表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/113

タイマン(1)

ぐんぐんと距離が詰まって行き、先頭部隊に直撃すると思うや否や、突如見えない壁にぶつかった様に拡散して消滅した。


「……有効射程ギリギリで大丈夫なはずなのに…」

「瞳子の魔法が……消えた?」

「ふぇぇぇ…あれが奥の手ですかぁぁ?」

「………奥の手」


私と同じくらいの魔法使いか?

雄輔のはずは無い。

あの子は魔法使えるみたいだけど、そこまで高いレベルの魔法は使えない様だから…


もし考えられるとしたら、私と同じで、異世界からの来訪者か…

どちらにせよ、叩き潰すには代わり無いけど、接戦になったら貴重なアイテムを放出しなくてはならなくなってしまうかも…

こっちではもう手に入らないから、頭の片隅に追いやって、アイテムボックスの端に隠匿してあるのにさ。


…さて、向こうはとっくに私の存在に気付いているはず。

そろそろ報復がくるかな?



ズズズズズ…

カタカタカタカタ…



久しぶりの感覚が襲って来た。

日本人として産まれてきた人なら、強制的に長い付き合いになる、あの揺れが。


そう、地震である。



地鳴りが向こうから、かなりのスピードで近付いてくる。

徐々に地面の揺れが大きくなって来た。

ちらほらと悲鳴が上がり、取り乱す兵士が多くなってきた。

もしかしたら、この地域は地震が少ないのかもしれない。

アメリカなんて、震度3で大パニックになるらしいし。

地震を体験した事の無い人間からしてみれば、かなりの恐怖なのかも知れない。


青騎士なんて、着てる鎧並みに真っ青な顔して、ガクブルしてやんの。

ざまぁみろ。


鬼神(きじん)変神(へんじん)祟り神(たたりがみ)の鬼は、やっぱり同じ日本神だから、平然としてる。

ちなみに今は、人の眼があるから宙に浮いていませぬ。


「か、閣下っ!」

「落ち着けって、ただの超下級土属性魔法【アース・クエイク】だよ」

「ふぇぇぇん「「ちょ、超下級!?」」」

「そ、超下級。発動までには少し時間が掛かるから、こちらから干渉波を出してやれば…」



コン…



と、足を踏み鳴らして、上級土属性魔法強化版を地面に放つ。

一瞬で揺れが収まった。

設定通りに、ちゃんと上級魔法しか使ってませんけど何か?

まぁ、魔力でブーストしてはいるんだけどね。


結局のところ、魔法の力で自然か何かに働き掛けて、事象を引き起こしてるわけだから、起きてしまえばただの地震に違いない。

波には波をぶつけてやるだけで良い……てな原理で、ゲームでは地震には地震で返してやれば、無力化出来たんだよねぇ。

本当は、プレートがずれて起きているわけだから、そんな簡単にはいかないはずだけどね?

そこは、大人の事情ですよ。

ツッコンだら負け。


「ほぅ、主様も妖術を使えるのかのぅ。どおりで、血が妙な味がするわけじゃ」


はいはい、どうせ私の血は緑色ですよ。

緑色緑色。エクソシストかよ。


…おっと、相手もヤル気を出したみたい。

この大魔王様に勝負を挑むとは、良い度胸してんじゃん?

