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反転攻勢 ~ふざけた職業【カスタードプリン】。だが、それでも俺は必ず日本を取り戻す~  作者: 銀騎士


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第52話 白亜人と黒亜人の戦争

 

 黒亜人側はオーク種も多いが、黒い人型の蜥蜴とかげのような魔物も同じぐらいいる。そういえば、確かネヤが湖の辺りで魔物同士が戦争しているって言ってたな。


 「あの黒い蜥蜴のような魔物はやっぱり、リザードマンなのか?」


 「そうですわ。それ以外にもたくさんの種族が戦っていますの。湖側の陣営にはサハギン種、マーマン種、ケロッグ種、アクアヘア種、ケルピー種、マリンウィッチ種ですの。黒亜人陣営はオーク種、リザードマン種、ハーピー種、ウェアウルフ種がいますの」


 「サハギンとオーク以外は見たことがないが、湖の中にいる上半身が人型なのがマーマン、青い蛙がケロッグ、青い兎みたいなのがアクアヘア、青い馬みたいなのがケルピーで、湖の上に浮いている青い肌の女みたいなのがマリンウィッチで合っているか?」


 「合っていますわ」


 「じゃあ、黒亜人側は腕が翼になっているのがハーピー、人型の狼みたいなのがウェアウルフだよな?」


 「そうですの。警戒すべきは状態異常の特殊能力を多数所持するケロッグ種、多彩な魔法を所持するマリンウィッチ種、一番ステータスの値が高い、高レベルのウェアウルフですわ」


 「白い鎧の方は魔物にお詳しいのですね」


 「アナリシス、要するに解析系の魔法をマークⅢは持っているんだ」


 「そ、それはすごいですね……あの、もう一つ質問をよろしいでしょうか?」


 「ああ」


 「白い鎧の方はマークⅢ、黒い鎧の方はマークⅡとロストさんはお呼びですが、名前がおかしくないですか?」


 「俺は『生命付与』という特殊能力を持っている。つまり、物に生命を与えることができる特殊能力なんだ」


 「えっ!?」


 「だからマークⅡもマークⅢも雑に言えば俺のペットだ。ついでに言うと、骨の人形がマークⅠ、黒いモフモフはダークって名前で、ダークはマークⅠのペットだ」


 これにはシズナだけではなく、ソローミも絶句している。


 「マスター、敵の側面から遠距離攻撃を行い、両陣営を徐々に減らしていく作戦を提案しますの」


 「――えっ!? この数を相手に戦うのですか!?」


 シズナの顔が驚愕に染まる。


 まぁ、彼女が驚くのも無理はない。両方合わせると500ぐらいの数だからな。


 「無論だ。だが、とりあえず攻撃するのは黒亜人側だけだ」


 「ですがそれでは湖側の陣営が残ってしまいます」


 「湖側の勢力は黒亜人ではないし、元々湖で暮らしていた奴らだから様子を見たい。まぁ、最悪、俺とマークⅡで突撃して湖側を全滅させるつもりだ」


 「分かりましたの」


 俺たちは黒亜人側の側面に移動した。すぐにマークⅡがアイアンランスの魔法を連発し、黒亜人たちが次々に巨大な鉄槍に貫かれて奇声を上げる。


 この距離では俺のポイズンの魔法は届かないから暇だな……そうか、あれがあったか。


 「マークⅢ、腐るほどあるコボルトの槍を出してくれ」


 「分かりましたわ」


 マークⅢが次元の裂け目から多数のレッサー・コボルトの槍を地面に突き刺した。


 「これで攻撃ができる」


 俺は地面に刺さった槍を次々に抜いては黒亜人たちに目掛けて投げる。槍が体を貫通した黒亜人たちは血飛沫を上げて地面をのたうち回る。


 〈あぁ、ヤリがいっぱいどっかにいっちゃうよ〉


 マークⅠが悲しそうな声を上げる。


 「槍で黒亜人を攻撃してるんだから、奴らを倒したら槍も回収できるだろ」


 〈ああっ!? そうか!!〉


 くくっ、こいつは本当に戦闘以外は馬鹿だよな。


 俺は黒亜人の群れに対して適当に槍を投擲していたが、戦場に目を凝らす。


 たぶん、一メートルぐらいのサイズの奴が下位種で、二メートル以上の奴が通常種だろうから、俺はでかい奴を狙って槍を投げることにした。マークⅡみたいに無限に魔法を撃てる訳ではなく、槍には限りがあるからな。


