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反転攻勢 ~ふざけた職業【カスタードプリン】。だが、それでも俺は必ず日本を取り戻す~  作者: 銀騎士


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第53話 まさかの逸材


 「なぜ人族が我らを助ける?」


 人形のようにほとんど表情を変えずにマリンウイッチが問いかける。


 「まず最初に言っておくが俺たちは人族ではない。日本人だ」


 「日本人? 聞いたことがない種族だ」


 「まぁ、当然だろうな。俺たちは異世界から来たからな」


 「異世界? 精霊界のようなものか?」


 精霊界? そんな世界もあるのか?


 「それは知らんが、この世界とは別の世界から俺たちは来た。だから俺たちに領土欲はない、元の世界に戻るからな」


 「……俄かには信じ難い話だが、お前たちが我らを攻撃していないのも事実だ」


 「普通の魔物は問答無用で襲いかかってくるが、どうやらお前らは違うようだな」


 「我らは湖を守るだけだ」


 こいつは高い知性があるようだから、戦わなくても良さそうだ。


 「そうか、俺たちは黒亜人たちの首と装備を回収すればここから立ち去る」


 「見届けさせてもらう」


 「好きにしろ。お前ら首と装備を回収しろ」

 

 「分かりましたの」


 〈分かりました〉


 〈やったぁ!! そうびがいっぱいあるよ!!〉


 俺たちは黒亜人たちの首と装備を集めて、湖から離れたのだった。


          ***


 湖を後にした俺たちはエルザフィールの街に向かって進んでいた。


 通常種は俺たちが倒しているが、下位種はワンちゃんとシズナたちに任せている。なので、戦闘自体に時間はかかっているが、足の遅い後衛職がいないのでその分、早く進むことができる。


 俺たちはこれといった問題もなく、エルザフィールの街に到着し、転職の神殿に直行して転職部屋に入る。


 「き、緊張します」


 「そうか? 資質が全てなんだから緊張してもどうにもならないだろ」


 シズナの言葉に、ソローミが事もなげに返す。


 どうやら二人は対照的な性格らしいな。


 「水晶玉に手で触れると下級職、上級職、最上級職の項目があるらしいので、自分の職業適性を知るためにも下級職から確認することをお勧めしますの」


 マークⅢの言葉に、二人は静かに頷いた。


 「じゃあ、私からやってみる!!」


 ソローミは物怖じせずに水晶玉に手で触れる。


 「やったぁ!! 私は上級職の【喧嘩師】になれる!! 転職していいんだよね?」


 振り返ったソローミが俺に確認する。


 【喧嘩師】? そんな職業もあるのか……なんか名前的に【拳士】の方が強そうな気もするが。


 「ああ」


 俺が頷くと、ソローミは嬉しそうに水晶玉に触って転職を完了させる。


 緊張した面持ちのシズナが神妙な様子で水晶玉に触れる。


 「わ、私は上級職の【武者】になれるようです!! ですが、それ以外に適性はないようです」


 胸を撫でおろしたシズナは一転して、弾けるような表情を見せた。


 シズナが転職を完了させて俺たちの元に戻って来る。


 二人とも一回目で転職できるとは、もしかしてこいつらは逸材なのかもしれないな。


「【喧嘩師】と【武者】の強さはどんな感じなんだ?」


 俺がマークⅢに聞くと、マークⅢが二人の職業の詳細を語り出す。


 以下はマークⅢが語った職業ステータス



名前: ソローミ

職業: 【喧嘩師】レベル: 1

HP: 1000

MP: 0

SP: 1000

攻撃力: 300

守備力: 150

素早さ: 150

魔法: 無し

特殊能力: 回避, 豪力, 挑発



名前: シズナ

職業: 【武者】レベル: 1

HP: 800

MP: 0

SP: 500

攻撃力: 350

守備力: 200

素早さ: 150

魔法: 無し

特殊能力: 遁走, 強力, 堅守, 斬撃, 剛剣, 居合斬り, 天翔斬り



 「【喧嘩師】は攻撃力を任意で三倍まで上昇させることができる『豪力』が強いですの。ですが、攻撃力を上げる場合にはそれ相応の溜め時間が発生しますの。あとは『挑発』ですが、相手の敵対心を上昇させることができますわ」


