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廃校で女性友達と再会する夢

掲載日:2026/02/12

 夢を見た。


「ここは学校かな」


 自分は教室らしい場所にいた。ただし、部屋の一部は崩壊しているし、机や椅子はグチャグチャだ。全面埃まみれな上、植物も薄っすら生えていた。


「廃墟っぽいな。廃校か」


 よく見ると、昔自分の通っていた学校によく似ていた。懐かしいな。


「とりあえず、外に出ようか」


 でも、廊下は物が倒れてふさがっているため、通ることはできなかった。だから、教室の窓から出てみた。


 外には明るい日差しが降り注いでいた。日光が暖かくて気持ちいい。とても幸せな気分になれて、思わず笑ってしまった。


「わあ。ナギくん。お久しぶり。元気にしてたかな」


 不意に、誰かの声が聞こえた。かわいいけれど甘すぎず、ちょっとかっこつけた愛らしい声だった。


 声の方を見てみると、そこには黒髪の美少女が立っていた。いや、厳密には少女の年齢じゃない気もする。


 けれど、その美女には制服姿がよく似合っていた。美女の生意気そうな表情は、少しだけ演技じみていた。


「ミオ。久しぶり。どうして制服なんか着ているんだ。ミオはとっくに成人済みだろ」


 とりあえず、疑問に思ったことを伝えてみる。すると、ミオがちょっぴり怒った表情を浮かべた。


「大人になっても制服を着たい気分だったのっ。それにほら、ナギくんと会えるなら、学生っぽい姿をしたかったの。だって、ナギくんは私の制服姿、好きだったでしょ。ああもう恥ずかしい。言わせないでよ。私はナギくんのこと好きなのにっ」


 ミオは照れたように言ってくる。ミオがあまりにも愛くるしくて、まるで夢みたいだった。いや、確実に夢だ。


 だって、自分達は両想いだって分かっていたけれど、結局告白もしなかった。そもそも、学校卒業後にミオは引っ越す予定だった。つまり、もし付き合っても、遠距離恋愛になることは目に見えていた。


 恋人と近くにいられないなら交際する必要なんかないよねと、当時は思っていた。その考えを、今ではすごく後悔している。


「ミオ。死んだって噂を聞いたけれど、本当か」


 勇気を出して聞いてみた。この前知り合いから、ミオの死亡に関する情報が回ってきたんだ。


 ミオは静かに微笑んだ。それは覚悟を決めたような表情だった。


「本当だよ。事故死だった。だからね、ナギくんにお別れの挨拶を言いにきたの。今までありがとう。大好きだったよ。いや、今でも愛している。じゃあね。さようなら」


 ミオが笑顔で言ってくる。やめてくれ。


「待ってくれよ。一緒に行くからっ。ほら、自分があの世の食べ物を口にしたら、死後の世界の住人になれるんだろっ」


 そう言いつつ、辺りを見回す。どこかに食料は落ちていないだろうか。腐りかけた缶ジュースとかでもいいんだけど。


「こーら。ナギくん駄目だよ。私はナギくんをあの世へ連れて行きたくないよ。ナギくんは死なないで、ちゃんと生きて。私のことなんか忘れて幸せになってね」

  

 ミオが優しい言葉を投げかけてくる。そんなこと言わないでほしい。むしろ、一緒に死んでと言われたかった。


 せめて、ミオのそばに駆け寄ろうとした。でも、太陽光が急に強くなった。周囲の光がまぶしくなりすぎて、目も開けていられなくなる。


 次目を開けたとき、そこはアパートの自室だった。どうやら、自分は夢から覚めてしまったらしい。もちろん、ミオはもういない。


「ミオ。絶対忘れない。いつまで好きだよ」


 そう言ってみたけれど、ただの独り言でしかなかった。それが少し切なかった。

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