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まさかまさかのなんとやら

一週間ぶりの更新となりますね。

「ふん!そんな事は決まっている!」


エーリカんがハルバートの石突きをドンと地面に叩き付けた。


「貴様を倒して、親父の名誉を回復する!あとは知らん!」


ズコッとズッ転けそうになった。


…ある意味、なんで私をしつこく追い回すのか、理由が良く分かった様な気がするぉ。

しかも、『あとは知らん!』って何ぞやw


「あ、あとは知らんとは?」

「…親父は一足先に軍を引き揚げた。私も貴様を倒したら、祖国に帰る」

「なるほどね…」


どうやらちゃんと、私の言うことを聞いて、帰ったみたいだね。

雄輔えらい!

……ヒゲモジャになっちゃったけどね…


「ガキンチョは?」

「ガキンチョじゃない!!」

「じゃあ歳は?」

「10日後に13歳になる!」


肩幅の狭く、ちっちゃい胸板を張る。

本人は精一杯胸を張っているのだろうけど、反り返り過ぎてて見てる方が不安になってくる。


「「ガキンチョでしょ」だろ」

「エーリカ様まで!?」


しっかし、これで結局二人共私と戦うしかなくなった訳だ。

可哀想に、【大魔王】の称号が伊達では無い事を教えなければいけないなんて。

そろそろ私もリミッターを解除して、決戦に挑まないと。

さすがに極端に特化している二人を、同時に相手せにゃならん訳なので、それくらいはしないと結構不味いんですよ。


まぁ、確かにリミッター解除はデメリットもあるんだよね。

この間、小鹿亭でイモってたらステータス画面で見付けたんだけど、最初は数字が1になっていたんだけれども、取り敢えずタップして2にした途端、魔力と各種ステータスが1.2倍位にブーストして、一瞬制御から漏れた魔力が、私のベットに腰掛けて酒を呑んでた青騎士に直撃して、青騎士が撃沈してしまうと言う事件が起きてしまったのです。

危うく、青騎士を純粋な魔力濃度だけで昇天させてしまうところだった。

ちなみに、ビックリして青騎士を介抱していたせいで、リミッター解除を元に戻すのを忘れて次の日を迎えてしまったら、全身の関節が軋んで動く度に激痛が走るようになってしまっていた。