 戦場では俺たちの攻撃によって黒亜人たちが次々に倒れている。だが、それに輪をかけてケロッグ種による状態異常攻撃が強烈で、猛威を振るっている。黒亜人たちが石化したり、同士討ちを行ったりして、前線は混乱状態になりつつある。


 「ケロッグやべぇなぁ……一番戦いたくない相手だ」


 「ケロッグ種は『盲目』『猛毒』『石化』や、体を麻痺させるパラライズの魔法、幻覚を見せるハルシネーションの魔法などを所持していますの」


 「やばすぎるだろ」


 「青い兎もすごく素早いです」


 「アクアヘアは素早さが2倍になる『疾走』を持っていますので、レベル1の個体でもその素早さは300を超えていますの。その素早さを生かした体当たり攻撃や『出血』による攻撃で、血が止まらなくなるので危険ですわ」


 「でも青い兎は可愛いから触ってみたい!!」


 ソローミは無邪気に微笑んでいる。


 両者の戦いは湖側が優勢で、黒亜人側はリザードマン種たちがなんとか踏ん張っている状況だった。だが、三匹いるうちの二匹のウェアウルフが動き出し、ケロッグ種たちやアクアヘア種たちが狩られ始め、戦況は再び膠着状態に陥った。


 湖側の傷ついた魔物たちはマリンウィッチが癒していて、黒亜人側はオークメイジが傷や状態異常を治しているからだ。


 「ウェアウルフの動きが速すぎて、止まっているときしか見えません」


 「ウェアウルフたちは高レベルですので、そのステータスの値は上位種並みですから仕方ありませんの」


 「逆に言えば、ウェアウルフを倒したら黒亜人たちは瓦解するってことだな」


 「マスター、ハーピー種たちがこっちに来ましたの」


 「ほう、意外に早いな」


 魔物と変わらない程度の知性だと思っていたが、ウェアウルフは賢いのか? 


 〈マスター、くろいのがいっぱいくるよ〉


 はぁ? いっぱいってどこからくるんだよ?


 俺が戦場を見渡すと、西の方角から戦場に接近する黒亜人たちの群れの姿があった。


 西に奴らの拠点があるかもしれないな。


 マークⅡが接近するハーピー種たちに対して、アイアンバレットの魔法を放ち、無数の鉄弾がハーピー種たちの体を貫く。


 マークⅡは何度も魔法を放って、翼が傷ついて飛べなくなったハーピー種たちが次々に墜落していく。


 マークⅠもアースの魔法を連発し、無数の石や岩がハーピー種たちに命中し、俺たちに向かってきたハーピー種たちの全てが空からいなくなった。


 だが、大地を駆けるハーピー種たちは、俺たちに接近しながら風の刃を撃ってくる。


 即座にマークⅡが身の丈を超えるほどの鋼の壁を次々に作り出し、風の刃を防ぐ。


 あれは『鋼壁』だな。俺たちには使いどころのない特殊能力だと思っていたが、こういうときには有用だな。


 すぐにワンちゃんたちが鋼の壁の後ろに身を隠し、ダークたちやマークⅢも鋼の壁に隠れながら魔法で攻撃している。俺は隠れる必要はないが、一応鋼の壁の後ろに移動した。


 マークⅡは果敢に前に出て、戦斧でハーピー種たちを斬り裂いている。


 くくっ、さすがマークⅡだ。ハーピーごときではマークⅡをどうにかできるわけがない。


 俺はそれを横目で見ながら、淡々と槍をリザードマンに目掛けて放つ。


 ハーピー種たちはマークⅡを遠巻きに囲んで集中攻撃している。だが、その様子を鋼の壁の後ろから顔を出して覗き見ていたワンちゃんが、ハーピーに発見されてしまう。


 そりゃ、そんなに顔を出していたら見つかるだろ。


 「わふぅ!?」


 ワンちゃんは慌てて鋼の壁の後ろに身を隠したが、時すでに遅く、ハーピーが鋼の壁の後ろに回り込んでワンちゃんに蹴りを放った。


 なんとか蹴りを躱したワンちゃんが、パンチでハーピーの顔面を強打し、ハーピーがぐらつく。


 しかし、さらに別のハーピーが姿を現し、ハーピーの蹴りがワンちゃんの背中に突き刺さる。


 「「ワンちゃん!?」」


 シズナとソローミが悲痛な叫び声を上げる。


  ハーピー種は鉄製の足爪をつけているから、シズナたちが騒ぐのも無理はない。けどいくらワンちゃんを攻撃しても俺の『守護』で、ワンちゃんの受けたダメージを肩代わりしてるから無意味だけどな。


 「わふぅ?」


 背中に手を当てて不思議そうな顔をするワンちゃんが、振り返りざまにパンチをハーピーの顔面に叩き込み、ハーピーは弾け飛んで地面を転がる。


 おおっ!! 出たぜ!! ワンちゃんが目覚めた『肉球パンチ』が!!


