第55話 宣戦布告
こんにちわ!
9月も今日で最後です!
頑張っていきます!
9月も終わり、季節はもう10月を迎えていた。何せ今月末には俺達の大学の学園祭があるので普段以上に忙しい学園生活を送っている俺だが、休日くらいはのんびりしたい。っというわけで俺は今日友達…というか幹夫の家にいた。
「流石はモリタク殿、性能では某の方が上なのにやるでござるな。」
「こういうシンプルな機体の方が使いやすいんだよ。」
今俺達は幹夫の部屋でガンダムVSガンダムをプレーしていた。結構前のゲームだが、部屋に入って何をプレーするか考えながら漁っているときにたまたま見つけたのでやることになった。今はタッグを組んでステージに挑んでおり、クリアしたばかりだった。因みに使用機体は俺がν(ニュー)ガンダム、幹夫はダブルエックスだ。
「しかし、アニメにしろゲームにしろガンダムというものはいいでござるな。」
「ああ。いろいろシリーズがあってそれぞれ違う色を出しているから飽きないよな。」
「某は宇宙世紀が大好きでござるが平成だとXが好きでござる。」
「俺も宇宙世紀、特にゼータと逆襲のシャア好きだな。平成はウイングとSEED、ダブルオー好きだわ。」
「でもヒロインはティファちゃんが1番でござる。」
「え~、俺はステラ大好きだけどな。」
なんてゲームを楽しみつつガンダムトークに花を咲かせる俺達。そうしていると部屋のドアが開いた。
「幹夫!」
「あ、母上。」
入ってきたのは幹夫のお母さんだった。幹夫と違って体型は普通だが、眼鏡をかけており顔立ちは似ていると思った。
「あら、拓人君。いらっしゃい!」
「あ、お邪魔してます。」
「いつも幹夫と仲良くしてくれてありがとうね。」
「いえいえ、とんでもないです。」
「ゆっくりしてってね!」
「はい、ありがとうございました。」
そう言って幹夫のお母さんは部屋から出ていった。
「やっぱりお前の母ちゃんいい人だな。」
「そうでござるか?」
「ああ、やさしいし。」
「忝い。」
なんて話をしながら、俺達はしばらくゲームを続けたのだった。
それからしばらくゲームを続けた後、俺達は街へと繰り出した。
「そう言えば幹夫の家には時々行くけど、小江戸の方にはあんまり行かないな。」
「某は時々食料調達のために行くでござる。」
「確かにおいしいもの多いしな。」
和風のお店が多いこの川越は俺が住んでいる日野とはまた違う魅力を醸し出している。ガンダムじゃないけど、違う街には違う色があるってのはいいよな。その後も俺達は手焼きせんべいや団子などを買って食べ、川越の街を満喫していた。
「ん?」
「どうした幹夫?」
「あの集団は何でござるか?」
幹夫が言った方向を見ると、何やらカメラを持った数人の男性及びオシャレに着飾った若い女性がその中央にいた。といっても観光客やそういった類で無く、何かの撮影スタッフのような感じがした。
「多分ファッション誌か地元ガイド誌の撮影かなんかだろ。」
「そうでござるか。言われてみればあの女性は何かポーズを決めているように見えるでござる。」
「アドマチック天国の地元の女性のファッションチェックみたいなもんだろ。まあいいや。通る時は邪魔しないようにな。」
撮影している場所の先に用があったので、邪魔にならないように俺達は道の端っこを歩いていた。俺たち以外の通行人も何組かその撮影の様子を見ていた。それにしても何の撮影だろう?そう思ってちょっと見た瞬間、俺は凍りついた。
「!!!」
なんと中央で着飾ってポーズを決めていた女性が滝澤エレーヌ・ユリナだったのだ。あいつならモデルにしてもきっと花があるからイケるだろうと思ったが、これはいわゆるう読者モデルってやつか?本当にやっており、しかも田舎を毛嫌いしているあいつが郊外にくるなんて思ってもいなかった。
「おい、幹夫。ちょっと急ごうか。」
「どうしたでござる?」
「いいから!」
そう言って俺は幹夫の袖をつかみ、足早にその場から立ち去ろうとした。正直あいつに絡まれると面倒だ。気付かれる前にさっさと移動しよう。
「じゃあ、休憩入ります。20分後にまたここでお願いします。」
撮影スタッフがそう言った直後、俺の背後から女性の声が響き渡った。
「待ちなさい!森拓人!」