長時間の使用は、どうやら身体にかなりのダメージを与えるみたいなので、気を付ける必要がある。


「さて、二人共私と戦う事を選んだ訳だけれども、後悔はしないね?多分私を倒す事は叶わないだろうけど、もし仮に私を倒したとしても、五体満足だとは思わないでね」

「ふん!端から私は五体満足で帰れるなんて思ってはいない!!だが貴様は倒す!!」

「じ、自分もエーリカ様と同じです!!」


なんとも酔狂な事で…


「はぁ、仕方無いか。もう後戻りは出来ないよ、人間」


素早くステータス画面の端っこに有った、リミッター解除の数字を5にする。

瞬間に激しく私の体内を荒れ狂った膨大な魔力は、制御から外れて放射状に撒き散らされて、失った魔力は直ぐ様補充された。


撒き散らされた方の魔力は、例に漏れず二人を直撃した。

車にはねられたように衝撃を受けて吹っ飛んだエーリカんは、ガキンチョを担いだまま空中で一回転して着地し、片膝を着いた。


中々にダメージを与えたようだ。


「ぐぬっ…なんだあの魔力は……身体の中を跳ね回っている」

「エーリカ様!いま魔力を誘導させます!」


ガキンチョがエーリカんに両手を着けて、私の魔力を外に誘導して体内から放出させた。

でも、確実にダメージは入った筈だ。


「なんて奴だ。魔力を放出するなんて…」

「危ないところでした」

「どうした?かかって来ないの?あれだけ威勢が良かったクセに」


ギリッという音が姪っこから聞こえてきた。

悔しくて悔しくて違いない。

他人だったら、ザマーッワロスワロスーwとか言えるけど、さすがに親族には言えないよねぇ。

まぁ、かと言って手を抜く程私も優しく無いけど…


「来ないなら、こっちから行くぉ!」


威圧感を出す為に、アイテムボックスから適当に肉厚のある大剣を召喚し、上半身の捻りだけで振り下ろし、剣先が地面にめり込んだ。

ちなみに、その大剣の名前は【ミートチョッパー】だったりする。


やはり、青騎士並みの危険度察知能力で、私が不自然な動きをしただけで後ろに飛んでいた。

つまり、剣を振り上げた時点で最初から射程圏内にはいなかった訳だ。

けれども、私の細腕と比例しない腕力と【ミートチョッパー】の自重により、めり込んだ地面が爆発したように土が捲り上がり、石やら何やらが姪っこ達を襲う。


土が捲り上がったのとほぼ同時に、ボッキリとなんて素晴らしい効果音が響き、【ミートチョッパー】が妙に軽くなった。


「おやおや?なんか軽く…アイヤーーッ!?」


小さく立った土煙が風で流されて、【ミートチョッパー】が良く見える様になると…なんと言う事でしょう!厚みが10cmもあるかもしれない極太の大剣が、なんと匠の手によって手前から真っ二つになってしまいました!


え、ちょっ、おまっ○○…ちゃうわい!

しっかし、なんであんなに分厚い大剣が真っ二つに…トホホ…とんだ名前負けな大剣ですたね。プギャー!


見てない間に、なんとか石礫攻撃を避けたエーリカんは、ガキンチョ魔法使いを肩から降ろして、ハルバート片手に突っ込んで来た。


そろそろ調きょ…教育を開始しないとね?


彼女の操る変幻自在に軌道が変わるハルバートにさえ注意して、肉弾戦にさえ持ち込めば勝機はある!

あのガキンチョも同じかな。


使い物にならなくなった【ミートチョッパー】を脇に捨てて、握り締めた拳を構える。


拳闘士の私に、拳で勝てるヤツなぞいないのだ!!

今ならケンシ○ウとかラ○ウだって蹴散らしてみせよぅ。


かつて、ゲーム内で名を馳せた拳王がこう言った。


『拳闘士は飛び道具を持っている』


と…

それが示す通り、使い方さえきちんと守れば中々に高性能な飛び道具であった。

その飛び道具のお陰で、拳闘士は白兵戦最強、撹乱無敵、敵味方入り交じる乱戦のボッチ具合超人とまで言われた。

それまでの飛び道具とはなんぞや…

それは、おかしい当たり判定にあった。

なんと、拳や脚による攻撃のリーチが、拳の先から一メートルもあるのだ!

故に、眼に見えないのにダメージを食らうので、【なんちゃってゴ○ショ○ハ】と呼ばれていた。

正に初見殺しの拳法である。


乱戦時の強さと言ったら、それはもう凄まじいもので、腕を横に振ると圏内に居る敵は味方を含め全て薙ぎ倒され、拳を打ち出せば敵の身体を突き抜け味方を撃ち抜き、竜巻旋風脚なんかを繰り出した時は周囲から人気が無くなると言う、強くもはた迷惑な職業なのであった。


ふふふ、見せてくれる!

国際間戦争の最中に、独りで第三勢力として参戦して両勢力を壊滅させた私の拳を!!