 『肉球パンチ』は30パーセントの確率でクリティカルが発生する特殊能力だ。


 最初は微妙な特殊能力だと思ったが、クリティカルは守備力を無視してダメージが3倍になる。それがだいたい3、4回殴れば発生するんだから、結構強いかもしれないと俺は思い直した。


 「ワンちゃん!! 大丈夫だったんだ!!」


 ソローミが未だふらついているハーピーに拳の連撃を繰り出し、ハーピーは膝から崩れ落ちた。


 俺が視線をマークⅡに向ける。すでにマークⅡはハーピー種たちを全滅させていて、アイアンランスの魔法を連発して黒亜人の群れを攻撃していた。


 マークⅡの魔法はマジカルライズの魔法で威力が上がっているから、一発の魔法で黒亜人たちが何匹も貫かれている。


 マークⅡは魔力が無尽蔵だから奴らもたまらんだろうな。


 俺とマークⅡが遠距離から攻撃し続けたことにより、100匹ほどいた黒亜人たちの援軍も全滅し、さすがに痺れを切らしたのか2匹のウェアウルフがマークⅡに迫る。


 「やらせるかよ」


 俺は片方のウェアウルフに目掛けて槍を放つ。


 さすがにマークⅡも、二匹相手はキツイだろうからな。


 槍を躱したウェアウルフは、思惑通りに俺に向かって突っ込んでくる。


 背中の長剣を鞘から引き抜いた俺は、ウェアウルフの顔面に長剣の突きを放ったが、躱されて接近戦になる。


 ウェアウルフの爪の攻撃や蹴りは何とか躱せるが、俺が繰り出す攻撃もほとんどウェアウルフに当たらない展開が続く。


 こいつ、あり得ない体勢で俺の攻撃を躱しやがるし、俺の攻撃でほとんどダメージを与えられないってことは、こいつは通常種なのに、俺と変わらないほどのステータスの値だということだ。


 それではさすがに、俺よりステータスの値が低いマークⅡじゃ勝てないんじゃないのか?


 瞬時に『威風』を発動した俺の体から、深紅のオーラが炎となって燃え盛る。


 その異様さに、ウェアウルフは大きく目を見張って後方に跳躍したが、俺はそれを追いかけて瞬く間にウェアウルフに肉薄し、長剣でウェアウルフの首を刎ね飛ばす。


 首が地面に転がったウェアウルフは、静かに地面に突っ伏した。


 俺は視線をマークⅡに転じると、ウェアウルフは炎に体を焼かれて地面をのたうち回っていた。上空からダークに乗るマークⅠがアースの魔法で攻撃し、数知れない岩や石に体を打たれている。


 マークⅠとマークⅢが戦いに加わっているのなら大丈夫そうだな。それよりも俺のSPが切れる前にケリをつける必要がある。


 俺は黒亜人たちの指揮を執っているウェアウルフに目掛けて矢のように突進し、ウェアウルフを長剣で頭から一刀両断した。


 全く反応できなかったウェアウルフは、体が二つに分かれて崩れ落ちる。


 それを目の当たりにした黒亜人たちは呆然と立ち尽くしている。俺は目にも止まらぬ速さで、手当たり次第に黒亜人たちを長剣で斬り殺す。


 湖側の魔物たちと俺に挟撃された黒亜人たちは何もできずに全滅し、俺は『威風』を解除する。


 「マークⅠ、すぐに来てくれ!!」


 ちぃ、もう動くことすらできない。やはり、『威風』はとんでもなくSPを消費するぜ。


 すぐにダークが飛んでくる。俺の体が連続で金色に輝いて俺のSPが全快し、マークⅡたちが俺に合流する。


 「助かったぜマークⅠ」


 〈うん〉


 さて、奴らはどう動く? 最悪、戦うことになってもSPは回復してるからどうとでもなるが。


 湖側の勢力は俺を恐れているのか動く気配はなく、俺たちと湖側が対峙して睨み合っていると、湖の上に浮かんでいたマリンウィッチたちの一人が、俺たちに向かって飛来したのだった。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

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作者の執筆速度が 1.5倍…いや2倍くらい になります。(※個人差があります)


明日もたぶん10時に投稿する予定です。


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