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はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~  作者: さとう
第七章・商業科発表会

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女神聖教七天使徒『聖女』エレナ&『聖典泰星』リリィ・メイザース④/分析

 ドラゴニュート。

 竜の特徴を持った人間。

 手には突撃槍を持ち、器用に回転させてエルクを威嚇する。

 エルクは、倦怠感を押さえ、短期決戦で決めることにした。


「止まれ」

『───!』


 ドラゴニュートの身体がビシリと硬直する……が。


「……ッ!?」


 押し戻される。

 エルクが毒で弱っているせいで、念動力の制御が甘くなっている。それもあるが、純粋にドラゴニュートの力が強く、押し返されているのだ。

 普段の状態なら、力づくで抑え込んで潰すことも可能だが、今のエルクはできない。


「ぐ、ぬっ……!!」

『ガァッ!!』


 弾かれた。

 ドラゴニュートは突撃槍を構え突っ込んでくる───速い。

 念動力で壁を作り防御するが、その壁もただの突進で破壊された。


「わぉ、強いわね」

「エルク、弱ってる……これ、『ヴェノム』の毒だね」

「あの煙? へぇ~……これは新情報ね」

「なにが?」

「エルクくん。無敵のように見えるけど、身体はやっぱり人間……毒物は有効ってこと」

「ふーん」

「さて、毒の状態も長くは続かないでしょ? リリィ」

「うん。『ドラゴンブレス』」

「!?」


 ドラゴニュートが炎を吐いた。

 エルクは念動力の壁で防御するが、不安定な壁で完全な防御はできなかった。

 炎の一部が、エルクの腕を焼く。


「ぐあぁ!?───ぐっ!?」

『オォォォォォォォッ!!』


 追撃。

 目の前にいたドラゴニュートが突撃槍を振り下ろす。

 両腕に念動力を纏わせ、腕を交差して受け止めた───衝撃がエルクの両腕に響き、激痛が走る。

 なんとか受け止めたが、ドラゴニュートの前蹴りがエルクの腹に突き刺さる。


「ぐおっ、っが……ッ」


 なんとか耐えた。

 腹を押さえ距離を取り、反撃のチャンスを伺う……だが。


「『分身』、『硬化』、『加速』」

「なっ……!?」


 ドラゴニュートが分身、加速し、鋼鉄化した突撃槍を振り回す。

 リリィの魔法。チートスキルにより考えた魔法を全て実現できるリリィは、即興で思いついた単語でドラゴニュートを強化した。

 魔法でもない、ただの言葉。それが力となり、現実となる。

 エルクは両手を合わせ、念動力の壁を生み出す。全ての攻撃が壁に激突し、壁が震えた。


「く、そ……っ!!」


 エルクは、倦怠感により念動力を制御できていない。

 通常時と違い、出力も強度も2%以下だった。


「ふぅむ。念動力による壁ね……念動力というか、空間そのものを固定して壁のようにしているのかな? 空気の層とも違う……『念動力』、不思議ねぇ」

「腕とか脚とか武器とか、身体を固定したり、握り潰したりもできるみたい」

「組織の『念動力』使いの子もいろいろ試したけど、やっぱり物を引き寄せるだけの能力だったわね。エルクくんが特別なのかしら……それとも、まだ見ないチートスキルかも」

「分析、楽しいね」

「ええ」


 リリィとエレナは、エルクの力を分析する。

 エルクは深呼吸。少しずつ毒が消えているのがわかる。

 時間をかければ、毒は消える。それまで耐えるのがエルクの戦いだ。

 なら、すべきことは一つ。


「エレナ先輩じゃない、そっちの小さい女!!」

「む、小さくないし。それと、わたしはリリィ、リリィ・メイザース」


 ドラゴニュートの動きが止まった。

 つまり、これはリリィが操作している。

 エレナが何かを言おうとしたが、エルクが先に言う。


「お前、なんで女神聖教にいるんだ? お前もピピーナに会いたいのか?」

「うん。女神様、わたしの恩人だから。だから、会ってお礼が言いたいの」


 お礼。

 リリィも、ピピーナに救われた。だからお礼がしたいのだ。

 エルクにもその気持ちがよくわかる。


「俺も、ピピーナに救われた……でも、ピピーナは言ってた。価値ある人生を、って。リリィ……お前にとって、今やってることは価値あることなのか?」

「わからない。でも、わたしはわたしのできることをやる……もう、あんな生活には戻りたくないから」

「……あんな生活?」

「あなた、貴族の生まれだったよね? わたしは違う。わたしは平民の生まれ。両親は流行病で死んで、ずっと一人だった……わたしは、人形を作って売ってたの。たまたま、『人形作り』のスキルを持ってたから」

「……辛かったのか」

「うん。死にたかった……人形師の家の物置に放り込まれて、朝から晩まで人形作り。わたしの人形、わたしが作ったのに、あのクズ野郎が作ったってことにされて……」


 あのクズ野郎とは、リリィを拾った人形師。

 リリィの才能に目を付け、人形を作らせていたのだろう。

 リリィにも、辛い過去があったようだ。バルタザールと同じく、同情できる。

 もしかしたら、女神聖教の神官は全員……と、エルクは思った。


「……どんな理由だろうと無理だ。ピピーナは、こっちの世界に来れない。ピピーナ自身が言ってたんだぞ」

「そんなことない。ピアソラはできるって言ってた。『願い』と『祈り』を糧とした究極のスキルで「リリィ!!」


 リリィがビクッと震えた。

 エレナが、リリィの喉にナイフを突きつけていたのだ。

 

