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はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~  作者: さとう
第六章・『愛教徒』ラピュセル・ドレッドノートの試練

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女神聖教七天使徒『愛教徒』ラピュセル・ドレッドノート⑧/呪いのように刻まれたルール

「エルクは、間違いなく最強だよ? でも……強すぎるねぇ」

「……んなアホな」


 『生と死のはざま』で、エルクはピピーナの『指導』を受けていた。

 今日も、十回以上殺された。死にはしないが、ピピーナの念動力で心臓や内臓を根こそぎ握りつぶされた。痛みはないが、間違いなく死んでいた。

 エルクは大の字で倒れたままだ。

 ピピーナは、エルクの傍にしゃがみ、エルクの鼻をツンツンする。


「あのね? エルクはどうあがいても、わたしには絶対、ぜ~~~ったい勝てないの。だってわたし、1パーセント以下の力しか……ん~、難しいなぁ。1パーセントの半分の半分の半分の~~~~~~~とにかくめちゃくちゃ弱い力で、エルクをけちょんけちょんにしてるの」

「……はは、俺めちゃくちゃ弱いじゃん」

「違うの。わたしに、『とにかくめちゃくちゃ弱い力』を出させている時点で、エルクは強いのよ」

 

 意味が分からない。

 ピピーナに、かすり傷一つ付けられない念動力が、強い?

