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第22話 密談

「連れてきたわよ」


二人きりでの密談から凡そ30分。

再び開かれた扉から、葵が美織と聖、優花を連れて入ってきた。


「ご苦労さん。と、どうした?そんな変な物でも見たような顔して」

「逆にこの光景を突然見せられて驚かない人は居ないでしょう。それで?なにから話すの?」

「なにから、って言われてもなぁ。話すことはいくらでもあるし。

この国の成り立ちから勇者召喚。帝国との関係やら勇者召喚をした理由やら。まず、聖光神教とはなんなのか。この世界における神とは。などなど」


士は葵たち勇者からすれば疑問に思いはしたものの知る方法(この国の主観ではなく客観的に知る方法)がなかった事柄を並べる。

だが、それは逆に士が歴史や様々な事象を知るなにかしらの手段を得ていることを葵を除く勇者達に曝すこととなった。


「でもまあ、今言ったのは大した事じゃない。

本来、ここで話すべきなのは……」


士はチラリと葵を見やる。

その行動の意味するところは「お前が言え」というもの。なにを?というような答えを葵が持つことはなかった。士の本来話すべきことというのを正しく察したためだろう。


「さっきの会食。話の内容は覚えてる?」

「たしか勇者としての責務のほかに淑女としての喜びがどうとかって話だったよね」

「あ〜、そんな感じでしたね。あの王様、なんか変な目でこっち見てて気持ち悪かったです」

「昔会った男性の目にそっくりでしたわ。……その数ヶ月後に淫行で捕まりましたが」


美織たちは口々に会食の内容を口にするが優花と聖の二人に至ってはもはやただの悪口である気がするのはきっと間違っていないだろう。事実、この国には一応未成年者との淫行を抑制するような法律(結婚している未成年者は含まない)があるが、それに貴族やら王族は縛られることはない。つまり、ロリコン貴族さまいらっしゃい状態である。しかし、この世界での成年とは15歳を指す。故に、たとえ聖達をどうにかしたとしても誰かが罰せられることはない。まあ、別のもので罰せられるうえに勇者の中でも血の気の多い変態ゴリラと冷徹チート野郎に色々されるだろうが。


「それがどうかしましたの?」

「まあ、結論としてそれは結婚しろってことなんだけど、気付いたのは……まさか、葵だけか?」


士は嘘だろ?とでも言いたげな顔で聖達を見回す。

数十分前に話したとき、葵は断ったと言っていたし、勇者くんも考えさせてくれと答えたと聞いている。つまりは直球で言われたのでは?と考えていたのだが、どうやら聖達の話を聞いていると違うようである。となると、ぼかして言われたのだろうと予想はつくが、まさかその言葉の本質に気付いたのが、葵だけとは思わなかった。


「結婚?それってあのゆ、夕張さん?だけの話じゃないんですか?」

「夕崎な、夕崎。そんなメロンみたいな名前じゃないから。

てか、気付かんのか」

「逆にそんなことだけでそう思うのがすごいと思います。というより、私達が結婚するとか意味あるんですか?」

「月宮さん、良い質問ですねぇ。

お答えしましょう!ずばり意味はあります。まず囲い込み、次に優秀な母体の確保、さらに勇者を手中に置ける、さらにさらに扱いやすいなどなど君たちの存在価値および利用価値は非常に高いのです」


どこぞの池ホニャララのようなことを人差し指を立てながらペラペラと喋る士。ではあるものの、その内容は的を得ている。


「まあ……その程度ならまだいいんじゃないか」

「良くないですわ!要するにそれは結婚相手を勝手に決められるということでしょう?」

「それのなにが悪いんだよ」

「そんなの……「意思がどうだのっていうことは言うなよ」


士は聖が言わんとしたことを先に言い、牽制する。


「考えが甘すぎなんだよ。

さっき言っただろ、優秀な母体の確保も理由の1つだって。それこそ、結婚なんて手段を取らなくても監禁して孕ませ続けるなんてことだってされかねない。奴隷にでもされたら逆らうこともできないしな。

なのに、それをしないのは勇者という名前に利用価値があるからだ。勇者と自国の貴族や英雄の結婚なんてなれば国民はもちろん、対外的にも良いアピールになる。『我が国には勇者が着いている』っていうな。それに、外からの干渉も無くなる。

結局のところ、この国に召喚されて、その上でどっかの馬鹿に乗せられて勇者としてやっていくと決めた時点でお前らになにかを選べる権利はほぼ無くなってたんだよ」

「なら、貴方はどうなんですの?貴方も私達と同じ勇者のはずですわ」

「いや、違う。まず、俺はこの国の上層部から嫌われている。まあ、可能性としてはもう少ししたら不慮の事故に遭うかもしれないし、問答無用で奴隷化かもしれない。

兎に角、扱いはまったく違う。

だが、最初に言った通り俺は勇者としてやっていくとは決めてないし、お前らと違って生きていく方法はいくらでもある。

そう考えると、不慮の事故によって死んだことにしたほうが後々楽かもしれないな。

まあ、お前らは異世界(ここ)に来た時と同じように乗っかって生きたほうがいいんじゃないか?」



「と、一応言ったが君たちに朗報なんだよなぁ。

簡潔に言うと、お前ら帝国行きが決まってるんで結婚とか無いから」


「「はぁ?」」

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