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『剣も魔法も使えない【黒蝶少女】は、異世界に来ても無双する?』  作者: べるの
第3蝶 街に待った初めての街編

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異世界の街と身分証

ちょこちょこ訂正と加筆していますがまだ読みずらいですね?

もう少し色々と直していきますね。




 ぞろぞろと、美少女2人と強面の男10人で歩くこと2時間弱。



 道中、魔物にも遭遇することもなく、ようやく街を囲む外壁が見えてきた。


 ユーアは相変わらず、ここまできても男たちに可愛がられていて、みんなのマスコットみたくなっていた。


 特に、初老を迎える位の年齢の男たちには大人気だった。

 きっと孫みたいな感覚なのだろう。


 まぁ、私がおばあちゃんだったら、もっと可愛がるけど。


『ん~……』


 それにしても、一般人には見えない強面の男たちが、()()()を囲んでいるのを見ると、思わず通報したくなる。


 そんな中にいてもユーアは、屈託のない無邪気な笑顔で仲良くおしゃべりをしている。ここに来る間に、随分と慣れてしまったようだ。


 話しかけられる男たちも、自然と目を細め、口元も緩みきって、締まりのない顔で相槌を打ったり、笑顔で話しかけている。


 私はそんなだらしない顔を見て、更に通報したい欲求に駆られる。

 余りにものその変貌ぶりに。


 でも、そこがユーアの魅力って言えば、きっとそうなんだろう。

 そんな風にも思える。


 私? 私も大人気だったよ?

 話しかけては来なかったけど、チラチラと視線は感じていたからね。


 多分だけど声を掛けずらかったんじゃないかな?


 ほら、高嶺の花とか、高貴な雰囲気とかあるじゃない? 蝶には。

 そういうのを本能的に感じちゃったんじゃないかと思う。


 視線が合ってもすぐ逸らしてたしね……



「ではルーギルの旦那。自分らはここらで集落に戻ります。また何かありましたら声を掛けてください。いつでもお手伝いしますので」


 ルーギル以外の男たちは、ここでお別れらしい。

 元罪人なのもあって、極力街には出入りしたくないそうだ。



「おうッ!『スバ』ありがとよ。またよろしくなッ!」



 ルーギルに声を掛けた背の高い細身の体躯の男は『スバ』というらしい。

 スバは集落を纏める元冒険者で、ルーギルにはその時の恩義があるらしい。


 スバと男たちはユーアに手を振って、私には軽く会釈して帰って行った。




※※



「スミカお姉ちゃん、着きましたっ!」

「へえ~、意外と大きいんだね」


「大変な目に合ったけど生きて帰れたぜッ!」


 そして私たちはコムケの街の門に辿り着いた。


 コムケ街を守る門には、二人の門兵が立っており、出入りする人物をチェックしている。



 私たち三人は、順番に街に入る人たちの最後尾に並んだ。

 そして私たちの番になり、ルーギルを先頭に街に入っていく。


 その際にルーギルは胸ポケットより冒険者証を出し、ユーアも同じようにして、門兵に見せて入っていく。


「おう、ルーギル随分可愛らしいお供を連れてんな、今日はもう終いか?」

「んぁ、そうだな。後はギルドに報告するだけだッ」


 顔見知りなのか、門兵の一人とルーギルが話している。


「ちょっと先輩、後がつかえちゃうんで、話は後にして下さいよ」


 すぐさまもう一人の若い門兵に注意される。


「おう、悪い悪い、またなルーギル!」

「おぅ、じゃーなッ!」


 なんて締めくくり、次は私の番。


「…………ず、随分へんな、変わった格好だな? 見ない顔だがこの街は初めてか? 悪いが嬢ちゃんもカードを見せてくれ」


 門兵の男は、私と視線を合わさずにそう聞いてくる。


「……………………」


 なんかこの人、初対面の美少女に『変』とか言い掛けなかった? 



「持ってないよ。ないと街に入れないの?」

「今時、身分カードが無いって、一体どんな田舎から来たんだ?」

「えっ? ず、ずっと遠い大陸の山奥に住んでたんだ。だからカードとかなかったんだよ」


 適当にそっれぽい話を作ってみる。


「遠い大陸の山奥? フリアカ大陸か? まぁ、あそこなら仕方ないか。ならこっちに来てくれ」

「そ、そうそうっ! そのフリフリ大陸っ!」


 おおっ! 言ってみるもんだねっ!



 門兵の男に付いていき、すぐ近くの詰め所らしき小屋に案内される。



 それを聞いていたユーアとルーギルは、


「え!? スミカお姉ちゃん冒険者じゃなかったの?」

「……スミカ嬢、あの強さで冒険者じゃねぇとかおかしいだろッ!」


「………………」


 そんな事を言われた。


 知らないよ。

 そんな世界の常識みたいに言われたって。



「嬢ちゃん、この用紙に記入してこっちのカードには魔力を通してくれ」


 椅子に座った私を見て、一枚の紙と薄いカードを差し出してくる。


「は、はいっ? まりょくって、あのまりょく!?」


「そうだ。その魔力だ」


「ね、ねえ、魔力って誰でもだせるの? わ、私のいた所では聞いた事ないんだけど。ど、どうなのっ! 魔力が出ないと街に入れないのっ?」


 なんとか動揺を抑えて聞いてみる。


「うん? そうなのか? だが魔力は誰でも持っているぞ。実践レベルで使える奴は稀だが…… まあ、とりあえずカードに手をかざしてみてくれ。出来ると思うぞ」


 門兵はそう言ってカードを差し出してくる。


「う、うん、やってみるよ」

 

 カードを受け取り、緊張しながら、なんとなく『念』らしき物を送ってみる。



「お、おおおっ!!」


 するとカードが薄っすらと白く光り出した。



「うん、全然問題ないみたいだな。これで仮登録は終わりだ。街民として本登録する場合は教会にいってくれ。ギルド関連に登録したいなら、各ギルドに行ってくれ。ようこそコムケの街へ」


 そう言って笑顔で手を差し出してくる。


「あ、ありがとっ」


 私も笑顔で握り返しお礼をする。



 ふぅ、やっと街に入れたよ。





「待たせてごめんね、二人とも」


 詰所の外で待っていた、ユーアとルーギルに合流した。



「どうするんだ? スミカ嬢。その強さなら冒険者に登録するのか?」


 すぐさまルーギルが聞いてくる。


「ス、スミカお姉ちゃんっ! ボクと一緒の冒険者になってください! スミカお姉ちゃんと一緒に冒険したいですっ!!」


 ユーアがキラキラした目で素敵な提案をしてきた。


「そうだね、ユーアと一緒に冒険しようかっ!」


 ユーアの頭を撫でながら微笑んで答える。


「うんっ! やったーっ! ありがとうっ! スミカお姉ちゃんっ!」


 ユーアも満面の笑顔で答えてきた。



 もちろん、ユーアが冒険者って聞いた時から決めていた。

 だって、一緒に生きていく事と、守るって決めたんだから。



「おぅ、そうと決まれば冒険者ギルド行くぞ。こっちは報告もあるし、スミカ嬢も俺と集落の奴らの事を確認すんだろォ」


 ルーギルを先頭に、その後ろに付いていく。

 私たちは、仲の良い姉妹の様に、手を繋いで歩いていく。



やっと街に入れました。

これから人物も増えてくるかと思います。

名前とか考えるのも楽しいですね。

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何の役にも立たないユーアを冒険者にしてどうするの?
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