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第47話の1『牢獄』

 《 前回までのおはなし 》

 俺の名前は時命照也。恋愛アドベンチャーゲームの主人公なのだが、気づけばバトル漫画風の世界に飛ばされていた。ここは……どこだ?


 暗い。目の前には……青い岩で作られた見知らぬ壁がある。


 「……う~ん」


 目を開き、額にくっついている壁を押し退ける。どうやら、俺は水でいっぱいの部屋の天井付近に浮いていたらしい。部屋の下方向を見る。視界は水にぼやけているが、部屋を区切る形で鉄棒が何本もついているのは解った。つまり、ここは……牢屋の中だな。


 檻の外には何があるんだろう。水に浮いていた体は意識を取り戻したと同時に重さを取り戻し、天井を蹴ることで俺は部屋の下側へと移動できた。鉄棒の間から牢屋の外をのぞいてみたところ……看守用のイスとテーブルらしきものが見えた。あと、10メートルはありそうな謎の長い管がある。


 「……んっ?」


 長い管は無機物というには生々しい色合いで、蛇腹状にグネグネしていて自我がうかがえる。管の端の方に目みたいなものはついているが、自分の体が邪魔で視界は良好ではなさそうだ。と……それを観察していたところ、急に管の先っぽがボンッと膨らんだ。


 はちきれんばかり、大きなものが管の中をつたっている。何が出てくるんだろう……などと呑気に観察していたのだが、それが管の先端からひねり出された瞬間、俺は死んだふりをするように天井に浮き戻った。


 「ごはごはごはごはあああぁぁぁ!」


 声にならない化け物の呻き声がする。それは俺を飲み込んだ口の化け物のものと一致した。あの管は化け物製造機なのだろうか。そう疑いつつも、俺は閉じた瞳の奥に表示されたマップへ目を通してみた。


 マップは上下にスクロールしないと全体図を確認できないほど長く、俺の現在地は建物の下層部と思われる。そして、建物の中央にある一際の大きな部屋には、姫様の名前とアイコンが表示されている。多分、俺たちは口の化け物に食われ、どこか別の場所へと移動してきたのだ。


 なお、今さっき現れた化け物を横目で盗み見たところ、それは管から出てくると自分の体をめくるように裏返していた。その正体は……やっぱり口の化け物だ。


 結論を言おう。俺たちは口の化け物に取り込まれ、食道器官の化け物へと転送、盗まれた王城まで連れ去られた……のだと思う。とすれば、俺が気絶している内に姫様はジ・ブーンの元に連れて行かれたに違いない。これは、早く助け出さないと。


 と意気込んだのはいいものの……俺は残念ながら捕らわれの身である。口の化け物が別の部屋へと移動していったのを見計らって、俺は牢屋の中を見回してみる。部屋には蓋つきの貝殻ベッド、床に固定されているイスとテーブル、石で出来た皿とフォーク、ちょっとした薄明るい照明、あるのは以上のものくらいである。


 鉄棒には扉がついているけど、もちろん鍵がかかっている。視界不良な管の化け物の目を盗んで行動するのは訳もないが、鉄格子の外に引っかけてある鍵までは手が届かないな。さて。どうしたものか……。


第47話の2へ続く

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