 エルクは起き上がる。


「よく分からんけど……ピピーナがそう言うなら信じるよ」

「うんうん。でもねエルク……強すぎる力は、エルクを退屈にしちゃうよ? だから、戦闘ではなるべく手加減すること。いいね」

「え~~~……? 意味わかんないけど」

「ふふ、いいからいいから。エルク、わたしが命名した七つの技、そのうちの三つは、命の危機に陥った場合のみ使うこと」

「命の危機……」

「うんうん。さ、手加減の訓練するよ~」

「お、おお」


 このやり取りが、エルクの力を制限する『呪い』になった。


 ◇◇◇◇◇


 エルクは両手に念を纏わせ、キングとクイーンに向けて放つ。

 様子見の一撃───……キング、クイーンは念動弾を無視し、エルクに向かって来る。

 キングは大剣を片手に走り、クイーンは浮遊していた。

 ラピュセルは、動かない。

 エルクは「ふん」と鼻を鳴らし、念動力で拘束したままのミゲルに言う。


「口閉じてろよ」

「え」


 ミゲルを念動力で覆い尽くし、ブンブン振り回す。

 そして、キングに向けて砲弾のようにミゲルを発射した。


「ほぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


 キングはミゲルを迷わず両断───……だが、エルクの念動力で覆われたミゲルを切断できない。それどころか、大剣が弾かれた。

 すると、クイーンの両手に氷と炎が集まり、エルクとミゲルに向けて放たれる。

 エルクは、大聖堂の舞台を念動力で浮かし炎と氷を防御。

 ミゲルを舞台にぶつけて粉々に砕き、砕けた舞台を操ってキングに浴びせた。


『───!!』


 全ての瓦礫を浴びたキングの動きが止まり、さらに倒れる。

 するとクイーンの背中に二本の腕が生え、今度は雷と風が放たれた。

 エルクは右手の短弓を展開し、矢をセットして放つ。

 雷は鉄の矢に引き寄せられる……避雷針だ。

 風の塊は、ミゲルをぶつけて相殺した。


「ひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」


 ミゲルを無視し、エルクはクイーンに向けてミゲルを発射。

 ミゲルと衝突したクイーンは吹き飛び、壁に激突。

 『念動舞踊(テレプシコーラ)』で一気に加速し接近したエルクは、両手のブレードを同時に展開し、クイーンの顔面に刃を突き立てた。


『が、ガガガ』

「ぶっ壊れろ!!」


 そして、右の拳で亀裂の入った顔面を砕く。

 すると……クイーンの全身に亀裂が入り、粉々に砕け散った。


「ちょ、後ろぉぉぉぉっ!!」

「!!」


 エルクは横っ飛び。すると、キングが大剣を振り下ろした。

 エルクは、大聖堂に並ぶ長椅子をいくつも浮かべ、キングに発射。木の椅子など意に介していないが、エルクは椅子に身を隠して接近し、キングの右手に蹴りを入れた。


『!!』

「これ、借りる」


 狙いは───キングの持つ大剣。

 念動力で浮かぶ大剣を思い切り飛ばすと、キングの身体を貫通した。

 そして、キングの身体に亀裂が入り───粉々に砕け散った。

 エルクは短弓を展開、矢を素早くセットしラピュセルに向ける。


「で?───次はお前か?」

「ふふ……やはり、強い。ところで、我がしもべ……エルクに手を貸すとは、どういうことで?」

「えっ」

「あ、さっきはありがとな。お前が声をかけてくれたから、避けれたわ」

「……あ」


 ミゲルはようやく気付いた。エルクの手助けをしてしまったことに。

 ラピュセルは、慈愛に満ちた笑みを浮かべる。


「これは、粛清が必要ですね」

「ち、違うんです!! あの、ああ言わないとオレも危なかったわけで」

「では───さようなら」

「ひっ」


 ラピュセルが消えた。

 一瞬で、ピアノの傍にいたラピュセルが消えた。

 ギョッとするエルク……そして、気付いた。

 ラピュセルは、エルクのすぐ傍にいた。

 念動力で拘束しているミゲルの胸に、手を添えている。


「『波紋掌』───ッカァ!!」

「ぶっぅ!?」


 ボン!! と、ミゲルの身体が『爆発』した。

 エルクの念動力を突き破った掌底。

 ラピュセルの掌底が、エルクの念動力を突き破り、ミゲルの心臓を破壊した。

 唖然とするエルク。

 ラピュセルは、流麗で素早い動きで構えを取る。


「な……」

「驚きました? 実は私……『闘拳王(チャンピオン)』のスキルを持っていますの」


 スキル、『闘拳王(チャンピオン)

 格闘系スキルの最上級。マスタースキル。

 歴史を紐解いても、このスキルを持つ者はほんのひと握り。

 己の四肢を武器とする、あらゆる格闘術をマスターした者。

 ラピュセルは、構えを取った。


「さぁ、やりましょうか」

「……面白い!!」


 エルクも構えを取り、念動力で全身を覆う。

 そして、念動力で自らを操作する『念動舞踊(テレプシコーラ)』を使い、ラピュセルを倒すべく真正面から挑んだ。


 エルクに課せられた《呪い》……それは、常に手加減して戦うこと。

 ラピュセルを倒すのは簡単なのだ。ただ、念動力で心臓を握りつぶせばいい。

 でも……それでは、あまりにも簡単すぎる。エルクの人生がつまらない。だからピピーナは、強すぎるエルクに呪いのような枷を嵌めた。

 エルクの強化された拳が、紙一重で躱される。

 そして、ラピュセルの拳がエルクの腹に突き刺さった。


「ぐ、ぶっ……!?」

「硬い。ですが、効く……あなたも無敵ではないようで」


 間違っている。

 世界中のスキルを同時にエルクへぶつけても、エルクは容易く防御する。

 でも、呪いにより手加減した防御は、ラピュセルの拳を僅かに通した。

 エルクは腹を押さえ、舌打ちする。


「痛いけど耐えられる!! まだまだ、これからが本番だ!!」

「いいでしょう……裏切り者の八人目。『死烏(スケアクロウ)』……私が、引導を渡しましょう」


 エルクとラピュセルの戦いが、ついに始まった。

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〇はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
レーベル: CLLENN COMICS / コミックREBEL
著者:さとう (著)
漫画:うなぽっぽ (著), トダフミト (著)
発売日:2024年 7月 21日

【↓情報はこちらのリンクから↓】
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お読みいただき有難うございます!
テンプレに従わない異世界無双 ~ストーリーを無視して、序盤で死ぬざまあキャラを育成し世界を攻略します~
連載中です!
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです

― 新着の感想 ―
[良い点] レベル覗いただけで死にかける強さなのにえらい苦戦してると思ったら謎の手加減させられてたのね
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