「それ以上は、ダメよ?」

「ご、ごめん」

「それと───時間、かけすぎちゃったかな?」

「えっ?」


 エルクが深呼吸し───右手をドラゴニュートへ向けた。

 ドラゴニュートの身体は、ピクリとも動かなくなった。

 お喋りでだいぶ毒が抜けた。

 エルクは右手を上げると、ドラゴニュートの身体も持ちあがる。

 そのまま左手を向け、ギュッと握り込むと───ドラゴニュートの身体がビクッと震え動かなくなった。

 そして、ドラゴニュートは人形へと戻る……エルクの念動力で、体内の臓器を握り潰されたのだ。


「俺の勝ち、だ」

「ふふ、ずいぶんと卑怯なやり方ね。でもいいわ……私たちの負け」

「エレナ、いいの?」

「ええ。外もほとんど鎮圧されたようだし、エルクくんのデータは取れた」

「……俺のデータ?」

「ええ。あなたを完全に始末するためのデータ。私とリリィで殺せればよかったんだけど、今のままじゃ無理みたいだしねぇ。あなたを殺すのは、他の神官に任せるわ」


 エルクはポーチから弾丸を取り出し、こっそりと左手の銃に込める。

 

「俺を殺せる奴ね。返り討ちにしてやるよ」

「それはどうかしら? 少なくとも、私はエルクくんの弱点を三つ見つけた。今のアナタなら、タケルが倒してくれる」

「…………」


 レバーを引き装填される。

 すると、窓から一人の少年が飛び込んで来た。


「よ、っと。あれ、まだやってたんだ」

「アザゼル。もうすぐ終わる。そっちはどう?」

「ああ、見つけたよ。ガラティーン王立学園が保管していたダンジョンの秘宝、『神器』だ」


 アザゼルの手には、青い宝玉があった。

 無数の切れ込みが入った不思議な宝玉だ。アザゼルは、満足そうに宝玉を見つめる。


「あと三つ……ふふ、楽しみだな。ところで、その子が例の?」

「ええ、エルクくん。裏切り者よ」

「へぇ~……」


 エルクは警戒していたが、アザゼルは笑っていた。


「初めまして。ボクはアザゼル……S級危険組織『暴王』のリーダーだ」

「…………」

「裏切り者の暗殺者(アサシン)エルクくん、会えてうれしいよ」

「……その青い球、なんだ?」

「あ、これ? これはダンジョンの秘宝の一つで、『水の宝玉(アクア・レガリア)』っていうんだ。今回の騒動の本当の目的は、これを手に入れることだったんだ」

「その青いのが? だ、ダンジョンの秘宝?」

「うん。秘宝っていうのは、剣や盾、金銀財宝ばかりじゃない。こんな風な、真の秘宝もあるんだ。ポセイドン校長が守っていた水の宝玉……伝承では、女神ピピーナがこの世界に置いたって言われてる」

「そ、そんなもんが、学園に?」

「うん。いやぁ苦労したよ。この件で、組織の半数の人間を失ったからね。まぁ、投入する価値はあった」

「話、ながい」


 と、リリィがアザゼルの袖を引っ張った。

 

「まぁ、そういうこと。わかった? きみの抹殺のためだけに学園を襲ったんじゃない。今までの襲撃は全て、この宝玉を手に入れるためだったんだ。エルクくん、きみが原因で学園が危険に晒されたから学園を辞める……なんて心配はもうないよ。この宝玉を手に入れた以上、もう学園には用はないからね」

「───」

「おっと」


 アザゼルの目の前の空間が歪み、《黒い穴》が開いた。

 アザゼルは、そこに水の宝玉を投げ入れる。


「残念。この『黒空間』内の物はさすがに念動力で引き寄せられないようだ」

「お前……」


 と、今度はエレナがエルクに右手を向ける。


「じゃあ、今日はここまで。ふふ……また会いましょう、エルクくん」

「ばいばい、エルク」


 三人の足下に黒い穴が空き、三人の身体が飲み込まれていく。

 

「───ふざけんな」


 やられっぱなし。

 このまま逃げられるのは、面白くない。

 エルクは左手を向け、一瞬で狙いをつけ───引金を引いた。

 ドォン!! と、銃身から弾丸が発射される。


「えっ」


 ボン!! と、消えゆくエレナの右手を貫通し、ねじり飛ばした。


「っぎ───」


 叫び声は聞こえなかった。

 腕をねじ切ると同時に、エレナたちの姿が消えていた。

 残されたのは、エレナの右手首だけだった。

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〇はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
レーベル: CLLENN COMICS / コミックREBEL
著者:さとう (著)
漫画:うなぽっぽ (著), トダフミト (著)
発売日:2024年 7月 21日

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
テンプレに従わない異世界無双 ~ストーリーを無視して、序盤で死ぬざまあキャラを育成し世界を攻略します~
連載中です!
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです

― 新着の感想 ―
[気になる点] ・タイトルの無双が意味を成してない ・仕込み銃も頭狙えば良いのに ・逃げられる前に心臓潰せ ・逃げられる前に脳みそ潰せ [一言] 無双とは……敵う者・肩を並べる者がおらず、独壇場ともい…
[一言] 無双しないどころか苦戦ばかりするただのタイトル詐欺作品 読者の期待する展開を悉く裏切り続けてるのは読者ざまぁか何かですか? もう期待するだけ無駄なんで自分はこれで切ります
[気になる点] なんというか・・とても2000年修行をしたとは思えない程のマヌケっぷりだな・・ 酸素さえ自在に操れるのに油断して毒を喰らうわ・・ 俺の勝ちだとか無益な事を吐く前に敵2人を肉団子にして丸…
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