 溜めがいるとはいえ、最大攻撃力が900まで上がる『豪力』がやばい。


 「『武者』は『剛剣』が攻撃力が1.5倍、『天翔斬り』が風の刃を飛ばせますの。『居合斬り』は敵が自分より弱ければ50パーセントの確率で一撃で敵を両断、同等以上で30パーセントの確率でクリティカルが発生しますの。いずれにせよ、この三つの特殊能力は剣を使用した場合のみ発揮されますので、剣を入手したほうがいいと思いますわ」


  はぁ? マジかよ……? 『強力』と『剛剣』を合わせて使うと、剣での攻撃に限定されるが、攻撃力が780ぐらいになる。ていうか、こいつら上級職でこれだと、もし最上級職になれたとしたら無茶苦茶強くなるんじゃないのか?


 俺は驚きを隠せなかった。


 ちなみに、『遁走』は【足軽】から所持している特殊能力で、効果は逃げる時の素早さが二倍になるらしい。


 最後にワンちゃんが転職を試みているが、ワンちゃんは文字を読めない。なので、マークⅢがどんな文字の形が表示されているのかをワンちゃんに聞いているので時間が掛かっている。


 マークⅢいわく、現地人のワンちゃんが水晶玉に触れると、ウィンドウに表示される文字は人族語らしい。日本人だと日本語だ。


 「ワンちゃん転職できるかな?」


 「文字が表示されている時点で、少なくとも下級職に転職できることは確定している」


 「ああっ!! そうか!!」


 ソローミが合点がいったような顔をする。


 「ワンちゃんの転職が完了しましたわ。ワンちゃんは下級職の【武道家】と上級職の【猟犬】【ワンワン】に適性がありましたの。その中で一番強い職業の【ワンワン】にしましたの」


 三つも転職先があるってことは、意外にもワンちゃんは資質が高いのかもしれないな。


 「【ワンワン】って可愛い!! 良かったねワンちゃん」


 ソローミはワンちゃんの両手を掴んで微笑んだ。


 「わふぅ!!」


 なんとなく理解できたのか、ワンちゃんが嬉しそうに鳴く。


 「で、【ワンワン】はどんな感じなんだ?」


 以下はマークⅢが俺に報告したワンちゃんのステータス



名前: ワンちゃん

職業: 【ワンワン】レベル: 1

HP: 1200

MP: 100

SP: 1000

攻撃力: 300

守備力: 300

素早さ: 300

魔法: ライト, ブリザー

特殊能力: 肉球パンチ, 肉球キック, 頭突き, 回避, くんくん, スタミナ回復

譲渡された特殊能力: 加撃, 堅守



 「『肉球キック』は『肉球パンチ』の蹴りバージョンですの。『頭突き』は相手の頭部に命中すると50パーセントの確率で失神し、『くんくん』は様々な生物や物の匂いを嗅ぎ分けて、場所を特定できる特殊能力ですわ」


 『加撃』を反映させると攻撃力は450になり、『肉球パンチ』や『肉球キック』でクリティカルが発生すれば、1300を超える……マジかよ? 魔法も使えるようになっているし、ワンちゃんも強くなりすぎだろ……こいつらいったい、どうなってんだ?


 「まさか全員が転職できるとは思わなかったぞ。三人ともよくやった」


 「ありがとうございます!!」


 「ありがとう!!」


 「わふぅ!!」


 「よし、早速、戦士の村に戻りながら戦ってみるとするか」


 俺たちは転職の神殿を後にしたのだった。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

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明日もたぶん10時に投稿する予定です。


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