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432話 圧倒的

 ソフィアとレナが風のように駆けた。


 そして……

 嵐のような猛攻を叩き出す。


 ソフィアの斬撃とレナの斬撃。

 それらが交互に繰り出されて、折り重なっていく。


「くっ」


 ナナカの顔に、初めて焦りの表情が浮かぶ。


 今のところ、二人の攻撃は届いていない。

 全て結界に弾かれていた。


 ただ、衝撃は伝わるらしい。

 攻撃を受ける度に、ナナカは大きく体勢を崩していた。


 すぐに立て直しているのはさすがと称賛するべきだけど……

 ソフィアとレナの攻撃は速く、速く、速く。

 そして重い。

 完全に体勢を立て直すことができず、反撃に移る暇を与えてもらえないでいた。


 このまま押し込むことができるかな?

 そんな期待をした時、ナナカに新しい動きがあった


「このような、ことで……! 私を援護なさいっ」


 その命令は、ようやく追いついてきた兵士達に向けられたものだった。


 ソフィアとレナと戦うナナカ。

 そんな主の姿を見て、一瞬、迷いを見せる兵士達。


 しかし、次の瞬間にはそれは消えて、刃をこちらに向けてくる。

 正しい、正しくないは彼らにとって関係ないのだろう。

 ナナカは仕えるべき主。

 なればこそ、その命令を絶対とする。


「させないよ!」


 アイシャ達を守らないといけないから、派手な行動はできない。

 でも、投石などで、こちらに注意を向けたり時間を稼ぐことはできる。


 ただの投石と侮ることなかれ。

 ソフィアに、きちんとした方法を教えてもらっている。

 そうなると、ただの石も立派な凶器に早変わり。


 腕を横に振るようにしつつ、投石を繰り返す。


「はい、おとーさん!」

「オンッ」


 石はアイシャとスノウに拾ってもらった。

 石というか、家の瓦礫も混じっている。

 派手な戦いの後なので、そういうものには困らない。


「くっ、なんだこの威力は……!?」

「おい、やめろ!」

「まずは、あの少年をなんとかしないと……」


 兵士達は大混乱だ。

 さすがに、投石で戦う相手との戦闘経験なんてないんだろう。

 僕だってない。


「あははは、これ、楽しいかも!」

「にゃん!」


 いつの間にか、投石にリコリスとマシュマロも加わっていた。

 リコリスは魔法で石を飛ばしている。

 マシュマロは石を咥えた状態で、ジャンプして回転。

 その威力を乗せて投げていた。

 とても器用だ。


「役に立たない……!」


 兵士達が足止めされて、ナナカは顔を歪ませていた。

 さきほどよりも焦りの色が濃くなっている。


 このまま、一気にたたみかけることができるだろうか?

 できれば、必要以上に彼女を傷つけたくない。

 スノウ達を狙った理由を聞きたいし……

 根っからの悪人とも思えないのだ。


 なんとかしてこの戦いを止めたいけど、どうする?

 どうすればいい?

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
さらに新作を書いてみました。
【おっさん冒険者の遅れた英雄譚~感謝の素振りを1日1万回していたら、剣聖が弟子入り志願にやってきた~】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
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