表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【爆アド】生まれた直後から最強悪霊と脳内バトルしてたら魔力量が測定可能域を超えてました〜悪憑の子の謙虚な覇道〜  作者: 広路なゆる


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/58

52.結印

「じいじ、それって、つまり封魔術を解かない限りは、使える魔力量が常時、減ってしまうってこと?」


「その通りじゃ」


「……!」


(霊魔を無効化するには自分を弱体化させなくてはならないなんて、まさに呪いだな……)


「ここまでは前提知識じゃ。まぁ、百聞は一見に如かずというし、まずは実演を見てみるかな?」


「うん……!」


「よし」


 じいじはそう言うと、ポケットから札を取り出す。


「その札に霊魔が封印されているの?」


「そうじゃ。それじゃあ、今からこいつの封印を解くぞ」


(えぇ? 大丈夫なの!?)


 などと思っているうちに、じいじはなにやら封印を解呪する呪文を唱えだす。


「封ぜし鎖、今解かれたり。

 汝が意、汝が在り処へと。

 我、干渉せず。ただ扉を開ける」


 すると、札が裂け、光の中から熊のような姿をした奇妙な生物が現れる。


「ウボォオオオン!」


(こ、この独特な鳴き声……! こ、こいつは……)


熊燐(くまりん)……!」


 それは九州で、(あきら)と訓練していた時に現れた霊魔であった。


熊燐(こいつ)彰彦(あきひこ)から預かっていた封印札じゃ。なんでも九州で封印したとな。手ごろな霊魔だから、界に封魔術を教える時にでも使ってくれとな」


(……あの時、逃げた熊燐……、父ちゃんがちゃんと封印してたんだ……)


「この解呪をしたことで、熊燐(こいつ)を封印するために使用していた彰彦(あきひこ)の魔力は元に戻ったはずだ」


「な、なるほどです」


「ウボォ! ウボォ!」


 解呪された熊燐は心なしか気分よさげに鳴いている。


 と、


「影の名を断ち、力の流れを塞ぐ。

 ここに印を刻み、我が結界に縫い止めん」


「ウボォ……?」


「汝が咆哮、いま鎮まりて封ぜられよ――封鎖!」


「ウボォオオ……ォ……ぉ……」


「と、まぁ、こんなもんじゃ……」


 熊燐は再び札へと戻っていった。


(…………く、熊燐(くまりん)……)


 と界は熊燐への憐憫(れんびん)の情が湧きつつも、それよりも驚いていることがあった。


 それはじいじのあまりにも速い印を結ぶ手捌(てさば)きである。


「封魔術を成功させる最低条件として、まずは霊魔を弱らせる必要がある。まぁ、熊燐(こいつ)くらいなら元気いっぱいでも十分、封印できるがな。あとは先ほどから説明している通り、適切な依代とそして一定量の魔力が必要だ。その霊魔の強度に合わせて、必要最低限の魔力で抑えることができることが一流の封魔術の使い手の必須条件と言えるだろう」


「うん」


「だが、それだけではダメだ。界も見ていたと思うが、もう一つ重要なのが、結印(けついん)じゃ」


 そう言いながら、じいじは手でいくつかの印を結んで見せる。


「まず最初に縛印(ばくいん)じゃ」


 じいじはそう言うと、両の手を胸元で組んだ。

 そうして、両手の中指と薬指を交差させてから、人差し指を真っ直ぐ立てて前方へ向けた。


 その後、界はじいじから封魔術の結印(けついん)に関する概要を教えてもらった。


 =================================================


 縛印(ばくいん)

 ┗指を組むなどの動作。封印の対象を定める印。


 伏印(ふくいん)

 ┗手のひらを下に向けるなどの動作。封印の対象を抑えつける印。


 締印(ていいん)

 ┗開いた手の平を閉じるなどの動作。封印の締めに使う印。


 縛印(ばくいん) → 伏印(ふくいん) → 締印(ていいん)の順で行う。


 =================================================


 そして、じいじは再び、熊燐の封印を解く。


「ウボォ……」


「いいか! 界! こうやってこうやってこうじゃ!」


「ウボォオオ……」


 熊燐は札へと戻っていく。

 じいじは再び、熊燐の封印を解く。


「うぼぉ……」


「ほれ、界、やってみろ」


「え……? こう……?」


「ウボォぉ……うぼ?」


 身構えた熊燐であったが、何も起きなかった。

 この機を逃すまいとエッホエッホと駆けていく。


 しかし、


「ちがーう! こうやって……こうやって……こうじゃ!」


「ウボォオオ……」


 熊燐は札へと戻っていく。


「こうやって……こうやって……こう?」


「ちがーう! こうやって……」


 ……


 数時間後――。


(むっず……!)


 界は苦戦していた。


(これまでの妖術や響術は割と感覚頼りな部分が強かったけど、結印(けついん)の訓練は基本的に模倣だ。言ってしまえば、スポーツ……ダンスとかに近いなこれ……。正直言って、得意分野ではない……)


「どうした? 界、彰彦からお前は天才だと聞いていたが、こんなものか?」


「っ……! じいじ、まだ始まったばかりだろ!」


「そうだ、その意気だ……!」


「おう、いくよ! 熊燐……!」


「ウボ!」


 なんか心なしか熊燐も協力的になってた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【書籍紹介ページ】

下記リンクで表紙が見れます!
https://www.kodansha.co.jp/comic/products/0000423408

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