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505話 雪中の戦い

 ソフィアとリコリスは、馬車で待機。

 いざという時に備えてアイシャ達を守る。


 迎撃は、僕とレナで行うことにした。


「よーし、久しぶりに暴れられそう!」

「油断しないで。敵よりも厄介なのは……

「はぶぁ!?」


 外に出た途端、猛吹雪が押しつけてきた。

 勢いよく飛んできた雪塊がレナの顔面を直撃して、ひっくり返る。


 その間にも雪は降り注ぎ、一気にレナが埋まり……


「だ、大丈夫!?」


 慌てて手を差し出して、引き起こした。


「ぷはぁ!? し、死ぬかと思った……」

「だから油断しないで、って」

「魔物に対して、って思うじゃん? 雪にとは思わないよ」

「雪も魔物も、両方気をつけて」

「あー……ソフィアに任せればよかったかも」


 愚痴をこぼしつつ、レナは先を睨む。


 そこにいたのは、雪でできたアイスゴーレムだ。

 僕の故郷でもよく出現していた魔物だけど……


 故郷と比べると、一回り大きい。

 あと、数え切れないほどたくさん。

 こんな場所だから大量発生しているのかもしれない。


「レナ、いくよ!」

「オッケー!」


 僕が一番手、レナがニ番手。

 それぞれ駆け出して、剣を振る。


 僕の剣は、アイスゴーレムの片足を切り落として。

 続くレナが核を貫いた。


 アイスゴーレムは体を維持できなくなり、ただの雪に戻る。


「へっへー、ナイスコンビネーションだね、ボク達」

「うん。でも……」


 視線をやると、まだ十体以上のアイスゴーレムが残っている。

 仲間をやられたことに対する怒りはなくて……

 足音を響かせつつ、ゆっくりと迫ってくる。


 目の前の敵を排除する、というシンプルな思考で動いているみたいだ。


 ゴーレムは、わりとシンプルな行動しかできないのだけど……

 でも、ここまでなにも考えていなかったっけ?

 最低限、仲間意識を持ち、連携を取るようなことはしてきたと思うんだけど。


「うぇ……あれ、全部倒さないとダメなの」

「違うよ」

「え?」

「あれプラス、さらに奥で生まれているアイスゴーレムも……かな」


 群れの奥を見ると、雪が盛り上がり、形を成して……

 一体、また一体とアイスゴーレムが生まれていた。


 大量の雪が関係しているのだろうけど、それでも、こんなに速く、高頻度でアイスゴーレムが誕生するのは異常だ。

 聖域に近い、ということがなにかしらの影響を与えているのかもしれない。


「ちょっ、ちょっと……あれじゃあ、ボク達、あと何体倒せばいいの?」

「何体だろうねえ……」


 もしかしたら、永遠に戦い続けないといけないのかもしれない。


 同じことをレナも考えたらしく、とてもげんなりした表情に。


「ボク、寒いの苦手なんだ」

「そうなんだ」


 猫みたいな性格をしているから、そうなんだろうなあ、とは思っていた。


「だから、さっさと片付けて馬車に戻りたい」

「うん。がんばらないとね」

「正直言うと、がんばるの嫌い。ぐーたら怠けて、楽したい」

「そんな身も蓋もないことを……」

「だから……一気にまとめてぶちのめす!」


 レナは真顔になって、体中を巡る魔力を剣に溜めていく。


「真王竜剣術・裏之一……」

「ちょっ!? まっ……」

「獅子戦吼っ!!!」


 止める間もなく、レナが奥義をぶちかました。

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こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
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