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【爆アド】生まれた直後から最強悪霊と脳内バトルしてたら魔力量が測定可能域を超えてました〜悪憑の子の謙虚な覇道〜  作者: 広路なゆる


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48.ドウマのしたいこと

 界が両親の死を回避してから一月後。

 2016年初夏――。


 界は奈良県に来ていた。


 その目的は〝墓参り〟。


 しかし、界にはそれが誰の墓なのか分からなかった。


 界はくたびれた寺院で、誰が埋葬されているのかすら分からない謎の岩の前で手を合わせる。


 と、


【……悪かったな。こんなところまで】


 頭の中で、ドウマがそんなことを言う。


(「え……? いや、まぁ、いいよ」)


 界がなぜこのような誰かも分からない墓を訪れているかというと、それがドウマの希望であったからだ。


 界は現在、六歳である。

 慰霊が抜けるとされる七歳の誕生日まで一年を切っていた。

 だから、界はドウマに何かやりたいことはあるかと聞いてみたのだ。


 そんなことを聞かれたドウマはなんか動揺しつつも、最初は【そんなものはない】とか言った。

 しかし、界に「まぁまぁ、遠慮せずに」と、割としつこく聞かれると、ついに細々と希望を出したのであった。


 それがまさかの奈良県での墓参りであった。

 界は誰の墓なのか、少し気になったが、無理に聞くのは野暮な気がしてやめておいた。


 と、


【なぁ、田介……誰の墓なのか気にならないのか?】


 ドウマの方からそんなことを聞いてくる。


(「え……? まぁ、多少は気になるけど……、無理にはって感じ」)


【そうか……】


 ドウマは少し沈黙し、さらに続ける。


【田介、儂様の史実は調べないのか?】


(「あ……うん……。今まではさ、調べたかったけど、なんか意地になって調べてない部分があった」)


【はっ!? 意地になってたのか!?】


 ドウマの疑問をスルーして、界は続ける。


(「だけどさ、今は、調べないことにした」)


【……それはなぜだ?】


(「大人たちが参考にしているドウマの史実なんて、読むだけ無駄だと思った」)


【……】


(「俺は、ドウマの依代の子なんだよ?」)


【……!】


(「ドウマのことはドウマの口から聞きたい」)


【っ……】


(「だから、ドウマが言いたくなったら教えてほしい」)


【……面倒な奴だ……。儂様は別に自分語りなど趣味ではないのだがな……】


(「……悪いな」)


【…………ここはな】


(「……?」)


【ここは……儂様の友の墓だ……】


(「……!」)


【共に……鎮霊の儀を完成させた友のな……】


(え……?)


 その短い言葉で、界に、ドウマに関するいくつかの情報と感情が押し寄せてくる。


 ドウマがなんだかんだ言いながらも、少しだけど、すぐに語ってくれた。

 自分()を信頼してくれている。嬉しい。

 ドウマ友達いたんだ。

 墓参りするということはドウマは友達を大事にする人間性を持っている。もう気付いてたけど。

 ドウマは鎮霊の儀を開発した張本人?


(「ありがとう」)


【は……!?】


(「教えてくれてありがとう。俺、もっとドウマのこと知りたいな」)


【っっ……! …………おいおいな……】


 ドウマはなんとなく照れくさそうに答える。


 そうして、界は墓参りを終える。


 と、


「界~~、おやつでも食べに行くかー!? ガハハハッ」


「……!」


 界にそう言ったのは〝じいじ〟であった。


 今回、界を奈良まで連れてきてくれたのは、父方の祖父、通称、じいじであった。


 父はというと、療養中…………ではなく、修行中である。

 あの一件について、父は語った。


『界はめちゃくちゃ凄い。誇らしい。だけど、なんか悔しい』


 1~9まであるうちでも、一握りしかいないクラス6〝主級〟。

 それが父の階級である。


 それでも、界の間接的な助けがなければ、聖乱テンシには手も足も出なかった。


 それにより『子のおかげで命拾いして誇らしいと同時に、なんか子に助けられるのはそれはそれで親として悔しい』という複雑な親心が発動し、父は入山し、修行をすることにしたのであった。


 というわけで、今回はじいじが界を連れ出してくれたわけである。(貸し切り新幹線で)


「界~~、きなこだんごでも食うかー?」


 じいじはにっこにこで界を誘う。


 と、


「おい、白神、さっきから言っているじゃろ! 界様にため口をきくでない!」


 もう一人の引率者が、じいじに苦言を呈す。


(……)


 界は苦々しい顔をする。


「うっさいんじゃ、一之瀬ぇ! 界は気にしてないだろうが! そうやって特別扱いされる方が界は嫌がるんだよ!」


 じいじはそう言って、応戦する。


 が、


「特別な界様を特別扱いして何が悪い!」


 もう一人の人物も一歩も引かない。


 もう一人の人物。それは九州から馳せ参じた母方の祖父、通称〝くまじいじ〟であった。

両手に花!

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【書籍紹介ページ】

下記リンクで表紙が見れます!
https://www.kodansha.co.jp/comic/products/0000423408

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