四天王ゲーリー
ナプールは、悩んだ末に護衛を下がらせた。こいつが龍神を使っているなら下手をすれば国が滅ぶ。
「懸命だな。無駄な殺生は嫌いだ。助かったよ、礼を言う」
ここには2人しかいない。謎の男とナプールの2人だけだ。ナプールは疑問を問いかける。
「なぜ俺を呼び出した。そして、お前は何者なんだ?」
「まずは自己紹介をしよう。俺の名はゲーリー。魔族四天王の1人だ。そして俺は嘗て勇者カツヨリと呼ばれていた男だ」
「なんだって!!!!!」
勇者カツヨリが生きていた。それがなんで魔族にいるんだ?勇者カツヨリは魔王を滅ぼした魔族の敵なのではないのか?
「まあ、驚くだろうな。お前が部下を下がらせたのは正解だった。俺はあいつらを一瞬でこの世から消し去る事ができる。俺は全てを無くし、いや、それはよかろう。本題に入る。俺は魔王を復活させようとしている。お前には、この国には魔王復活を支援してもらいたい」
「断る。何をバカな事を。まず、お前が勇者カツヨリという証拠があるのか?それに魔王復活を支援などありえん」
「お前と2人で話している理由がそこにある。全てを話そう。その上で決めてくれ。龍神が蘇ったという事はカツヨリがこの世界に来たという事だ。やっと始まったのさ、真の戦いが」
クロックは話を続ける。
「俺が知っているのはここまでだ。ナプールはこれ以上の事を教えてくれなかった。だが、その後反対する俺を追い出し、ナプールは勇者カツヨリこと魔族四天王ゲーリーについた。どうやら新しくできたダンジョンに冒険者を順に送り込んでいるようだ。一度、軍兵を送り込んだが誰も帰ってこなかったので国の戦力が減るのは不味いと冒険者へ切り替えたのだ」
クロックはここまで一気に話して3人の顔を見た。結構とんでもない話をしているつもりで、困惑していると思ったのだ。ところが3人はふーん、なるほどね、みたいな顔をして聞いている。ホントこいつら何者なんだ一体!?
「話を続けよう。俺は確かに卑怯な事をして王位についた。だが、それは国の未来を考えての事だ。そこの女性には何を言っても言い訳にしか聞こえないだろうが、あの時のこの国は獅子獣人が治めないと崩壊した。それはさておき、俺はこの国を守ってきた。この国は魔王を倒した実績から先祖が手に入れた尊き物だ。それを魔王復活になど国が、国王が加担するなどあってはならない。俺は強い仲間を求めている。ダンジョンを攻略し、魔王復活を防ぐのだ」
ゼックスはダンジョンと魔族の関係について以前リリィから聞いていたので、話が比較的簡単に飲み込めた。ローラも同じだった。その上でゼックスが聞いた。
「クロック王、いやただのクロックさんよ。あんた、戦えるのか?だいぶ衰えているようだが」
「舐めるではないぞ、これでも元獣人の王。年老いたとはいえそこらの冒険者には負けん」
「試してみたいところだがこの3人は回復ができなくてな。強くて回復ができる奴を連れてきてくれたら考えてもいい」
「ほう。この話を聞いて疑問に思わないのか?突拍子もない話のはずだが」
「まあ、こっちも似たような事情があるからな。俺たちは龍族に会いに行くんだ。龍神というのがもしあれならそれも目的になる」
「そっちも訳ありなんだろうな。それに変化の術を使っているのであろう。話には聞いた事があるが実在するとは思ってはいなかった。お前の女房はウサギ獣人のはずだしな。まあいい、回復のできる強い奴だな。心当たりがある。1日待ってくれ、連れてくる。それと龍の門を越えるにはこのドラゴンカードがいる。これがないと死ぬからな。お前達がどの位の強さかは知らないが回復なしで龍100匹は相手できまい」
龍100匹だと!龍は最低でもBランクはある。大物がどの位いるかはわからないが回復なしでは勝ち目はない。
「1日待とう。それで勇者カツヨリはどこにいる?」
「ダンジョンさ」
クロックは去っていった。リリィは勇者カツヨリが魔族四天王ならダンジョンコアを成長させていると2人に説明した。魔王復活には成長したダンジョンコアが2ついるのだ。そのうち1つはカツヨリ、こっちのカツヨリが持っている、と。実はカツヨリは2つ手にしているのだがリリィはそれを知らない。
「てことは軍兵や冒険者の生命力をダンジョンコアが吸い取っているのか。魔王復活に大量のエネルギーが必要って事だな」
ゼックスのつぶやきにリリィが質問で返す。
「昨日の飲み屋さんでその話題が出なかったのはなんでですかね?あんだけみんな酔っ払えば噂くらい聞けそうなものですけど」
「国絡みって事だな。隠してるのさ、それ以外考えられない。で、ローラよ、回復する奴が来たらどうする?」
「一緒に行動するなら、その前に気持ちに決着をつけたい。今のクロックの実力も知っておかないと今後の行動に影響がでる」
「ローラさん。私が戦いましょうか」
「いや、リリィ。私がやる。殺すつもりでな」




