元勇者の実力
「レインボースクリュークラッシャーキーッッッッッッッッッッック!」
ローラの全MPを使ったウサギ獣人の最大究極奥義がゲーリーことカツヨリを襲った。衝撃による爆風に似た風が吹き荒れ、リリィは踏ん張ったが2m程後ろに飛ばされてしまう。風が消えた後、倒れていたのはローラだった。カツヨリは平然と立っているように見えるがさっきと立ち位置が違っている。
「すげえな、確かこの技は究極奥義だったはず。よく使えるまで精進したものだ。素晴らしいよ。けど、俺はこの技を一度見てたからね、残念。一度見た技は俺には通用しないんだ。他の四天王なら倒せたかも。そういえば前の四天王が一人この技で倒れたんだっけ。知ってる?昔の四天王と今の四天王って2人は別人じゃあないや、別魔族なんだよ」
「どうやって防いだ?俺でも無傷では防げないというのに」
ゼックスが驚いてつい聞いてしまう。カツヨリは素直に答えた。
「この技は魔力を七色に分けて合体させる技だ。この七色の魔力には同じ魔力で相殺すればいいのだが普通の奴には七色の魔力はコントロールできない。俺はできるけど。だけどそれだけではこの技は防げないんだ。なんせあの蹴りだぜ!あの蹴りだけでも結構な威力なんだから。で、魔力を相殺する為に7つのピンポイントバリアーを作ろうとしたんだけど、速すぎて間に合わなかった。三色までは相殺したんだけどな。で、身体能力強化とそのウサギ獣人の回転方向と逆方向の竜巻を風魔法でぶつけて威力を殺してただの蹴りにしたんだ。そこまでくるともう俺には脅威でもなんでもなくなるから………」
「わかったわかった。どうやら本物のカツヨリみたいだ。親父が勝てないわけだ、桁が違う」
「だから元カツヨリだって言ってるじゃん。元だけどな。で、仲間になる気は………、なさそうだな。じゃあ、俺は行くぞ。もうここには用はないんだ」
「待て!そのまま行かすわけにはいかない」
「そうは言ってもなあ。死にたいのか?それにそこの巨乳の姉ちゃんは特に殺したくない。殺すならベッドの上でヒイヒイ言わせてからじゃないと勿体ない」
リリィは唖然としていたが我に返った。この男は本当に元勇者カツヨリだ。ならば私に出来る事は何だろう。
「あんたみたいなおっさんとベッドになんかいかないわ。私はカツヨリの女になるのよ」
「だから、俺もカツヨリなの。まあいいか、どうせそのうちまた会うだろうし。そうだ、これを持っていてくれ」
ゲーリーはリリィに何かを放り投げた。慌てて受け止めるとそれは、
「龍神のペンダントだよ。お前達は龍神には会えないだろうから渡しておく。じゃあな」
そう言ってゲーリーは風のようにダンジョンを駆け抜けていった。慌てて追いかけたが出口を出るとゲーリーの姿はない。
「あそこだ」
ゼックスの声で空を見ると、龍に乗ったゲーリーがナッツピーの方向へ飛んでいくのが見えた。諦めてローラの元へ行き回復させると、首を横に振りながら
「ふう、MPを使いきって放った究極奥義をあんな風に無力化できるなんて。前のカツヨリと似たような防ぎ方だった」
「ローラさん、カツヨリはどうやってあの技を防いだのですか?」
「あいつは何重かの小さなバリアを蹴りと直線上に配置して威力を殺していた。だが、カツヨリはそれでも防ぎきれずに吹っ飛んだよ。さっきのカツヨリ、ゲーリーは技そのものを無力化してきた」
「あいつは一度見た技は解析できるようだ。俺の死霊術もお前のキックも前の戦いで見ていたらしいからあいつには効かなかったということのようだ」
落ち着いた後、これからどうするかという話になり、まずは獣人の王、ナプールに話を聞く事にし王城へ向かう事になった。リリィはナッツピーにカツヨリじゃない、ゲーリーを追いかけた方がいいと思ったが空を飛ぶ龍に追いつくわけがない。それに今、今のカツヨリと合流しても足手まといだし、何よりゲーリーがくれた龍神のペンダントの意味が気になる。
一行は町に戻った。クロックは王城の入り口まできて、
「俺はここまでだ。宰相のモップルというものに話を通してある。ナプールにつないでくれるだろう」
「爺さん、この国は、いやあんたの息子は魔族に味方をした。その理由を知りたくないのか?」
「なんとなくだがわかったような気がする。その答えは聞かない方が良さそうだ。あの元勇者カツヨリは不思議で面白いやつだった。まあ乗せられたんだろう。リリィ、この先何があるかわからんがしっかりな。おっ、そうだそうだ」
クロックは鍵をくれた。
「この鍵は城の宝物庫の鍵だ。そこに勇者の脛当てがある、持っていくがいい。役に立つ時が来るだろう」
リリィ達が王城で元勇者カツヨリの秘密を聞いている頃、この物語のたぶん主人公のカツヨリとリコ、ムサシの3人はナッツピーに入っていた。元エルフの国で今は人間が治めている。
「やっと着いた。さて、元魔王城があったところへ行きますか」




