表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『剣も魔法も使えない【黒蝶少女】は、異世界に来ても無双する?』  作者: べるの
SS『クリア・フレーバー』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/593

とある日の戦場1

澄香が異世界に来る前のゲーム内でのお話になります。

ソロプレイヤー時代『クリア・フレーバー』のちょっとしたお話です。

(1/3)




  ――とある日の戦場―― (1/3)




「あそこの小屋に、逃げ込んだぞっ! あの狭い小屋じゃ逃げ道はねえ。囲んで一斉に鉛玉ブチ込むぞっ!」


「おうっ!」

「ああ」

「はい」

「わかった」


 俺たち5人は、とあるプレイヤーを追い詰めた。

 連携を取り、射撃や牽制で誘導し、薄暗い森の中にある、小さな納屋に。



「よし、撃てぇ――――っ!!」


「「「おうっ!」」」


 ダダダダ――ッ!!

 タタッタタッタタタタッ――!

 バババババ――――ッ!!

 バシュッ!


 リーダーの号令により武器を構え、一斉に引き金を引く。

 一人のプレイヤーに対して、過剰とも思える攻撃を仕掛けていく。


「「「うお――――っ!!」」」


 しかしそこに戸惑いや、逡巡などなかった。

 雄叫びを上げながら、弾倉の中身をありったけにぶちまけていく。


 一人の少女を追い詰めて、反撃や逃走などできない、集団暴行に近い行為でも、俺たちは躊躇しなかった。


 その理由は――――



「よし、もういいだろうっ! さすがに奴もこれではひとたまりもないだろうっ!」

「ああ、そうだなっ! いくらソロのトッププレイヤーだからって、さすがにこれじゃなっ!」


 視界の先には、俺たちの一斉射撃により、小屋だったものはそこにはなかった。


 その数の暴力により、小屋そのものが跡形もなく消滅しているのだから、中にいたプレイヤーが助かっているとは到底思えない。



「…………や、やり過ぎてないかな? いくらトッププレイヤーだからって、相手は小さい女の子だったんだよ? しかも武器なんて持ってなかったし。なんか少し可哀想になってきた」


「まぁ、気持ちはわかる。傍から見たら俺たちは、小さい女の子を男5人で追い立てて、隠れた小屋ごと破壊しちまったんだからな。でも奴は、あれでもソロ最強の女だ。これぐらいやらないとダメだろう?」


「ははっ、まあ、もういいじゃないかっ! これで俺たちチームの格も上がるってもんだっ! 気にすんなっ!」


「そ、そうですよねっ! 俺たちがあのソロプレイヤー最強の『クリア・フレーバー』を倒しちまったんですものねっ! 格も、箔も、名声も俺たちに付いてきますよねっ!!」


「まあなっ! 奴は先週のソロの大会でも優勝していたからなっ! それを俺たち5人が倒しちまったんだ。明日からはトッププレイヤーの仲間入りだっ!」


「「「ははははははっ!」」」


「…………ん? そういえば、ふと思い出したんだが、先週の大会の優勝賞品ってかなりの装備っていう噂じゃなかったか? そう確か、強固な? いや絶対破壊出来ない壁だったか? それと姿が消せるっていう、あの蝶の衣装の秘密が――――」



 なんて、それぞれが勝利の余韻に浸り、談笑していると……



「はい、ご名答。よくできました。あと、そんな簡単に私に勝てるとは思わないで? あの程度の攻撃で、長年守ってきた最強の称号を奪えるなんて事ないから――――」



「「「なぁっ!?」」」


 俺たち5人の後ろから、この戦場に似つかわしくない、

 そんな澄んだ声が聞こえてきた。



「だから、格も名声も諦めて。そんなものは夢物語だから、私がいる限り」


「「「くっ!!」」」



―――



 蝶に似せた衣装の、白と黒のフリフリしたゴスロリ風の装備を纏った人物。


 背格好はかなり小さく、まるで低学年の子供が、お遊戯会の衣装のまま来てしまったんじゃないかと思う程の、この世界では、あり得ない程の違和感。


 前髪がざんぐりと多少揃って、その黒髪は、腰まである綺麗なストレート。瞳は若干吊り目がちで、少し気の強い印象を受けるが、俺たちを見るその笑みは美少女、いや、小悪魔に近いと言った方が当てはまる。



 そんな人物が――――


 この世界最強のソロプレイヤー『クリア・フレーバー』だった。




一話で完結の予定でしたが、分けて投稿します…………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