ブラックメテオ
「ブラックメテオ」
闇の最上級魔法だ。ブラックコメットの上位魔法で巨大な隕石群がカツヨリ達を襲う。ダンジョンの中で何で隕石群が、なんて考えている暇もない。
「ホーリードーム、3連がけ」
「身体能力強化、魔力バリアー最大」
「2人ともわしの後ろに!十字ブロック魔力最大!」
3人が出来うる防御を合体で繰り出す。そこに隕石軍がぶつかっていく。
リリィはマルス国にいた。第2王女エリスタンの側近として仕えている。王女の計らいで勇者伝説に詳しい人達と話をし、残っている文献も見せてもらった。マルス国では勇者カツヨリは最初今のラモス国がある土地に現れ、マルスで鬼族、ドロスで獣人、サンドラでドワーフ、ナッツピーでエルフを仲間にしたらしい。龍族がどこで仲間になったかは伝わっていなかった。
「でも、私は龍を見た。どこかにいるのよね、そう言えば鬼族のゼックンにはこの間会ったんだ。詳しい話が聞けるといいのだけれど」
リリィはカツヨリとは別れたが今でも仲間だと思っているし、助けたいとも思っている。王女からカツヨリはリコを救出して旅に出ていると聞いている。いつか必ず会える、その時に力になれなきゃ別れた意味がない。リリィは王女に面会を申し出た。
「リリィ。どうしたの?わざわざ面会を申し出なくても」
「王女様。鬼族に伝手はありませんか?」
「この間ゼックンには一緒に会いましたよね。あの時が初めてですので残念ながら」
「王様はおありでは?ゼックンではなくゼックスと、いや盗賊ゼックマンとですか」
「父は盗賊との関係を完全に切っていて敵対しています。それは知っているでしょう」
「はい。ですので連絡を取る手段はご存知かと」
「リリィ。それはダメです。貴女は焦っています。私の勘ですがおそらく向こうから接触してくると思いますよ。貴女が勇者カツヨリのパートナーであるならば」
王女にはっきりと断られてしまった。ごもっともではある。その後は第1王女の刺客が襲ってきたり忙しい毎日で、3度目の刺客を捉え証拠を掴んだ。その功績により、第1王女は勘当され正式に第2王女が国を継ぐことが発表された。リリィも子爵の位をもらい貴族となった。田舎の村娘が隣国の貴族になるなんて前代未聞の大出世だ。だがリリィは領地を断り王女の護衛に徹した。給金はきっちり貰った。のちの軍資金と自分が将来旅に出るためと自分を鍛える授業料だ。リリィはカツヨリに言われたくノ一を目指している。次にあった時に足手まといになるようでは合流できない。マルス国の魔法使いから魔法の基礎と応用を学び、Aランク冒険者とのスパーリングも欠かさず行った。今ではマルス国最強と言われるまでになっている。魔法使い3人と剣士、弓士の5人がかりでもリリィが勝つ。その強さは国中に響き渡り町を歩けばサインを求められ、美貌と巨乳を狙って求婚も後を絶たない。
「もうこの国で得られるものはないわね。カツヨリはサンドラへ行ったっていうし、私はドロスへ行こうかしら」
カツヨリはラモスからマルス、サンドラを通ってナッツピーに向かっているのだろう。リリィは逆方向のドロスで情報を得るのがいいのではと考えていた。自宅でくつろいでいると突然客人が現れた。待ち人が来たのだ。女中のメアリーがリリィを呼びにきた。
「リリィ様、旅のお方がご面会を求められています。ゼックンと言えばわかると」
「やっときたのね。お通しして下さい」
ブラックメテオが炸裂し土煙りがボス部屋に充満する。黒魔将軍グーリーは、
「フォ、フォ、フォ。あれを食らってどこまで防げているかな。直ぐに全力防御したのは見事だったが」
「グーリーよ。なぜこのわしがこんなところにいるのだ?わしはドワーフの未来を考えてお前に味方をしたのだぞ」
マーリーの顔が話し出す。黒魔将軍グーリーには顔が3つある。そのうちの1つがマーリーだ。グーリーの顔が答える。
「ほう、まだ意識があるのか。これでも喰らうが良い。ブラックドミネーション」
黒い煙がマーリーの顔を覆っていく。この魔法は脳内にコントローラーが設置されてグーリーの思い通りになる支配魔法だ。さらにグーリーは支配から分裂に進化させ3つの顔、つまり3つの脳で並列思考を実現させた。全てはダンジョンコアの魔源エネルギーのなせる技だ。
土煙りが徐々に消えて視界が開けていく。立っているものはいない、いや1人が剣を十字に構えて立っている。ムサシだ。部屋の壁にカツヨリが埋もれていてリコはカツヨリに抱きかかえられている。意識があるのはリコだけだ。リコは、
「セイントエリアヒール」
範囲回復魔法を放つ。ムサシとカツヨリが少しだが動いた。リコは回復魔法を連発する。黒魔将軍グーリーは
「ほう、生きておる生きておる。さあてそれでは3人ともトドメを刺してやろう。ついでにアンデッドにして配下として使ってやるぞ」
6本の足を動かして少しづつ近づいていく。6本の足には目が2個づつついていて、周囲を警戒している。この3人は何をするかわからないから慎重に近づいていく。圧倒的な力がある上にこの慎重さ、手強い相手だ。
「お兄ちゃん、しっかりして。もうMPがないの。水筒を頂戴」
カツヨリの返事がない。その時、カツヨリのブレスレット、そうカイマンの腕輪が光った。