げっ!何でばれたし!仕方ない、逃げよう。
「幹夫、走るぞ!」
「ちょっと、待つでござる!」
俺は幹夫を引っ張って逃げようとした。しかし、体重が重く尚且つ足が遅い幹夫を引っ張っても思ったよりスピードが出ない。
「速く走ってくれ、幹夫!」
「はぁ、はぁ…某は走るのが苦手でござる。」
息を切らしながら愚痴る幹夫を必死に引っ張る俺。だが、それもむなしく…。
「とうとう追いついたわ。逃げるなんてひどいじゃない。」
悲しいけど、おとなしく観念するしかなさそうだった。
「何で逃げるのよ。私を見て逃げ出す奴はあなただけよ、森拓人。」
愚痴愚痴と俺に文句を言う滝澤。面倒くさいやつに会っちまったな、全く。
「なんでそんなすぐに俺だって分かったんだよ?」
「日本で…しかもこんな郊外で芸能人以上の美男子がいたら嫌でも目立つわよ。」
随分と偏見極まりない理由だったが、俺の事は美男子だとは思っているのか、お前は。
「モリタク殿、この方とお知り合いでござるか?」
「ああ、小学校と中学校が同じだっただけだけどな。」
「そうでござったか。」
幹夫と話していると、滝澤が口をはさむ。
「一体このキモオタは誰よ、森拓人!」
「キモオタなんて言うなよ!大学の友達の安西幹夫だ!」
「どうもでござる!某は安西幹夫でござる。」
目の前でキモオタなんて言われているのに怒るそぶりを見せない幹夫。やっぱりこの辺は大人だなぁって思う。
「一体何の用だ?仕事中なんだろ。」
「今は休憩中よ。あなたに宣戦布告しに来たの。」
「宣戦布告?」
確かに俺と滝澤は冷戦状態だが、とうとう本格的に戦争するつもりなのか?こいつは。
「今、ある雑誌の企画で『楽しい学園祭はどこだ?大学編』っていうのをやってるんだけど、今年は私の大学とあなたの大学両方に取材が来ることになっているの。そして編集スタッフが採点してランク付けをするの。」
「それがどうした?」
俺はそう言う。正直そんなランキングなんて興味ないし、やりたきゃ勝手にやってくれって感じ。
「ふん。学園祭が楽しくない大学なんて誰も行きたがらないわ。まぁ、あんたのところの田舎の公立大学はお金も人も足りないだろうから地味なものにしかならないだろうけどうちは違う!大規模で模擬店も多いし、本格的なミス・コンテストもやってるから毎年多くの人が来るの。だからうちの大学って人気なのよ!」
「あっそ。」
マンモス私立校ならまあ、規模はでかいだろうな。かといって比べたってどうしようもないし、うちはうちで成功させるだけだ。
「何が言いたいんだ、お前は?」
「正直勝負はもうついたも同然だけど、このランキングでうちの大学があんたの大学に勝つわ。これでようやくあたしはあんたを抜けることになるわ!」
「勝手にやってろ。そもそも何でそんな情報知ってるんだよ。」
俺はそこが気になっていた。どこで仕入れたんだし。
「私が読モしている雑誌の出版社の社長、パパの知り合いなの。だからこの間実家に行ったときその人がいてそんな話していたわ。」
さすがセレブ。俺たち庶民が理解できないような世界にすんでるんだな。
「正直田舎嫌いのお前がこんなところにいると思わなかったぜ。」
「今月号の特集が『旅先でもオシャレしたい』だから観光地でも人気のこの川越にたまたまあたしが仕事しに来ただけよ。じゃ、あたしはもう行くから覚悟していなさい!」
休憩は終わったらしく、滝澤はそのままスタッフの所に戻って行った。
「はぁ、絡まれたら疲れた。」
「何か…いろいろ事情があるみたいでござるな。」
幹夫が心配そうに俺に声をかけた。
「うん、まぁ俺は別にランク付けだが何だか知らないけど、勝とうが負けようが自分が納得いくような学園祭にしたい!あと、来てくれた人みんなが喜んでくれるようにするぜ!」
「流石はモリタク殿!某も頑張るでござるよ!」
二人で固い握手をして、学園祭への決意を固めた俺達。とにかく勝つことより、みんなが楽しく、そしてやりきれるような学園祭になることを願おう。頑張るぞ!
こんにちわ!
明日からもう10月ですね!
時がたつのは早いです!
そして、ユリナが久々に登場しました。
この作品唯一の嫌われキャラなので結構目立ちますよね。
果たして、学園祭は上手くいくのか?
次回もまたよろしくお願い致します!




