ダークゴーレム
四方八方から黒い魔源が集まってきてグーリーの前の地面に何か形を作り始める。これはどう見てもあれだな、うん、ゴーレムだ。地面から土が盛り上がり、それを黒い霧が覆う。岩石の周りに黒いコーティングがされたような高さ3m、幅1m程の巨大なゴーレムだ。黒いボディに真っ赤な目、グーリーもだけど目はなんでできてるのだろう?なんて呑気に分析していたらリコに怒られた。
「お兄ちゃん、ちょっとどうするの?グーリーだけでも倒せないのに、攻撃までされたら」
「リコは念のため回復と補助に回ってくれる。グーリーもこっそり長々と詠唱していたようだし、こいつを何匹も作れないだろうから。このゴーレムみたいのを先に倒そう」
ところがこのゴーレム君、カツヨリ、ムサシの攻撃を受けても黒の領域のせいか、すぐに回復してしまう。攻撃自体は通るのだがやはりこの領域では無敵のようだ。しかもでかい割に素早く連続パンチに加えドロップキックまで出してくる。カツヨリは真面目に困った。やっぱりこの領域をなんとかしないとどうしようもない。こういう時は俯瞰だ、俯瞰してみれば何かが見えてくるはずだ。カツヨリは攻撃をムサシに任せて再び周囲を見渡す。博打でいう見だ。じっと見てれば何かが掴める。その間にもゴーレムの攻撃でムサシが傷つくがリコが回復する。ゴーレムが傷つくと自然に回復してしまう。リコはMP自動回復中があるのでムサシの回復には困らない。無限に続く戦いのようだがムサシは徐々に疲れていく。いつに間にかゴーレムの両手には黒い魔源で作ったのか、黒光りする剣が握られていてムサシの二刀流を渡り合っている。ムサシは力負けをしてきたようだ。やっぱり疲れてるね。黒光りの剣って強うそうに見えるけどなんでだろう。ムサシの魔力を纏った剣も普通に受け止めてるし。やっぱ男は黒光りだね。
「おい、カツヨリ。代われ。少し休ませろ!」
変な妄想をしていたら怒鳴られた。仕方ないか。もう少しで何か掴めそうなんだけど。カツヨリはムサシと代わってゴーレムと戦い始めた。
「領域、無限に続く、供給源、そうか、供給源だ」
カツヨリはゴーレムの攻撃をかわしながら叫んだ。リコ!と叫びスキル加速を使ってリコのところまで下がり作戦を説明した。ムサシは突然自分の出番がきて、おい、後で覚えてろよ!と怒りながらも対応している。
「さっすがお兄ちゃん。了解です。リコ、いっきまーーす」
リコの両手から巨大な竜巻が横向きに発生する。
「ドリルプレスストーム」
両腕から横向きに竜巻が進みゴーレムの横を擦り抜ける。グーリーは、何やってんだ、外してるしと思ったがマーリーが叫ぶ。
「しまった。そんな事が」
竜巻はダンジョンコアに直撃しボス部屋の奥まで飛ばしてしまった。そう、カツヨリは魔源エネルギー供給源を無くす作戦に出たのだ。リコのドリルプレスストームは魔力を練り上げ威力を増大したオリジナルの上級魔法だ。その強力な竜巻はボス部屋の壁に穴を開けダンジョンコアを部屋の外まで飛ばしてしまった。グーリーは慌てて魔法を展開し黒の境界を維持するが、ダンジョンコアからの供給がない為か、グーリーを中心に10m程のドーム状にまで小さくなった。だが、ダークゴーレムはその境界の中にいる為不死身状態は継続している。
再び3人で攻撃を再開するが同じように領域内では回復されてしまう。その上にグーリーからの魔法の援護射撃まで飛んできた。
「ほれ、アースバインド、ロックスプレット」
地面がムサシの足を掴もうとする。石礫がカツヨリを襲う。そんな攻撃を喰らう2人ではないが気を取られた隙にゴーレムの剣をかわせなくなり、ダメージを受けてしまう。グーリーは土魔法に加え風魔法も使ってきた。
「ウィンドカッター、そこの小娘の真似をしてみるか。こうだったかな、ウィンドプレスストーム」
それを見たリコは慌てて同じ魔法で相殺する。あれを食らったら流石に不味い。グーリーは驚く。
「なんだと。私はこの世界で最高峰の魔導士。エルダーエルフリッチだ。その私の魔法を打ち消すとは。そういえばさっきから私の知らないおかしな魔法を使っているな、小娘。何者だ」
「私はリコよ。お兄ちゃん曰く、天才魔法少女よ」
うーむ。ダンジョンコアがなくなったとはいえ魔力は十分だ。グドラの開発したこの弱点を克服する防具に魔王様の闇の杖、それに不死になる黒の領域。領域維持に魔力を使うが遊ぶ時間くらいは余裕であるだろう。グーリーはリコに興味を持った。
「面白い。ならば私と魔法対決といこうではないか」
リコはどうしようかと迷ってカツヨリを見ると、やれ!って顔をしていたので魔法勝負を受けた。お兄ちゃんには何か考えがあるようだ。リコは負けず嫌いな性格なので、やるからには勝つ!と強気だ。
「いいけど、勝負ってどういう風にやるの?」
「小娘、いやリコとやら。魔法は何が使えるのだ?」
「火、風、回復、それと変なやつ」
リコは敢えて聖魔法の事を言わなかった。グーリーが興味があるのは聖魔法だろうから。
「その変なやつというのを知りたいのだがな。私は風、土、闇、そして同じく変なやつの4属性だ。勝負だが単純に威力を競う。お互いにそこから動かずに魔法で攻撃し合うのだ。先にギブアップした方が負けでどうだ?リコは全力できていいぞ。私はリコが死なない程度にいたぶるつもりだがな」
グーリーは骸骨の歯をガタガタ鳴らせながら喋った。両耳がヒクヒクしている。ムサシ、カツヨリがゴーレムと戦う横で魔法合戦が始まった。




