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第31話の2『船』

 ギザギザを村に連れて行ってしまうと、彼を見た村人たちが大混乱に陥る可能性があるとみて、俺たちは先に村へ向かい村長へと報告を済ませる事にした。村長たちにとっては怯えて過ごす現状こそ打破せねばならない訳で、魚人間を信用はしていない様子であれど、すんなりと事情は飲み込んでくれた。


 「う~む。だが、我々にできることなど、たかが知れているのだ。船くらいなら貸し出せるが……」


 「助かります……いや、俺も自分に何ができるのか解らない状態ですし」


 海賊団のアジトが海の中にあった場合、俺は化け物の元へ向かうことはおろか、海賊団のアジトへも入れない疑いがある。お互いに未知なるミッションを抱えてしまった理由で、俺も村長も下手下手に出ていて頭が床に付きそうな勢いなのだ。なんにせよ、引き受けてしまった以上は前へ進むしかない……。


 「俺、ギザギザを連れてきます。ゼロさんは寝てるルルルと仙人を起こしてきてもらえますか?」

 「そうしよう」


 そういいつつ、自分から危険そうな方の仕事を引き受けてはいるが、念のためにヤチャにはギザギザの元へ同行してもらった。しかし、俺の不安を他所にギザギザは全くと言っていいほど敵意がなく、むしろ俺たちを逃がすまいとばかりに肩を組んできたリしている。彼の名前の響きに従い、ギザギザのウロコは触れると微妙に痛い……。


 「ギョハハハ!お前、強いの~?弱そう!ギザギザ、弱いやつが大好き!ギョハハス!」

 「テルヤァ……は、強いぞぉぉぉ!バカにするなぁぁぁ!」

 「いや、俺は強くないです……もう、全然」


 ゼロさんとヤチャに対して見ないふりを決め込んだ辺り、ギザギザは自分の強さについて身の程をわきまえている様子。俺を弱そうと言ったギザギザにヤチャは憤ってくれているが、弱いやつが好きという面でいえばギザギザは俺と気があうかもしれない……。


 村から少し離れた場所、俺たちが釣りをした岩場に漁船がついており……いや、これは漁船じゃなくてイカダの大きいやつだ。イカダの大きいやつじゃねーか!船のレベルが想像以下を極めたため、すぐに俺は村人らしき男の人を問い詰めた。


 「つかぬことをお聞きしますが、あなたがたはイカダ……コレで魚を取りに?」

 「……ですね」

 「そうでしたか」


 そうだったのなら仕方がない。これはレジスタの街との文明格差が招いた誤解なのだ。船のクオリティについては残念感が半端ないが、なんとかイカダを推進するオールを借りることには成功した。見送りに来てくれた村人2人は魚人間に恐怖しているのか、こわばった声と形でぎこちなく別れを告げる。


 「我々にできることは以上。だな?」


 「ですね」


 「村のため、魚海賊団のため、頑張って頂きたい気持ち山々が、命大事にの信念、忘れるべからず。だな?」


 「ですね」


 「困ったことがあったら遠慮なく言ってくれ。だが、過度な期待は遠慮したい。だな?」


 「ですね。では、これにて失礼」


 『ですね』しか言わない村人が強引に話を切り上げ、2人は小走りで去っていった。さて、これから俺たちは、どこへ向かえばいいのか。ゼロさん達が来る前にギザギザへ尋ねておこう。


 「ギザギザ海賊団のアジトって、どこにあるんですか?」

 「水中」

 「……うわぁ」


 これは行けねぇ。ましてや、こんな丸太の集いじゃあ。出発前に問題点が浮かび上がり、それに向けてヤチャが率直な解決策を示した。


 「いかだは押すと、沈むぞおおぉぉぉ!」

 「いやいや。空気がないじゃん……」

 「俺様は、空気などいらないぞおおぉぉx!」

 「……有酸素運動って知ってる?」


 そういや、ヤチャは海に潜ったっきり、ギザギザを捕えるまで全く出てこなかったな。体を鍛え続けたら、人間は水中を数十分も泳ぎ続けられるまでに至るのかもしれない。


第31話の3へ続く

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