユーアの疑惑

今話より新章が開始となります。

ギルドの事が主な話になります。

戦闘もちょこちょこ増えてきますが、基本は少女たちのじゃれ合いです。


新章1話はただの、パ〇ツの話です。パン〇回です。





 ブオォォ――――


「それじゃユーア、朝ごはん食べたら今日は少し買い出しに行こうか?」



 お風呂上がりのユーアの髪を、ドライヤーで乾かしながら聞いてみる。



 ガァ――――



「え? なに? スミカお姉ちゃん聞こえないですっ!」


 ユーアは顔を上に向けて「なに?」と聞いてくる。

 きっとドライヤーの音で聞こえないのだろう。


「あ、ほら、動いちゃったら乾かせないじゃない」


 上を向いているユーアの頭をグイっと下に向けさせる。



 ん――、でも買い物って言っても特にないんだよなぁ。

 昨日まとめ買いしちゃったしね。



「あ、ユーアっ! ログマさんのところにお()を買いに行こうよ。もう私たちの分入荷したんじゃない?」


 銀色の髪をクシで溶かしながら、ドライヤーで乾かしていく。


「はいっ! お()ですねっ! わかりましたスミカお姉ちゃんっ!」


 『やった~っ!』と両手を挙げて喜んでいる。


「ちょ、ユーア落ち着いて、乾かせないからっ!」


 ってか、最初の会話は聞こえなかったのに、()に関することは聞こえるのね。


 さすが、肉マイスターユーアだ。



 ログマさんの所で買って、アイテムボックスに入れていた大量の肉は、大豆工房の作戦で全部使ってしまった為、今は在庫0になっている。


 っと言っても、肉関係はレーションが大量に残っている。

 でもそれだけじゃ味気ないしね。結局は保存食だし。


 そしてあの時、全部使いきってしまったログマさんが見かねて、私たちの分を仕入れてくれるって言ってたんだよね、確か。



 なので、それも含めて買い物に行く事になった。

 


※※




 大豆工房◎出張所の件から、二日経っていた。



 二日間、私とユーアは何をしていたかっていうと。


 初日はユーアとレストエリアを掃除したりゴロゴロしていた。



 昨日は冒険者ギルドに行ったり、ユーアの採取の依頼に同行したり、メルウのいる大豆工房◎出張所に様子を見に行ったりもした。


 あ、前から気になっていた大豆工房◎出張所の『◎』の部分が『サリュー』に変わっていたんだった。


 そして『出張所』の部分はなくなっていた。


 なんでも『サリュー』という名前は、亡くなったメルウのお母さんというか、マズナさんの奥さんの名前だって話だ。


 出張所の部分がなくなったのは、コムケの街を本店として本格的に営業をするかららしい。母国の本店をコムケに移動した形だそうだ。


 この街に、きちんと根を張れる目処がたったからこその改名だった。



 そして新しい店名は『大豆工房サリュー』になった。



 そんなこんなでユーアと二人、二日間を満喫して過ごした。







「それじゃ、先にログマさんの所にお肉を買いにいこうかっ」



 レストエリアをアイテムボックスに収納しながら、ユーアに聞いてみる。



「はいっ! スミカお姉ちゃん。それからどうするの?」

「ん――、ユーアは何処か行きたいところはあるの?」

「そうですね、ギルドで依頼をみたいですっ!」

「わかった。途中でお昼ご飯を食べてから、覗いてみようか」

「はいっ!」



 私とユーアはいつもの様に手を繋いで通りを歩いていく。




 すると一般地区を抜ける途中で



「お――――いっ!『蝶』の嬢ちゃ――――んっ!!」


「ん?」

「なに?」


 そんな呼ぶ声が後ろから聴こえてくる。



 超が付く、嬢ちゃんって何よ。

 『超』が付くほどの美人ってこと?


 私が呼ばれたわけじゃないので無視をしてユーアと歩く。



「ス、スミカお姉ちゃん。きっと呼ばれてますよ?」


 ユーアが繋いだ手を引っ張って私に告げる。


「えっ? 私っ!? ってあれ?」


 なんか、つい数日前にも同じことがあったような……

 もしかしてデジャヴ?


 なんて首を傾げていると、声を上げていた男が私たちに追いつく。



「ハァハァ、や、やっと見つけたぞ蝶の嬢ちゃん。じゃなかったスミカだったな。ちょっといいか?」


 男は息を整えながら話しかけてくる。


「ワナイさん、おはようございますっ!」


 ユーアがきちんとお辞儀をしながら挨拶をする。



「…………おはよう。それでまた私に何かようなの?」



 この人は街の警備兵のワナイ。


 確か前回会った時は、屋根の上を駆けずり走っていたのを、危ないからって注意されたんだっけ。


 街のひとから通報があったとかなんとかで。


 それともう一つ。なんか注意されたんだよね。

 なんだっけかなぁ?



