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『剣も魔法も使えない【黒蝶少女】は、異世界に来ても無双する?』  作者: べるの
第15蝶 異世界最強魔法少女(幼女)との邂逅編

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災害幼女のコンプレックス?

サブタイトル通常に戻しました。

今章は場面の切り替えが多く、ナンバリングが飛び飛びになるので。


では今回は魔法少女に変身したフーナの続きです。

それを目の当たりにした、スミカの反応は?





「――――パンプ〇・ピン〇ル・ト〇ポップンッに、ペ〇ッコ・ラブ〇ン・クル〇ル・〇ンクルッ! おとなにな~れっ!!」


 どこかで耳にしたような謎の詠唱を終え、眩い光の中から現れたのは、大人になったフーナ、もとい――――



「この世全ての幼女は私のものっ! いじめる子は折檻しちゃうぞーっ!」 


 特殊な趣味を恥ずかしげもなく前面に出した、ただの変態だった。 


「………………はぁ」


 しかも決めポーズなのか、持っていた杖をライフルに見立てて『ドヒューンッ! これであなたもロックオーンッ!』とかノリノリで言ってるし。

 なんかひと昔前のアニメの登場台詞みたいだ。

 


「さぁ、私が本来の姿になったからには―― ぶぎゃっ!」


 まだ続く前口上を聞く必要もないので、背後に回り込み思いっきり蹴り飛ばす。

 そんなフーナは水面と平行に数十メートル飛ばされる。



「痛たた~、ちょっとまだ私のセリフの途中なのにって、消えたっ!?」


 体勢を難なく立て直し、今度は私の姿が見えない事に驚いている。


「こっちだよ」


 ドガッ!


「え? ぼぎゃっ!」


 キョロキョロしているフーナのお腹に、更に追撃として回し蹴りを打ち込む。

 それでもダメージはないようで、数十メートル飛ばされたところで宙に留まり、険しい表情でキッと睨みつけてくる。



「もうっ! さっきから卑怯だよっ! 背中蹴ったり消えたりして攻撃してくるなんて、悪者にやることだよっ!」


 プンプンと擬音が似合いそうなほど、両手を挙げて激おこのご様子。


「なんの魔法か知らないけど、体は大きくなっても中身は変わらないんだね?」


 手足がスラリと伸び、顔つきも凛々しくなったフーナを見下ろす。


 そんなフーナはダボダボだったローブをキチンと着こなす程に成長していた。

 プランプランとしていた袖も、引きずっていた裾もジャストフィットしていた。



『もしかしてこれが本来の姿? 魔法で制限解除したって事?』


 ちんまい幼女からスレンダーな高身長美少女に変貌したフーナ。

 ただおつむが残念なのは変わっていないようだった。



「ねぇ、その姿って元々のなの?」


 マヤメの説明によると、フーナは20年以上前から冒険者を続けている。

 なら今の姿が本来の姿なのかと尋ねてみる。



「うん、そうだよ。なんで?」


「いや、随分と大人な姿になったなって感心しちゃってさ。しかも美人だし」


「そ、そうかな? でも蝶のお姉さんも素敵だよ? ロリカッコ可愛いし…… ポッ」


 褒められたのが嬉しいのか、クネクネとしながら上目遣いで答える。

 そして社交辞令なのか、私の事もお返しとばかりに褒めてくれる。


『何なの? ロリカッコ可愛いって、色々盛りすぎな気もするけど。それにしても……』


 その涎と潤んだ瞳はなんなの?

 まるで大好きなお肉を前に手を合わせるユーアみたいなんだけど。


 

「でも大人になり切れてない部分もあるね? 特にその平原はそのままなんだ」


 身長が伸びたことにより、更に強調された平らな胸部装甲。

 体型と同じでスラリとしている。


「う、うるさいなっ! ここは気に入ってるからいいんだもんっ! ひんぬーは至高で、ちっぱいは最高なんだからっ! 私の自慢なんだから~っ! むんっ!」


 何故か自信ありげに胸を逸らし、その平坦な胸を強調する。


「はぁ~?」


 いやいや、それは自慢するところでもないだろう。

 胸を張る意味も良くわからないし。



「あ、それともう一つ気付いたことあるんだけど」


「え? こ、今度はなにっ!」


 体を両腕でさっと隠し、怯えたような目でこっちを見てくる。

 なんだかんだで気になってるじゃん。



「フーナってさ、自分の身長にコンプレックスあるでしょう?」


「………………えっ!?」


「だから小さい子に憧れるんでしょう? 変身前の姿も小さかったし、連れているメドって子も小さいし。幼女がどうとか言ってるのもそのせいだよね?」


「うえっ!?」


 本来の姿? になったらしいフーナは元の世界の私よりも高身長だ。

 ロンドウィッチーズのリーダのリブも背が高かったがそれ以上だ。


 アバター前の元の私が160センチ後半。

 リブは恐らく170を超えていた。


「え? べ、別に、コンプレックスなんかないよ?」


 そしてそんなフーナは更に大きく『180センチ』を超えていた。

 


