皇子登場
ナッツピー外務大臣のボブは、他国に詳しい。ところはヤンギュー国という国名は初めて聞く名前で、海の向こうの東国というのが胡散臭いと思っている。
「リコ姫様。実はヤンギュー国というのを存じておりません。この国を訪問された目的を教えてくださいませんか?」
外務大臣だけあって一応礼を尽くそうとしている。こいつらがボロを出してくれれば簡単なのだが。
「私はヤンギュー国の第2王女です。ヤンギュー国は島国で長年他国との交流を行なっていませんでした。今回の旅は交易を結ぶ国を見て回る事です」
「それはようこそいらっしゃいました。このナッツピー合衆国は、この大陸の中心にあって恵みの木を持つ資源豊かな国でございます。それで、我が国に来る前はどの国を訪問されたのですか?」
「サンドラというドワーフの国を見てきました。鍛治が盛んな国でしたね。ヤンギュー国では剣ではなく刀という武器を使いますが、あの国であれば技術交流が可能だと思っています」
ほう、刀というのがあるのか。なんとなく姫のように思えるが………。
「大臣。先程恵の木とおっしゃっていましたがそれはどういう木なのですか?」
「それは国秘でございますゆえ」
「そうですか。サンドラで、この国に元魔王城があると聞いてきたのですが。ここの2人は我が国でも優秀な剣士です。可能であれば見学させていただきたいのですが」
「あそこは今は立ち入り禁止となっております」
「そうなのですか?なぜでしょう?」
「それも国秘でして」
「わかりました。大臣、よろしければこの国の王にお会いしたいのですが」
「王はお忙しく……」
「ええい先程から聞いていれば姫が頼む事を全て断っているではないか。失礼であろう」
ムサシが怒りだすのをカツヨリことコジローが止める。
「ムサシ殿落ち着いて。ここは異国ですのでご事情もあるのでしょうから」
「コジローは引っ込んでろ。我が姫に対する態度、万死に値する」
大声を上げていると20歳位の美男子が部屋に入ってきた。
「騒がしいね。こちらが異国の姫さまかい?」
「アンソニー皇子、どうしてここへ」
ボブはこの姫様を見た時、皇子の好みだと思いなんとか遠ざけようとしていたのだが見つかってしまった。皇子はいい女には敏感でこういう局面だとだいたい現れるのだ。そして手も足も早く問題を起こすので城の皆は超警戒している。そんな事は一切気にせず皇子は今日も女を口説く。
「これはようこそいらっしゃいました。美しいお姫様。私はこの国の皇子でアンソニーと申します」
「ヤンギュー国第2王女のリコです。リコとお呼びください」
コジローは面白くない。皇子がナンパしにきやがった。しかもリコが満更でもなさそうなのがさらにムカつく。
「ヤンギュー国というにはどこにあるのです?」
「海の向こうです。皇子にお願いがあるのですが」
「何なりとお申し付けください」
「元魔王城を見学させていただきたいのですが」
「あそこは、うーん、困りました」
「サンドラという国で聞きましたが勇者が魔王を倒した場所だとか。ヤンギュー国には伝わっていない話なのでどんな事か見てみたいのです」
「勇者はおりません。申し訳ありませんがそれ以外の事で」
「皇子。私はまだこの方達の素性を信じてはおりませぬ。聞いた事のない国ではありますが一応に礼は尽くしてはいるもののどこまで信じたら良いのか」
「大臣、失礼であろう。リコ姫、失礼をお許しください。このボブは悪気があるわけではないのです。国の大臣の務めとしては正しいのですがもう少し言い方がありそうなものですが」
「アンソニー皇子。突然訪れた私達が悪いのです。さて、どうしたら信じていただけます?」
コジローが助けを出した。
「姫。ヤンギュー国に伝わる魔法をお見せしたらいかがでしょうか?この国にはない物ですので信じていただけるかと」
「おう、それはいい。さすがコジローだ。ヤンギュー国王家にしかできない聖魔法というものがあります。これこそが王家の証となるものです」
聖魔法?聞いた事がない。ボブは困った。王家の証だというがそれほどのものなのだろうか?
「ボブ、パージを呼んだらどうだ?」
「皇子、ありがとうございます。直ぐに呼んで参ります」
「アンソニー皇子。パージ殿というお方は?」
「姫。この国の筆頭魔法士です。3属性を使いこなす元Sランク冒険者で今は魔法学校の校長も兼ねています。さあさあ姫。こちらへどうぞ。今晩、私が食事会をご用意いたします。国を挙げて歓迎したいところですが大臣がアレですので、私がおもてなしをさせていただきます」
なんか、エロいの期待してんじゃねえのこのエロ皇子。魔王城へ行きたいだけなんだけどなんか変な方向へ行ってないかい?