「ああ、スミカ、()()やっただろう? それで再度通報があってな、一応注意をしにきたんだよ」


「えっ!?」

「へっ?」


 ワナイは息を整え終えて、私を見てそう告げる。



 え、()()やったっけ?



「わ、私やってないよ。ね? ユーアっ!」

「う、うん」


 ユーアに同意を求めようと聞いてみる。


「あ、いや今回はユーアは関係ないんだ。蝶の、じゃなかったスミカと大豆工房の娘が目撃されたんだよ。蝶とネコの姿の二人をな」


「え? 私だけ?」

「スミカお姉ちゃん…………」



 ネコの姿? 大豆工房の娘?



「あ、ああっ!」


 昨日、大豆工房の倉庫に、ネコ装備のメルウを抱いて在庫を取りに行った時だっ! 途中で足りなくなったあの時だっ!



「わ、私で間違いないです。あ、あの時は急いでて仕方なかったんだよっ! 時間掛けちゃうと大変なことになっちゃうとこだったんだから。ね? だからねっ!」


 「許してねっ!」と顔の前で両手を合わせる。



「ああ、なんとなくはルーギルとクレハンから聞いている。あの二人は何か問題を起こすかもってさ。周りに被害が無かったら、融通して欲しいって事をな。でもなぁ、注意したその日だろう? またやったのは。流石に街の人に二日連続で通報されて何もしなかったら、警備員の評判も悪くなるんだよ。だから――――」



「だ、だから?」


 どきどき――


 も、もしかして逮捕!?

 私、牢屋に入れられちゃうの!?



「だから、スミカにはスカートの中に『ズボン』を履いてもらう。次やったらな」

「はぁ?」


 ワナイは真剣な顔で、そう私に告げた。



 えっ! ズボン? なんで?



「ちょっとどういう事? なんで『ズボン』なの? お縄はいいの?」


 何か嫌な予感をしながらも、ワナイに確認する。


「オナワ? よくわからないが、スミカ、()()見られてたぞ? 前にも言ったが気を付けろ。屋根の上でもそうだが、露店の『広場』でも見られてたらしいんだからな――――」


『あ、ああああ~~っ』


 この流れって、もしかして――――



「今回は『白』だった、てな。それじゃ注意したからな。俺は戻るぞ」


「………………」


 嫌な予感通りにワナイはそう告げて後ろを向く。

 そしてそのまま去って行った。




『イ、イヤァァァァ――――ッッ!!』



 さ、最悪だぁっ!!


 その日の下着はユーアとお揃いで『白』を履いてたんだ。

 一緒に購入した。


 そして黒のスカートに、白の中味でしょうっ?

 絶対に()()()でしょうっ!!


『え、じゃ、じゃあ何っ!?』 


 私は大豆工房前の広場で、ずっと見えてたの!?


 透明壁で空中に浮いていたから、全部下から()()()だったっていうの!?


 あそこにいた大勢の人たちとか、ルーギル達とか、ログマさん夫妻とか、ニスマジとかにも!? 冒険者の人達にもっ!? あああああっ!!



「ス、スミカお姉ちゃんっ! 大丈夫!? もしかしてっ、ま、()()パンツを見られて――」


「こ・ろ・し・てっ! もう私をころしてええぇぇッッ!!」


「ス、スミカお姉ちゃああぁぁ――んっ!!」




※※




「ウウッ、シニタイ、モウダレニモカオヲアワセタクナイ」



 私は絶望の中でユーアに手を引かれトボトボ歩いていく。



「だ、だいじょうぶだよっ! スミカお姉ちゃんっ! ボクなんか着けないときあるしっ! だから気にしないでねっ!」


「えっ!?」


 そんなトンデモ話をするユーアをマジマジと見てしまう。


「ボ、ボク、お洋服も靴もパンツも、なかなか買えなかったから、忘れてお洗濯した時はね、着けない時もねっ!」


 なんてそんな事を言って、落ち込んでいる姉を慰める妹。


「ねっ! だから大丈夫だよっ!」

「えっ!?」



 一体何が大丈夫なんだろうか?

 そんな状態で丸出しになったらどうするんだろう。



「そ、そうだねっ!」


 私はユーアにそう返事を返した。

 それでも姉を気遣ってくれる妹を嬉しく思ったからだ。


 ただ、実際にユーアがしていた『ノーパン疑惑』の真意がわからないままだったけど。



 そんなこんなで、ログマさんの所で大量のお肉を買って、カジカさんの経営しているその二階の食堂でお昼を食べて、ユーアと二人手を繋ぎ、冒険者ギルドに向かうのだった。



 でもまさか冒険者ギルドで…………




じ、次回にはギルドの話になります。

毎回進みが遅くてすいませんです。

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