「そう? 私も小さいから大きいのに憧れるんだよね」


 どこが? とかは敢えて言わない。

 今の私はあれだけど、元の私は憧れの対象だったし。富士の山だったし。



「う、ううう~、そ、そうだよっ! 私は女性くせに背が大きくって、子供のころから馬鹿にされてたんだよっ! 電柱女とか女性版ガリバーとか関東平野とかっ!」


 ブンブンと腕を振りながら、その悲惨な過去を涙目で絶叫する。


「そ、そう。それは可哀そうだったね?」


 そこまで聞きたい訳じゃなかったけど、一応慰めを入れる。


 でも電柱とかガリバーはわかるけど、最後のは身長に関係ないよね?

 それと気になる単語も出てきたし。


『まぁ、そっちは大方予想してたけど、今の状況じゃ聞く耳持たないよね? 散々煽っておいていうのもあれなんだけど』


 今のフーナは自分がどこにいるのかさえも、把握できないほど取り乱している。

 そもそも敵だと認識して襲ってきたのだから、今の時点で話し合いは難しいだろう。



「そ、そうなんだよぉ…… 背が他の人より高いってだけで、女性に見られなかったりからかわれたりしたんだよ。だから小さい子に憧れて、それで魔法少女に興味を―――― はっ!? って、いまはそんな話している場合じゃなかったっ!」 


 同情した事により、ツラツラと黒歴史を語り始めたが、ふと慌てて我に返るフーナ。 


「そうだね。確かにそんな話をしている場合じゃなかったね。でもそのおかげで場所も変えられたし、向こうの様子も把握できたから、こっちとしては大成功だよ」


「え? 場所って…… ああっ! いつの間にか水がないっ!?」


 湿原より離れた、草原の上にいることに驚く。


「ああ、変身した直後から隙だらけだったから、こっちに誘導しながら攻撃してたからね。さすがにみんな(キューちゃんたち)が逃げたとはいっても、あなたの魔法は脅威だからね」


 災害の異名を持つフーナの魔法は、その名の通りに痛烈無比な威力だ。

 透明壁スキルで防げるといっても、範囲を超えたら保護できない。



「そ、そうなんだっ! まぁ、私もワザと誘導されてあげたんだけどね~っ! あの湿原を蒸発させちゃったらさすがに大目玉だしね~っ! あはは~っ!」


 チラりとシクロ湿原を見やり、引き攣った笑いで答える。

 誰が見てもその笑顔の方がワザとに見えるけど。



「まぁ、どっちでもいいけど、その隙だらけのせいで助かった事もあるから、こっちとしてはありがたいよ。あなたの不注意が功を奏したって感じでね。だからありがとう」


 視界の遥か先に、薄っすらと確認できる影を見て頭を下げる。


「ありがとうって言っても、それって褒めてないよねっ!」


「うん? よくわかったね。姿と一緒で少し大人になった?」


「むっき~っ! 元々大人だもんっ! もう本当に頭にきたっ! ここからはさっきのようにいかないかんねっ! 魔法少女フーナちゃんが成敗しちゃうからねっ! あなたの魔法だってもう()()()()しっ!」


 私の軽口に分かり易い反応で答える大人版フーナ。 

 やっぱり何もわかってないじゃん。


 ここまでに仕掛けた幾つものトラップに嵌まっていることも。

 分身体の私といつの間にか入れ替わってたことも。


 そして、ここを離れて何処かに行っていたことにも。



『こっちは何とかするから、そっちも頑張りなよ。その覚悟は私にじゃなくて、大切な人の為にとっておくものだからね』


 ここから離れている、マヤメたちがいる方向を見て一人呟いた。


フーナの中身と体型は相変わらずみたいです。

会話の最中にスミカが色々と動いていたことも知らなかったみたいです。

ここら辺にちょっと差がありますね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] フーナさん、案外色々個性的な趣味をお持ちですねwww正直、それはそれで可愛らしいと思っています〜 そして魔法少女の変身とは面白いネタ、実はそれも素敵なモノだと感じています!
[一言] >電柱女とか女性版ガリバーとか関東平野とかっ! >電柱とかガリバーはわかるけど、最後のは身長に関係ないよね?  有るね~。  日本最“大”の“平野”だからね。  大きくてつるぺっtーー( …
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