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『ドジっ娘女神を救え!固有スキル 勇者の影??』 天下を取った転生勝頼が今度は異世界へ  作者: Kくぼ


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老人の正体

 ローラは下を向いている。やっぱりこの年寄りを知っているようだ。年寄りは獅子獣人で汚い格好をしているがよく見ると威厳がある。元貴族とかだろうか?とリリィが考えていると、


「突然すまんが、どうもその女性が俺を知っているみたいなのでな。俺の顔を知っているとなると只者ではあるまい。旅の商人のようだが、一体何者なんだ?」


 ゼックスは当たり前のように答える。


「おっしゃる通り旅の商人ですよ。今宵は飲みすぎました。我々は宿へ戻ります。では」


 ゼックスはローラの肩を抱き、リリィの手を引っ張って飲み屋を出て、一度も振り返らずに宿へ戻った。


「さて、ローラ。あの爺いは誰だ?お前らしくないぞ、動揺しすぎだ」


 ローラは水を一杯飲んでから答えた。


「間違ってなければ、王よ。クロック王。昔、王位争奪戦でお父さんに勝った獅子獣人よ。だいぶ老けたけどあの顔は忘れない。卑怯者で私の家庭を壊した男よ」


 ローラはこの国に戻って来る気は無かった。戻りたくない理由としてクロック王を見たら殺してしまうと思ったからだ。ゼックン、ゼックスと組み、修行をし強くなり盗賊として陰からラモス国の発展を支えてきた。忙しく必死に戦ってきた。そして気がつくと時は過ぎてしまい、もうウサギ獣人の生き残りも少ない。今更クロック王を倒したところで何が変わるわけでもない。復讐の炎は完全に消えていた。だが、まさかこんなところで会うなんて。玉座に座っているわけでもなく、城にいるわけでもない。汚い格好をしたただのジジイとして。

 酒場で見た瞬間にわかった。その時自分に理解できない感情が現れた。何でこんなに見窄らしくなってるんだ、お前は王じゃなきゃダメだろ!どうしていいかわからなくなってしまった。


「そうか。あれがクロック王か。酒場の話では王位を譲った息子に追い出されたらしいな。まあよくある話だろう。権力者にありがちなやつだな」


 ゼックスが言うと、リリィが疑問に思っていた事を言う。


「ゼックスさん。確かにありそうな話ですがさっき酒場の酔っ払いが話していた裏があるというのが気になって。ゼックマン情報ではラモスとサンドラに魔族のダンジョンがあると聞いています。四天王という位だから他に2つダンジョンがあるとして、この国にもあるんじゃないかと。つまり、」


「魔族が絡んでいると言いたいのか?」


 リリィは頷いた。酔っ払いの戯言だと思っていたが確かに可能性はある。ゼックスは魔族と戦ったことはない。だが父であるゼックンとリリィからその強さは聞いている。カツヨリについた以上、魔族は敵でいつかはぶつかる相手だ。ここに魔族がいるなら丁度いい。蹴散らしてやるだけだ。


「リリィ、わかった。あの爺さんと話をしてみる価値はありそうだな。さっきはローラが心配で煙にまいたが明日はあの爺さんを探すぞ。ローラ、そういうことだがどうする?別行動もありだぞ」


 ローラは別行動したいと申し出た。父親の仇とのんびり事情聴取はできない。




 翌朝、宿を出ると例の爺さんが待っていた。どうやら昨夜後をつけたらしい。酔っ払っていたとはいえこの3人に気付かれ内容に尾行したなら大したものだ。リリィはやっぱり只者ではないと感じた。本当に王様、じゃない元王様なのかもしれない。


「そこの娘。女はどうした。俺はあの女に用がある」


「あの女性はあなたには用がないみたい。それより話がしたいのですが、私はリリィ。Aランク冒険者です。旅の2人を護衛しています。私に気付かれずに尾行するなんて、あなたは一体何者ですか?」


「何だって。姉ちゃんがAランク?ギルドも落ちぶれたもんだな。俺の尾行に気が付かないようじゃいいとこCランクだろう」


「そうですね。まだ冒険者になって半年も経ってないのにAランクなんて私もおかしいと思ってたのです」


「ちょっと待て。半年でAランクだと。ありえん」


 爺さんはしみじみとリリィを見た。この娘のどこにそんな力があるというのだ。まあいい、用があるのはこいつではない。俺の事を知っているあの女だ。そこにゼックスが割り込む。


「爺さん。俺の女房に何の用があるんだ。俺達はこの町に昨日始めて来たんだ。内容によっては爺さんとはいえ許さねえぞ!」


 芝居が上手いなあ、ゼックスは。ところが爺さんは、


「お前の方がこの姉ちゃんより強そうだな。やはり商人というのは嘘か。お前がいいな、俺と組まんか?」


「意味がわからん。俺達は龍王山に行くんだ。爺さんに構っている暇はない」


「龍王山ねえ。そういえば昨晩もそんな事を言っておったな。死ぬぞ、まあ俺が一緒に行けば平気だが」


 なんだこいつ。何が目的だ?


「龍の一族とは昔交流があってな。いきなり戦闘になる事はあるまいよ。ところで何をしに行くんだ、龍王山に?」


「あんたに話す理由はないな」


 ゼックスは強気で突っぱねる。


「そうか。あんたの女房に興味があったが、あんたの方が面白そうだ。勇者カツヨリって知ってるかい?」

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