歩く補給線と言われた、私のMPの前に屈するといいさ。


敵の方から巨大な竜巻が発生し、地面を掘り返しながらこっちに向かってきた。

念のために結界を展開しておいて、こっちは小さな反時計回りのつむじ風を出す。

私の出したつむじ風は、意思を持っているかの様に真っ直ぐ竜巻に向かって行く。

つむじ風は、竜巻と同じ向きに回っているので、激突しないで吸収された。

だが、まだ私のつむじ風は生きている。


融合して一つになった竜巻には、いま二種類の魔力が漂っているはず。

混じり合っているが、魔力量の多い相手側に優先権が有るので、こちらは操れない。

だけども、私の元つむじ風に多量の魔力をぶち込んだらどうだろうか。


答えは簡単。

操作系をジャック出来る。


一気につむじ風に魔力を供給し、竜巻諸ともジャックする。

操作系が切り替わったら、直ぐに相手にけし掛ける。


相手は、乗っ取られた瞬間に魔力供給を断ち、超下級炎属性魔法で炎柱を作って竜巻と衝突させた。


膨大な熱量と、吹き上がる上昇気流によって、風圧を乱された竜巻は勢いを失ってしまった。

こちらとしてみれば、竜巻に未練も引ったくれも無いので、直ぐに消滅させる。


炎柱も竜巻が消えたので、相手も消すかと思ったのだが、そのままこちらに突っ込んできた。

相手はトコトンヤル気な様だ。


ならば。

火は、火を持って制しましょう。


もう一度【バーニング・ボール】を構築する。

だが、今回は本気でブーストを掛ける。

熱量はさっきと同じくらいにしておくが、高さをテニスコート一枚分程にして、炎柱に射出させる。


炎柱に直撃させ、衝突の瞬間に自爆させる。

熱量をそのまま爆発に変換させたので、強烈な爆風と輻射熱、閃光と爆音、そして衝撃波が撒き散らされ、一瞬で炎柱が掻き消えた。


輻射熱以外の四つは、こちらにまで到達した。

まるで核爆弾でも炸裂したかのように、放射状に撒き散らされた四つは、地面を耕しながら、六芒郭に展開した結界に直撃した。

結界がビリビリと震えながら、凶悪なエネルギーを吸収していく。


土煙が立ち昇り、辺り一面がまっ茶色になる。

相手が魔法で天候を操作したのか、バケツをひっくり返したようなゲリラ豪雨が降り出し始め、舞い上がった土砂と土煙を地面に落とし始めた。


あっという間に視界がクリアになり、直ぐに晴れた。

既に相手側は攻撃の準備に入っており、敵本隊頭上に無駄にデカイ氷塊が出来ていた。

直ぐ様稲妻を氷塊に落とし、氷塊に超高電圧を掛けて結合崩壊を誘発させて自壊させる。


器用にも、頭上に【シャドー・カーテン】を展開させて、団塊を吸収させやがった。


相手もなかなかのMP保有量をしている。


次はこっちのターンだ。

さすがに兵士達には見ただけでは分からないはずと踏んで、超上級光属性魔法【浄化の炎】を発動させる。


ガッポリとMPが持って行かれる感覚があり、直後に敵全体上空を覆う程の、発光する魔方陣が展開した。


魔方陣は六芒星や四角、円や理解不能な文字、それらが複雑に折り重なって幾何学模様を作り出す。


【浄化の炎】が発動するのに応答するように、六芒郭が震え、掘りと外壁が輝き出した。

その輝きは次第に強くなっていき、その形が上空に映し出された。


こちらも、巨大な円に囲まれた六芒星。

複雑な模様などは無いが、周囲から魔力を吸収し始めた。

その魔力はどうやら【浄化の炎】に供給されているようで、幾何学模様の光量が増した。

どんどん光量が増していき、まぶしい程の光になった時、光が円の中心に集束した。

小さい太陽のような光球は、どんどん収縮して小さくなっていく。

たぶん、光球内部の魔力密度はえらい事になっているはずだ。


相手もさすがに普通じゃない事に気が付いたのか、漆黒のドームが現れ、全体を覆った。

そこだけが、空間から切り離されたように闇を浮かべている。

まるでブラックホールが地上に出現したかのようだ。


限界まで集束した光球は、遂に密度に耐えれなくなり、極太の光柱となって地面に降り注いだ。


『何それ漢字豆知識クイズー!パチパチパチ

このコーナーでは、普通使わない単語やトリビアな漢字の読み方とかを出題します!

正解しても何も無いけどね。

それでは行きます!


『鼬』


これはなんと読むのでしょうか!

出来ればパソコンで調べるのはやめましょう。

そして、前回の答えの発表です!


『呉茱萸』と書きまして、『ごしゅゆ』と読みます。

ごしゅゆとは、ミカン科の落葉高木で、その果実は漢方薬になるそうです。

香りと味も独特なようで、苦みが強いそうです。』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