ハルバートが振り上げられ、ブレードが迫ってくる。

ここが好機である。


「食らえ!ネオアームストロングジェットサイクロンアームストロン…グベッ!?」


気が付いたら胸甲にハルバートが打ち据えられていた。

またもや例に漏れず、お約束通りに両足が地面からサラダバーする。


ドチャッと頭から耕された地面に軟着陸した。

死ぬほど痛かった。


「い、痛い!!ちょっ!?技名を最後まで聞くのがお約束でしょ!!」

「そんなものわざわざ最後まで聞いてやるヤツが何処にいる!!」

「いてて…まったく、ロマンと言うものを理解してないんだからさぁ……隙有り!」


不用心にも近付いて来たエーリカんの足を払う。

もちろん、エーリカんは一歩下がって届かない距離に移動したが、それは生身の足の範囲。

だが、リーチが長い拳闘士では十分圏内である。


「うわっ!?」


勢い良くやったので、体勢を立て直す暇なんてない。


背中から綺麗にスッ転んで、ハルバートを落としてしまった。

素早く起き上がろうとした所で、軽くジャブを放って再び転倒させる。

その隙に襲い掛かり、掴み合いの寝技になった。


「クッ…なんて力だ!?」

「まだまだぁ!…おっとガキンチョは大人しくしてなよ」


人間を殺し兼ねない体重でエーリカんの上に乗っかりつつ、両手でお互いを牽制し合う。

ちょうどそのバトル時に、私の死角から魔法を放とうとしていたガキンチョ魔法使いに対して、理不尽エルボーをかまして昏倒させてから再び掴み合いに戻る。


「貴様何をした!!」

「なぁに、ちょっと眠ってて貰っただけだよ………そんな事より、自分の心配をしたらどうだい?」

「ぐぬっ…!」


爆発的に増加している私のステータスでは、上手く手加減しないと簡単にエーリカんを壊してしまう。

そのくらいブーストしているので、幾らエーリカんが足掻こうと私の間合いに入った時点で負けなのです。

おまけに、ガキンチョは純粋な魔法使いで接近戦などもっての他らしいので、エーリカんをどうにかしたらあとは楽勝だ。


「よいしょっと」

「ぐぅ……ぅ………がぁっ!?」


少しだけ手加減を止めて拮抗を破り、片手でヘルムを被った頭を掴み、持ち上げる。

なんとかして、エーリカんは私の手を振りほどこうと私を蹴ったり手を殴ったりするも、こちらとしては痛くも痒くもない。

さすがアダマン、何とも無いぜ!


「さぁて、どうする?エーリカんの命は風前の灯火ってヤツになったけど」

「ぅぐぐ……それは、どう………だろうな?」

「なにぃ?」


後ろに気配を感じて振り返ると、昏倒させたはずのガキンチョが立っていて、片手にハルバートを引き摺っていた。

トンと片手を私の胸甲に手を当てて、何か呪文を唱えた。

微かな魔力が送られて来たが、対したものじゃないので無視して後ろ手に叩く。

今度こそぶっ飛んで気絶したみたいだ。

だが、ガキンチョが手にしていたハルバートの姿が見えない。


「なぁ………これでどうする?」

「えっ………?」


頭を掴んでいるエーリカんの手には、しっかりとハルバートが握られていて、先端の槍の部分が胸甲に添えられていた。


「まさか………!!」

「さらばだ!」


ドスッと鈍い衝撃が走り、次に熱した火箸を押し付けられたような痛みが胸を襲う。


首を動かして見ると、傷さえ付かないはずの【アダマン・フルメイル】の胸甲に、ハルバートが垂直に突き刺さっていた。

思わず仰け反って、エーリカんを落としてしまった。

「うそ………そんなまさか……」


強烈な痛みがあとから襲って来て、思うように言葉が紡げない。

胸のど真ん中に突き刺さっているハルバートは、かなり深く食い込んでいるようで、ひょっとしたら背中を貫通しているかもしれない。


だんだん足から力が抜けて来て、ヨロヨロと後ずさってしまう。


「なん………で?」

「ハインツが貴様の甲冑に軟化の魔法をかけたんだ」

「なる、ほど……ね。ゴホッゴホッ」

「マスター!?どうしてこんな!!」


急に異物が入って来たからビックリした様子で、鎧の隙間から顔を出したミルクたんが、胸に生えてるハルバートを見て絶句していた。


「うそ、うそうそ…マスター!」


ミルクたんが、何やら喚きながら私の頭を揺さぶっている。


一体何を言っているんだろ……聞こえない…ぉ…

しっかし……まさか刺されるなんて…なぁ……

刺さったままは…痛いから……抜くか…


なんとなしに、ハルバートを引き抜こうとして、ハルバートに手を掛けて引き抜いた。

結果としては、後悔した。

勢い良く噴出した自分の血液を浴びながら、地面に倒れることになってしまった。


「雄輔……約束、守れないじゃん…」


次第に視界が暗くなっていく。

その視界に最後まで映っていたのは、ミルクたんの泣き顔だった。


『何それ漢字豆知識クイズー!パチパチパチ

このコーナーでは、普通使わない単語やトリビアな漢字の読み方とかを出題します!

正解しても何も無いけどね。

それでは行きます!


『自然薯』


これはなんと読むのでしょうか!

出来ればパソコンで調べるのはやめましょう。

そして、前回の答えの発表です!


『瑞雲』と書きまして、『ずいうん』と読みます。

ずいうんとは、愛知航空機が生産した日本海軍の水上偵察機の機体略番はE16A、連合国コードネームは“Paul”のことではありませんよ。…ありませんよ?

ずいうんとは、つまり目出度いことの前兆として現れる雲のことです。』

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